投稿者「musicabella」のアーカイブ

オーストリア/チェコ/ドイツ旅行(その2)

ザルツブルクから聖フローリアンを経てリンツへ。

午前中は、これまた映画「サウンド・オブ・ミュージック」に登場するミラベル庭園。

昨日の夜は雨が降り続いて気温もかなり下がったようで、庭園の日陰には雪か霰が降ったような跡があった。こんなに天気がいいのに。

リンツへ向かうのだが、そのちょっと手前にある聖フローリアンに立ち寄る。信者にとっては「ブルックナーの町」として有名である。(私は、そんなに「信者」というわけではないのだが …)

ブルックナーは、この聖フローリアン修道院のオルガン奏者を務めていたことがあり、彼の遺体もこの修道院のパイプオルガンの真下に安置されている。「いつでもこのオルガンの音を聞けるように」と言ったとか言わないとか。

リンツ到着。夕食を取ろうと街をうろうろするが、日曜日なのでなかなか空いている店がない。「こじゃれているけど、えらく敷居が高そうなレストラン」と「リーズナブルだけどドイツっぽい飲み屋」で迷い、結局前者にした。なかなか正解だった。今日は妻がシュニッツェルを頼み、私はラムチョップを頼んだ。

オーストリア/チェコ/ドイツ旅行(その1)

ミュンヘン東駅からザルツブルクへ。

よくみかけるこの角度からの風景は、メンヒスベルクの丘の上から撮られたもの。

昼食はわりと有名らしいカフェで。妻と息子はケーキを、私は名物らしいオムレツを食す。

映画「サウンド・オブ・ミュージック」のロケ地巡り。本当にザルツブルクに来る前に映画を見ておいてよかった。かなり楽しめる。

祝祭大劇場のガイドツアーに参加しようと思っていたのだが、この日はあいにくスポンサーによるパーティーがあるとかでホールには入れないとのこと。残念だが断念した。

ホテルは旧市街から少し距離がある新市街(ザルツブルク駅付近)に取ったので、夕食は出かけずにホテルの中で取ることにした。

オーストリアに来たということでウィーン風シュニッツェル。ドイツのシュニッツェルは豚肉が使われることが多いのだが、ウィーン風シュニッツェルは牛肉を叩いて薄くしたものが使われている。絞るレモンがちゃんと布にくるまれていたり、ジャム(何だろう?ラズベリーかな?)がついていたりするのがうれしい。

オーストリア/チェコ/ドイツ旅行(その0)

昨年は春休みを利用してドイツ国内を車で縦断した。詳細な旅行記はこちら。

今年はイースター(4/5〜4/9)が日本人学校の春休みと重なったため、少し長めの春休みを取ることができた。そこで、昨年よりも少し大回りをして、ハンブルクからミュンヘンまでAutozug(自動車も一緒に運んでくれる寝台列車)で行き、そこからオーストリア、チェコを経由して北上する、というプランで旅行することにした。

総走行距離は昨年よりも長いのだが、日程が長い分だけ一日あたりの移動は少なくなった。昨年の旅行では一日に300kmとか400kmとか移動してちょっと大変だったので …

おおまかな旅程は以下の通り。

A: 自宅
B: ハンブルク・アルトナ駅
C: ミュンヘン東駅(B-C 間の移動のみ Autozug)
D: ザルツブルク(ここからオーストリア)
E: ザンクト・フローリアン
F: リンツ
G: チェスキー=クルムロフ(ここからチェコ)
H: フルボカー=ナド=ヴルタヴォウ
I: プラハ
J: ザイフェン(ここからドイツ)
K: ドレスデン
L: ライプツィヒ
M: エアフルト
N: ヴェルニゲローデ
O: ヒルデスハイム
P: ツェレ
Q: 自宅

史上最大のおいでませ

先週の後半からフランクフルトの Musikmesse に出かけ、

週末は家族と一緒にフランクフルト観光をし、

週明けからは Musikmesse に合わせて弊社を訪問した日本とイギリスからの出張者に対応し(同時に8名というのは瞬間最大風速ではないかな?)

明日は別のイギリスからの出張者に会い、

その夜から長めのイースター休暇に入ろうとしている自分がいるわけだ。

*****

♪あー、明日の今頃は〜、僕は汽車の中〜

というわけで、昨年のように Autozug(人間と一緒に車も運んでくれる寝台車)でミュンヘンまで行き、その後オーストリア、チェコを通って、ドレスデンあたりから再びドイツに入って、ハンブルクまで帰って来る、という行程で旅をする予定です。

探さないで下さい。

 

サウンド・オブ・ミュージック

午前中、依頼をいただいたCDの曲目解説を片付ける。まだ情報解禁になっていないので、近いうちにお知らせします。

午後は例によってガブリエルが遊びに来る。息子の部屋でレゴをやって、ちょっとサッカーをやって、おやつを食べて、少しオンラインゲームで遊ぶというパターン。これまた例によって「HSV は nicht gut だった」とか「誰それがよくなかった」とかいろいろ教えてくれる。うちはすっかり試合内容をレビューすることすら止めているので …

