-
1/20の徒然
今週は先週に引き続き息子のサッカーの試合。 10時20分にいつもの集合場所であるDIYセンターの駐車場に集合し、Halstenbek から北に 20km ほど行ったところにあるバームシュテット(Barmstedt)の体育館へ行く。 全部で5チームが集まり、総当たりの4試合が行われた。 息子は基本的に途中出場。試合の動向の様子を見て投入されることが多い。 この年代のチームではフィールドプレーヤーが5人なので、基本的に 2 – 1 – 2 のシステムになっている。息子は中盤の「1」のポジションに入ることが多い。 まず1試合目は 2-0 でリードしている状況でフィールドに入った。ゴール前にいたらこぼれ球が来たので、ちょっと遠目からのシュートであったが、打ったら見事ゴールが決まった。久しぶりのゴールである。チームメイトだけでなく、試合終了後に親御さんたちも息子に対して「いいゴールだった」「いいプレイだった」と声をかけてくれるのがうれしい。 2試合目ではゴール前に攻め込んでいったフォワードのシュートがキーパーに弾かれ、息子の前に転がって来た。その球をフォワードに返すような形になり、そのフォワードがもう一度蹴り込んでゴール。いわゆるアシストである。 3試合目は1点先制されて苦しかったのだが、何とか1点入れて同点にしたところで投入される。コーナーキックをねじ込むような形で2点目を入れる。これは何とかカメラに収めることができた。 4試合目は3-0になったところでディフェンダーとして交替した。 ということでチームは4戦して4勝。力が拮抗しているチームもあったのだが、トータルでは得点10、失点2くらいだったかな?かなり安定していた。 息子も上に書いたように2ゴール1アシスト。かなりいい働きをしていたと思う。攻撃でも守備でもポジショニングがいい。攻撃の時には、ゴールへ向かっていくストライカーとのポジショニングを考え、空いているスペースにポジションを取っている。その結果、こぼれ球を拾うことができたり、ストライカーが囲まれた時にいい位置でパスが出てきたりする。まあ、妻が前から言っていたように今日フォワードをやっている子とはプレイの相性がいいようなのだが。それから、守備に回った時にはちゃんと相手選手をマークして、その選手がボールをもらいにくいようにしている。 課題は、まず諦めないということ。ボールを持っている相手に対してもう少ししつこく粘ってボールを取りにいった方がいいと思う。私と遊んでいる時にはもっとガツガツやっているのでそれがゲームでも出れば全然問題ないのだが。それから積極的にドリブルをするということ。どちらかというとワンタッチでプレイを済ませようとする傾向が強いので(もちろん、それはそれでいいこともあるのだが)、中盤でボールをもらって、なおかつ周りが空いている時はもう少しドリブルで持ち上がって自分で展開できるといいのだが。 ちょっと前に比べると、息子だけでなくいろいろな子供たちのプレイに個性が出てきているように思う。自分が与えられているポジションがどういうプレイを期待されているかがだんだんわかってきて、そのための能力が伸びてきているのかも知れない。 上にも書いた 2 – 1 – 2 のシステムがしっかりできていて、なおかつチーム全体として「今は守るべきなのか」「今は攻めるべきなのか」という意思があるのがわかる。まだまだ強くなりそうなのが楽しみである。 ***** 帰宅後、昨日に引き続き「バック・トゥ・ザ・フューチャー・パート3」を見る。これはパート1やパート2と比べてもややこしさがないのでリラックスして楽しむことができる。最後の最後で蒸気機関車を模したタイムマシンが出てきたのは、鉄ちゃんの息子にとっては予想外の驚きだったようだが、よく見たあとでは「かっこ悪い」と言っていた。 ***** ドイツブンデスリーガは、この週末から年明けの後半戦が始まった。わが HSV は清武を擁する格下のニュルンベルクとアウェイで対戦した。映画を見ている間に試合が終わったようなので結果を見たら 1 – 1 で引き分け。勝ち切れないなあ … 今節はわりと近い順位のチームが潰し合いをしたおかげで(あ、HSV もその中の一つですが)全般的な状況はあまり変わらない。まだヨーロッパリーグ出場枠は射程圏内である。あわよくば(奇跡が起これば)チャンピオンズリーグも可能か … という感じ。 ***** ちょっと昔のミュージックマガジンを見ていたら、シガー・ロスとダーティー・プロジェクターズの「傑作」と言われているアルバムを聴きたくなったので、iTunes Store で買ってみることにした。明日以降会社へ行く時に聞いてみることにする。 [tmkm-amazon]B00006LLNU[/tmkm-amazon] [tmkm-amazon]B0026T4RTI[/tmkm-amazon]