夕食は妻がいろいろと揚げ物を作ったので、シャルドネを合わせる。幸せ。

息子はすでに春休みモードに突入しているので、少し夜更かしをしてもよい、というお許しを出した。途中まで見て放ってあった「サウンド・オブ・ミュージック」を見ることにする。

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こんな手段でどうにかドイツで買ったブルーレイプレーヤーで日本のBDを見られるようになったのだが、ここに来て問題が発覚した。以前、前の日本で買ってきたリージョンフリーのプレーヤーでは確かに「日本語吹き替え+歌だけ原語バージョン」とか「日本語吹き替え+歌も日本語バージョン」とかを選択できたのだが、今回はメニューは英語だし、オーディオは「英語」と「タイ語」(なぜタイ語?)といくつかのオーディオコメンタリーしか選択できなくなっている。字幕も中国語や韓国語はあるが日本語はない。再生前に「このファームウェアは古いかも知れないからアップデートした方がいいかもね」というメッセージが出た(どうやらプレーヤーが出しているのではなくてメディア側が出しているように思える)ような気がするので、それが原因かも知れない。カントリーコードにしたがってメニューやらを切り替える仕組みがあるんだろうか?カントリーコードは「日本」にしているんだけどな?

しょうがないので英語音声+英語字幕で見た。ところどころ息子にストーリーを要約してやるが、何のこっちゃわかんないだろうなあ。ミュージカル映画でまだよかった。

3時間という長さを感じずに一気に見ることができた。予想以上に素晴らしい映画。40数年の人生で見るチャンスがなかったのは悔やまれるが、これだけの鮮明な画質(確かにこのレストアは素晴らしい)で初めて映画に触れることができたことや、何よりも息子と一緒に素直に感動できたことはよかった。

映画の中で歌われている歌は全て聞いたことがあったし(吹奏楽版《サウンド・オブ・ミュージック・メドレー》は何度も指揮しているので)、その歌が登場するタイミングも絶妙である。ストーリーは本当に骨格だけを残し(息子は「え?これで終わり?」と言っていた)、多くの時間を歌に費やしたことが成功なのだろう。

 

チェリビダッケをちょびっとだけ

そういうわけで、買ってしまったチェリビダッケをちょこちょこと聴いてみた。

まずはリムスキー=コルサコフの交響組曲《シェエラザード》。第1楽章は確かに遅めのテンポだが、たゆたうようなメロディの細かい音符を適切に聞かせるにはこのくらいのテンポが必然なのだろうという気がする。個人的には賛成。だが、第2楽章の冒頭のファゴット・ソロの遅さはかなり驚く。好意的に解釈すれば「いつ終わるとも知れない寝物語を極限まで引き延ばされた時間の中で表現する」みたいなことが言えるのだろうけど、これはちょっとついていけない。第4楽章も基本的な納得できる解釈である。無駄に高揚しないのがいい。

それからラヴェルの《ボレロ》。これもラヴェルは遅めのテンポを好んでいたらしいので、こういうテンポ感もありなのだろう。ちょっとリズムが重厚過ぎる気もするが。

全般的にはオケが指揮者のいうことを聞いて、細かいところまでお互いを聞き合っているなあ、という気がする。時々、勢い「だけ」の演奏や、バランスが悪かったりアインザッツが合っていない演奏を聴いてげんなりすることがあるのだが、これはその対局にあると言えるのではないだろうか。ライヴでこれだけの整然とした演奏をするだから、スタジオ録音にしたら息が詰まりそうな気がする。

あまり、チェリビダッケっぽくないところから手をつけてしまった気がするので、今度はドイツものでも聴いてみることにしますかね。

 

さらに衝動買い

妻に頼まれて、会社からの帰りに電化ショップによる。

お使いはDVD-Rメディアとプリンター用紙。年度末ということで学校の先生や同級生たちに配布するものを準備しているうちにこれらが切れてしまったとのことだった。

これらは問題なく購入できたのであるが、レジの前にDVDとBDのワゴンセールが。悲しい性ゆえ、こういうのを見ると一通りチェックしないと気が済まないのである …

BDをつらつら眺めていると、意外に日本語字幕やモノによっては日本語吹き替えが収録されているものがある。欧州と日本では地域リージョンが違うので、欧州版に日本語が含まれていてもお互いのビジネスには影響を与えないという判断なのだろうか?例えば、見つけたところでは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」3部作とか、「アポロ13」とか(これはあらためて高画質で見直してみたいなあ)、「レイ」とか。

というわけで、買ってみたのが「MAMMA MIA」。

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ごぞんじ、ABBAのヒットソングをフィーチャーしたミュージカルの映画化版である。

一昨年のハンブルク日本人学校の学芸文化発表会(いわゆる文化祭ですなあ)で上級生が歌った《Thank you for the music》を、息子がえらく気に入ってしまったのである。幸運なことに、うちの iTunes にはABBAの全アルバムが入っているので(これも、その昔、紙ジャケボックスセットと衝動買いしたのだった)、かなりの頻度でABBAを聞いているのである。