-
1/19の徒然
先週はデュッセルドルフへ出かけていたので、久しぶりにまったり過ごす。 息子の日課の学習が終わるのを待って、お昼頃に買い出しに出かける。スーパーマーケット「EDEKA」と「トイザらス」が入っている Eidelstedt のショッピングモールへ。 まず、最近息子と地下室でやっている「二人野球」のためのバットを探す。ドイツに野球用品は売っているのか?とちょっと不安になったのだが、おもちゃのプラスチックバットが売られていた。今まではジュースのペットボトルをバット代わりにしていたので、それに比べればはるかにましである。 食材の買い出しをしている時にアメリカ産牛肉が売られているのを発見。ドイツ産はほとんど脂身がなくて火を通すと固くなってしまうので、アメリカ産ならばもう少し期待できるだろう、ということで買ってみた。この時点で夕食はステーキに決まる。 その後、ワインのストックが切れていたので、いつものワインショップへ。そういえば、最近ボルドー兄ちゃんを見かけないんだけど辞めてしまったのかなあ? ということでメモ代わりに今日買ったワインを。 左からイタリアの Gavi、ドイツの Rheingau のリースリンクという少々辛口の白ワインを。その次は前に飲んでおいしかったポルトガルワインをステーキに合わせるためにまた買ってみた。いちばん右は息子向けのブドウジュース(Traubensalt)。 その後、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見る。 実は、年末にドイツの温泉地ヴィースバーデンのホテルでダラダラしている時にテレビで3部作が放送されていた。パート1の終了直前から見始め(それまでジャクージに行っていた)、パート2を全部見て、パート3の途中まで見た(レストランのディナーの予約があったので)。 私も妻も3部作はすでに見ているので大まかな流れは知っているのだが、息子がちゃんと見たのはパート2だけということになる。一応なんとかついていったようなのだが、はっきりいってパート2だけを見てストーリー展開を完全に把握するのは大人でも難しいだろう。というわけで、パート2を反芻して説明しながらパート1から見直すことにした。 以前は肩のこらない映画として楽しんでいたのだが、あらためて見るとタイムトラベルものは切ない。相手が全く別の世界(時空と言った方がいいのか?)に存在していることを確信していても、会おうと思っても会えないのである。主人公であるマーティが(タイムスリップした)1955年から1985年の「未来へ帰る(Back to the future)」際に、ドクと抱き合って「30年後にまた会おう」と言う。これだけでウルウルしてしまう。
-
お誕生会
息子と同じく1月生まれの同級生と合同で、お誕生会が企画された。前にも書いたが、ドイツでは主賓がこういうパーティーを企画して他の人を招待するのである。日本人学校での同級生の他、もう一人の主賓の近所のお友達も招待されて合計15人くらい集まった。 会場はボーリング場。ここに申し込むと、レーンの予約と一緒に軽食なども用意してくれるらしい。それから手作りのケーキも持って行った。 多くの参加者はやったことがあったらしいが、息子にとってボーリングは初めての経験だった。子供向けということでレーン脇の溝(あれ、専門用語でなんと言うのでしょう?)を塞いでくれ、ガーターが出ないようになっている。 そういえば、年末の旅行中にホテルの部屋でぼーっとテレビを見ていたら Eurosport というスポーツ専門チャンネルでボーリングをやっていたので、簡単なルール説明とか戦略(1番ピンと2番ピンの間を狙えばいい)などを教えたのであった。 そのかいもあってか、100そこそこのスコアを出せたようでご満悦であった。 また、参加してくれたお友達からもたくさんプレゼントをもらって、こちらもご満悦だったようだ。 同じ主賓のお友達にあげるプレゼントを忘れていた、というオチはあるが …
-
Mac 復旧
デジカメのバックアップとか実家との連絡用に年末年始の旅行に Mac を持って行ったのであるが、帰って来てから NAS との接続の調子が悪い。NAS 上のファイルの読み書きに異常に時間がかかるのである。試しに1MB弱のデータをサーバーに書き込もうとしても1分くらいかかる。 例えば、うちは iTunes に関するファイルを全て NAS 上に置いているので、まずファイルの読み出しが間に合わずに再生音がブツブツ切れる。曲間で別ファイルを読み込む際にも時間がかかるので数分待たされる。終了時にも NAS 上にライブラリーを保存しに行くので、尋常ではない時間がかかる。 当然、NAS への Time Machine バックアップも失敗する。 旅行から帰って来てからいろいろ調べていたのだが、結局原因が分からず症状も改善しない。 昨晩、ついにクリーンインストールを決心して、寝ている最中にインストールが行われるようにして寝た。 今朝起きて、まっさらになった Mac から NAS への接続を試みるが、やはり症状は変わらない。とりあえず私が出かけている間も妻が Mac を使いたいということだったので、Time Machine バックアップ(NAS ではなく外付け USB ドライブにやっておいた)のリストアを開始したところで会社に出かけた。 考えてみれば、Time Machine バックアップからリストアするのは初めてかも知れないなあ … 帰宅後、とりあえず昨日までの環境は無事に復元されていたのだが、なぜか NAS への接続問題が解決している。アクセスも全く問題ない。原因がよくわからないのが気持ち悪いが、連日連夜復旧にあたって疲れていたので、とりあえずよしとする。 そして、案の定ローカルでのウェブ開発環境(Apache + MySQL + cakePHP)がちゃんと動かない。今までは Mac 純正の apache などを使っていたのであるが、今回のようなリストアや OS のバージョンアップのたびに細かい設定をし直すのも大変だと思っていたところなので、この期に XAMPP を使った環境に切り替えることにした。やっぱり XAMPP の方が楽だ。
-
そして初仕事
そして今日から初仕事。ヨーロッパ諸国では 1/2 から平日モードなので、先週から仕事を始めている人もいるのだが、今週の半ばくらいまで休暇を取っている人も多いので、職場はまだ静かである。 こちらの会社のメールは常に iPhone でチェックできるので、休み中でも緊急の用件には対応できる(し、実際に対応した)。日本の会社にサーバーがあるメールはセキュリティが厳しいので出社しないと参照できないのである。 年末から年始までのメールをチェックしていたら、以前同じ部署で仕事をしていた方の訃報があった。以前から体調を崩しがちで入院が多かったのだが … 「仕事をそつなく美しく仕上げる」というやり方について、私はこの方から多くのことを学んだ。また、私がその前に属していて失敗した(と言っていいだろう)プロジェクトを、少なくともプラスマイナスゼロの完成度まで引き上げることができたのも、この方のおかげだと思う。ほとんど全人格を否定されるくらいに罵倒された人も多いと思うが(幸い、私はそんなに多くなかった)、その芸風も思い出される。もっといろいろなことを学びたかった。合掌。 ***** また、今日は息子の誕生日である。 いつからか、息子の誕生日には直接言えないメッセージをメールで送ることにしている。(最近は息子も対応して私や妻の誕生日、あるいはクリスマスやお正月などにメッセージを送ってくることもある。)以前は無邪気なメッセージを書いていたのだが、そろそろ内容をちゃんと考えないといかんなあ、と思い悩む。息子も日々大人になっているのだ。 そういうわけで、ガブリエルがプレゼントを持って遊びに来てくれた。(旅行から帰って来てから1日おきくらいに遊んでいるのではないか?)
-
あけましておめでとうございます
あけましておめでとうございます。 2012年12月はまったく更新できませんでしたが、年が改まったのを機会に粛々と更新していきたいと思いますのでお付き合い下さい。 さて、2013年はアイスランドのレイキャヴィクで迎えた。 アイスランドでは12月31日の午後から公共交通機関は全て(とはいっても鉃道はないので公共交通機関はバスのみなのであるが)止まり、1月1日も全て止まっている。レストランなども開いているところは限られている。というか、やはりほとんど閉まっていると考えた方がいい。 事前の調査でこういう状況なのはわかっていたので、持ってきた餅で作ったお雑煮や焼き餅を食べて、ほとんど日本にいる時と同じような状況で部屋に籠ることにした。 12月30日に参加したオーロラ観測ツアーでは残念ながらオーロラが見られなかったので、もう一度無料でツアーに参加できる。1月3日に帰る我々としては、チャンスは1日か2日。天気予報を見るとどちらの日も雨だし曇天率が高いし、オーロラ予測を見ても活動はあまり活発でなさそうなので、見られる可能性はかなり小さそうなのであるが、1月2日の深夜に向けて雨は止んで少しは雲も晴れそうなので、1月2日のツアーに参加することにした。 というわけで、今日は特に予定なし。家族3人でテレビを見たり、読書をしたりしてまったりと過ごす。 