メリル・ストリープがミュージカル映画に出る、というのも違和感ありまくりなのであるが、まあ見てみることにしよう。

 

まごうことなき衝動買い

いろいろ届いた。

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そもそもはデヴィッド・シルヴィアンの30年間のキャリアを振り返るこのベストアルバムが欲しかったわけなのだが、つらつらウェブを眺めているうちに、最近価格を下げて再発されたチェリビダッケ・エディション(今年生誕100周年なのだそうだ)全4集、CDにして48枚を購入してしまった。

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前の(結構な値段がする)ボックスが出たのは10年くらい前か?当時、ダリウス・ミヨーの《フランス組曲》の管弦楽版が聞きたくて、もう亡くなってしまった知人からこのボックスを借りたことを覚えている。

当時は、これらに収録されている、いかにも「大指揮者的な」レパートリーにはあまり興味がなかったので、それほど興味は湧かなかったのだが、最近の私の嗜好の変化から、ブラームスとかシューマンとか、それからリムスキー=コルサコフの《シェエラザード》などを彼の指揮で聞いてみたくなったのである。

 

演奏会その53: 《神々の黄昏》(ハンブルク歌劇場)

ついにハンブルク歌劇場の《ニーベルンクの指環》一挙上演も最終日、《神々の黄昏》を見に行ってきた。

上演時間こそ《ヴァルキューレ》よりも《ジークフリート》も長くて約4時間30分なのであるが、これらに比べてストーリーの展開が早い(というか《ヴァルキューレ》も《ジークフリート》もスタティック過ぎ)ので、見やすい。

(ええと、ネタばらししてもいいのかな …)

ちなみにハイライトは以下から見ることができる。

http://www.hamburgische-staatsoper.de/de/2_spielplan/videos.php#eng

少々イレギュラーなエンディングではあるが、まあそういう考え方もあるかな、という感じ。

まず説明しておくと、舞台は大きな2階建ての建物がドリフの回り舞台の上に載っているような形になっている。これが回転することによってジークフリートとブリュンヒルデの住居(個人的にはこじんまりとしたマンションの一室のように見える)や、ギービヒ家の屋敷や、神々が座して終末を待つヴァルハラの様子が見られるようになっている。

第1幕の第2場から第3場への転換、すなわちハーゲンの策略にはまってしまったジークフリートがブリュンヒルデを連れ去るために住居に戻るシーンでは、舞台の転換中に暗闇の中にたたずむ神々(まさに「神々の黄昏」)も見える。これは原作にない部分なのでかなりショッキングだった。

最終場面のいわゆる「ブリュンヒルデの自己犠牲」のシーン。原作では殺されたジークフリートを弔うために河畔(ギービヒ家はライン河畔にある)に薪を積み上げさせ、ブリュンヒルデ自身が愛馬グラーネとともに炎の中に飛び込み、ギービヒ家が焼け落ちる(ここで神々の居城ヴァルハラも焼け落ちる)とともにライン河が氾濫して、最終的に指環はライン河に戻る … というストーリーになっている。

ギービヒ家が焼け落ちるところまでは同じだが(ちなみに《ヴァルキューレ》も《ジークフリート》も火が使われる場面では本当に舞台上で火が燃やされていた)、ブリュンヒルデは炎の中に飛び込まない。自分の手でラインの乙女たちに指環を返し、全てが無に返るのを待っている。そして最後に現れるのはジークフリートとブリュンヒルデが住んでいたところ(この演出ではマンションの一室のようなところ)であり、そこには死んだジークフリートがいる。ブリュンヒルデがジークフリートに触れようとしたところで倒れこみ、幕。

全然脈絡はないのだが、村上春樹さんの小説「ねじまき鳥クロニクル」で妻が失踪した主人公のところにかかってくる謎の電話のシーンとか、TBSテレビのドラマ「高校教師」のエンディングとかを思い出した。澄み切った喪失感とでも言うのだろうか。

*****

17時間にも及ぶ4部作を2週間で(まあ集中的に、と言っていいだろう)見ることができた。これだけの機会はこの先そうないだろう。(隠居の身になったらバイロイトでも行ってみたいと思っているのだが、それでも4部作を一気に見ることは不可能だろうし。)

「大満足」というわけではないが、歌手についても、オケについても、演出についても、そこそこの及第点というところで満足している。私の理解の深さもまだまだ足りないのだろうから。

この《神々の黄昏》の第2幕と第3幕の間の休憩すなわち4部作最後の休憩の時、ワーグナーのオペラ自体の大団円はもちろんのこと、4日に渡って付き合ってきたこのプロジェクトの最後を見届けることになるのだという感慨で、かなり感極まってしまった。そして、感極まりながら、ロビーで売られているプレッツェルと白ワインにありついていたのであった。(開演が午後4時、終演が午後9時30分過ぎなので、夕食のタイミングが取りづらい。)

ひとまず、20年来こつこつと斧を入れてきた巨木が倒れたという感じ。次に見るべきワーグナーのオペラは何なんだろう?