息子は Disney Channel ばかり見ている。「フィニアスとファーブ」や「トムとジェリー」が気に入ったようだ。 私が読んだ本。 [tmkm-amazon]410603705X[/tmkm-amazon] クラシック音楽、特に日本の現代音楽についての片山杜秀さんの語り口が好きなのでその著作をたくさん読んでいるのであるが、本業はこちらの著作のような政治思想史である。 第二次世界大戦における日本の戦い方というと、無謀な精神論が先行ことによって悲惨な結果がもたらされたという見方が一般的なのであるが、日清/日露戦争から第一次世界大戦を経て、なぜそのような考え方が大勢を占めることになってしまったのかをわかりやすく説明している本である。 要するに、日本のように「持たざる国」が、資源や人的リソースが豊富な「持てる国」と戦争をするにはどうすればいいのか?ある時点までは、一方では「電撃戦で戦えるような形でしか戦闘を行わない」、もう一方では「日本が持てる国になるまで戦争を行わない」という至極真っ当な論調が交わされていたのであるが、それがいつの間にか精神論にすり替わっていってしまったのである。 片山氏の語り口はクラシック評論における場合と同じで、豊富な伏線を交えながら上記のようなことを(バックグラウンドがほとんどない私にとっても)わかりやすく説明してくれる。
-
息子のサッカーの試合
今日はお昼から息子のサッカーの試合。アルトナ駅の近くにある体育館へ行く。 最近はリーグ戦として1日1戦というパターンが多かったのだが、今日は5チームによる総当たりが行われた。ハンブルク市内にある「都会の」チームは強そうだし、息子が所属する SVHR (Sport Verein Halstenbek-Rellingen) と同じリーグに所属していて先シーズン1位だったチーム(SVHR は2位)もいる。 息子は基本的にベンチスタート。最初の試合はディフェンダーとしての交替だったが、日頃の練習がミッドフィルダーなのでポジショニングなどが全くディフェンダーではない。ボールを追いかけ過ぎてサイドに大きなスペースを空けてしまうことがあったり、1対1でリスキーな守備をして、かわされて、相手の決定的なチャンスになってしまったり、ということもあった。 今までは野外の広いスペースで試合をしていて、今回は今シーズン初めてのインドアだったので、なかなか調子がつかめなかったのだろうか。まあ、それでも試合が進むにつれだんだん前のポジションを指示されるようになってきたので徐々にいいプレーも出てきた。中盤で相手の攻撃をつぶすことに貢献できたかな。 上にも書いたように強いチームばかりだったので苦戦が予想されたのだが、テクニックで勝る他チームよりも中盤の運動量が多かったように思ったし、フォワードの決定力、キーパーの守備力などもあって、接戦ではあったが全勝することができた。最後はコーチもかなりよろこんでいたし、まあ結果オーライというところか。
-
お呼ばれ
妻のドイツ語の家庭教師の先生にご招待いただき、ご自宅にお邪魔した。もともとは先生の息子さんがうちの息子と遊びたい、と言っていたから実現したものである。 先生のお宅はノイグラーベン(Neugraben)にある。我々が住んでいるハルステンベック(Halstenbek)からだとエルベ川をはさんだ向こう側、という位置関係になる。S3 で乗り換えなしに行けるのであるが所要時間は約1時間である。そのあたりのエリアは今回初めて訪れたのであるが、ハンブルク近郊にしては珍しく小高い山というか丘というか、が近くにあるし、かなり背の高い木がたくさん生い茂っていたりと、趣きが違う。 さて、子供は子供で勝手に遊ばせておいて、大人は大人の会話をするわけだが、それぞれが理解できる言語が少しずつ違っているのが面白い。 先生:ドイツ語、日本語、英語(少し) 先生の旦那さん:ドイツ語、英語、日本語(少し) 妻:日本語、ドイツ語、英語(少し) 私:日本語、英語、ドイツ語(少し) 基本的に私と旦那さんが会話をする時には英語、4人で会話する時にはドイツ語で適宜先生が日本語で注釈を入れてくれる、というような形になった。妻と先生はいつもの授業の延長のような感じで日常会話の中でドイツ語の語彙を増やしていっているし、私は旦那さんとお互いの仕事の話をする。(旦那さんはエアバスに勤めているらしい) ドイツローカルな食事を出していただき、ときおりシュナップスやウォツカやメタクサといった食後酒(というか食中酒だな …)を嗜みながら食べるといった流れ。当然、ドイツ料理は日本人の胃袋にとってはヘビーなものが多いのだが、こういったお酒を飲みながらだと消化が促進される。 今度はうちにも来ていただけるといいのだが。
-
11人いる!
新しい仲間が11人増えた。ほとんどチームごと移籍してきた、という感じである。 明日から本格的なミーティングが行われるのだが、今日は顔見せと社内見学、そのあとディナーという予定だった。 私もディナーに参加させていただく。会場は外部からお客様が来た時の「御用達」のような位置付けの店、典型的ドイツ料理レストランの「グローニンガー(Gröninger )」である。 11人のうち何と2名は日本人である。さすがにビールが回ったあとで英語で会話するのはしんどいので(しかも私の苦手な英国イングリッシュ)、最後の方は日本人の方と話をしていた。お二人とも小学生くらいの時にイギリスに渡り、その後ずっと住まれているとか、ロンドンオリンピックの女子サッカーの試合を同じ会場で見ていたとか、作曲家としても活躍しているとか、今後も楽しみである。 帰りは電車だったので最寄り駅まで Stefan と一緒に歩く。大きな幹線道路沿いを歩いているのだが「なんか意外に交通量が少ないねえ」みたいな会話にある。「そういえば、今日はドイツ対オランダの親善試合があったなあ」と Stefan。すっかり忘れていたなあ。(ちなみに結果はスコアレスドローだった)
-
完結
楽劇《神々の黄昏》第3幕を見る。これでメトロポリタン歌劇場の新しい《ニーベルンクの指環》も最後まで到達ということになる。 4時間30分のオペラを約1分にまとめた(笑)トレーラーはこちら。 まず主役の2人がよかった。すなわちデボラ・ヴォイトが演じるブリュンヒルデの「姉御」っぷり、ジェイ・ハンター・モリスが演じるジークフリートの天真爛漫さというか、「何も考えていなさそう」な雰囲気というか、が個人的にしっくりときた。 それに比べると悪役たち(ハーゲン、グンター、グートルーネ)の毒が少なかったのがいまいち。ハーゲン役のハンス=ペーター・ケーニヒは《ヴァルキューレ》でも敵役であるフンディンクを演じていたのであるが、へたに気品があるのであまり憎まれ役には向いていないのかも知れない。 しかし、歌手としての全体的なラインアップはいわゆる「ヴァレンシア・リング」よりは格段に上。また、《ジークフリート》と《神々の黄昏》はレヴァインではなくファビオ・ルイージに替わっているのであるが、予想通りかなり堅実な音楽を作っていた。レヴァインに比べると派手さがないのだが、まあもともとこういうキャラクターの音楽を作る人だし。 あらためて思ったのだが、ワーグナーの意図に忠実な演出となるとどうしても最終場面に無理があると思った。最終場面は「ジークフリートの亡骸を包む炎にブリュンヒルデとその愛馬グラーネが飛び込む」 → 「ライン河畔にあるギービヒ家が崩れ、ブリュンヒルデが持っていた指環は無事ラインの乙女たちのもとに戻る(ハーゲンは指環を追いかけて行って溺れてしまう)」 → 「そして神々の住むヴァルハラが崩壊する」という流れになっている。これをそのままシーケンスとしてつなぐとどうしても不自然になるし、ヴァルハラの崩壊は突然規模の大きな話になるのでそれまでの流れに比べてどうしても安っぽく感じてしまうことになる。 全般的には違和感なく見てくることができたのだが、最後の最後で原作に忠実であるがゆえの不自然さを感じてしまった。というわけで最終部分だけ「ヴァレンシア・リング」を見直した。上記の全てのエピソードを強引に一つの舞台で見せているのであるが、これはこれでヴィジュアルなインパクトがあるのでとても好きな場面なのである。 しかし、この「新メト・リング」(もう愛称はあるんですかね?草津の湯もみ板リング?)を見たあとで「ヴァレンシア・リング」を見ると、その衣装やメイクの奇天烈さに笑ってしまう。 カーテンコール。「ヴァレンシア・リング」ではオーケストラの演奏者も全員ステージに上がってカーテンコールを受けるのがかっこよかったのであるが、「新メト・リング」では最後のカーテンコールが終わったあとのカーテン裏の歌手たちの表情がとらえられているのがよかった。 しかし《指環》全曲が綺麗な画質で安く見られるようになったのはいいことですなあ。「新メト・リング」のセットは100ユーロ弱だから日本円で10000円しないくらい。私が初めて買った《指環》全曲はサバリッシュ指揮のバイエルン国立歌劇場のレーザーディスクで当時は80000円した。