月別アーカイブ: 2006年4月

ドレスデン日記(その4)

本日も少し早めに仕事が終わったので、お土産探しに繁華街に繰り出す。 ホテル周辺は歴史的建造物ばかりなのであるが、ちょっと足を伸ばすと超近代的な商業施設が顔を出す。

ドレスデンは旧東ドイツに属していたので、いわゆる「西」化は1990年の東西ドイツ統合から始まったのである。 信じ難いことであるが、昨日オルガンコンサートを聴きに行ったフラウエン教会もソ連の傘の下にあった時代は爆撃されたまま放置されていたのである。 そういうわけで、歴史的建造物も生活に必要なインフラも急ピッチで整備が進められている(現在進行形)のである。閑話休題。

工事現場の近くには1945年の空爆の激しさを訴える展示施設もあった。 空爆以前に撮影された写真や映像を見ると、いかに空爆が激しかったのか、また、いかに過去に忠実にそれらの建造物を修復しようとしているかが分かる。フラウエン教会の修復を記録した小冊子と、空爆前後の同じ建物を比較した小冊子を買う。

そういえばダニエル・バクヴィッチという作曲家の吹奏楽作品に《1945:ドレスデン空爆》というのがあったなあ。 どんな曲だったっけ?

で、カールシュタットというデパートにワールドカップのオフィシャルショップがあったので、お土産用に何点かまとめ買いをする。

それから、ドレスデンまで来たからにはマイセンを買って帰りたい。 ホテルの中にショップがあったのでのぞいてみる。 やはり、見た目の美しさと値段は確実に比例している。 いいものはポンと4桁(日本円で約14万円)くらい行ってしまうのである。

マイセンらしさ、実用性、美しさと価格の妥協点を検討して購入。

ドレスデン日記(その3)

仕事が早く片付いたのでアルテマイスター美術館へ行く。 この美術館でいちばん有名なのは、ラファエロの「システィーナのマドンナ」(の二人の天使)だろう。 ふだん、あまり注目してみることのなかったルーベンス、ヴァンダイク、レンブラントらの作品がまとめて見れたのは収穫だった。また、ここにはフェルメールも2点(「取り持ち女」「窓辺で手紙を読む若い女」)ある。

夕食は元上司と、別の会社から来ている方と一緒に。 この時期はホワイトアスパラの収穫時期にあたるため、どのお店も「アスパラガス料理始めました」という特別メニューを掲げている。

アスパラガスをメインディッシュにするのも何なので、スープを頼んでみた。 裏ごししたスープにホワイトアスパラの輪切りが入っている。 日本で食べるホワイトアスパラはほとんど缶詰なのであるが、これはもちろん生をゆでる。 歯ごたえがあって少し苦味というか酸味がある感じ。 スープの方はほんのり甘いので、この対照的な組み合わせがなかなかよい。

メインはバイエルン風ホワイトソーセージとプレッツェル。 ソーセージは「荒挽き」の対極といった感じで、ものすごく滑らかに挽かれている。 あまりに柔らかいのでなかなかナイフで切ることができない。 香港に「德發牛肉丸」という絶品のミートボール入り麺のお店があるのだが(まだあるのかなあ?)、そこのミートボールに似た歯応え。 マスタードをつけると美味。このマスタードも日本に比べると酸味より甘味が勝っているなあ。

あ、もちろんビールも飲みました。

その後、ホテルの近くにある教会でのオルガンコンサートを見に行く。 この教会もまた空爆で破壊され、今年(2006年)のドレスデン建都800年記念にあわせて修復されたらしい。 そのオルガンのお披露目演奏というわけである。

ドレスデン日記(その2)

時差ボケで早く起きてしまったのでホテルの回りを散歩する。

仕事が終わってから、ドレスデン・バレエの公演を見に行く。 この公演が行われるゼンパーオーパーは由緒ある劇場で、ワーグナーが指揮者として招かれたり、リヒャルト・シュトラウスの主要な歌劇《サロメ》《エレクトラ》《ばらの騎士》などが初演されたりしている。

ドレスデンにおけるこの手の歴史的な建物の宿命である「1945年の空爆によって破壊され」、その後大金をかけて復旧されたそうである。 ロビーといい、客席といい、日本では絶対真似のできない歴史と優雅さを感じる。

この日の演目は、ジョン・ノイマイヤーの振り付けによる20世紀のバレエ作品、《ダフニスとクロエ》(ラヴェル)、《牧神の午後への前奏曲》(ドビュッシー)、《春の祭典》(ストラヴィンスキー)である。 これらの作品が一度に見れるのである。しかも伴奏は生オケ。

《ダフニスとクロエ》は前半と後半が1900年代前半の海岸の避暑地を思わせるようなちょっとレトロな設定。 鮮やかな海とまぶしい太陽をうまく表現しているステージである。 カミュの「異邦人」とか、ダリ&ブニュエルの映画「アンダルシアの犬」の一場面を思い出す。 中間部にあたるクロエが海賊に捕らわれる場面は原作に忠実な古代ギリシャのようなイメージで、それまでの部分と対照的に原始的。しかもかなりエロい。 夜明けの部分に戻ると、実はこれは夢だった ….. というような構成になっている。

《春の祭典》は、やはりベジャールの振り付け版との比較になってしまうのだが、ベジャールよりもさらにプリミティブな感じがする。 全体的に単調な印象。最後の「いけにえの踊り」は群集がいけにえの少女を賛美して高揚する ….. というイメージと思いきや、延々と続く少女のソロで、最後に疲れ果てて息絶える ….. というような構成が斬新だった。 変拍子が続く部分でトランペットが思いっきり間違えたので、どうなることかと思いきや、無事まとまった。 こういうスリルも生オケならでは(笑)。

ドレスデン日記(その1)

ドイツのドレスデンへ出張。 例によって名古屋からルフトハンザでフランクフルトに飛び、そこから乗り換えるというパターンである。

機内で読んだのは以下の2冊。

人類の月面着陸はあったんだ論―と学会レポート

インストール (河出文庫)

先日、アウトレットで DVD を買ったので原作を読んでみたくなった。 映画の方は途中までしか見ていないのであまり断定的なことは言えないのであるが、けっこううまく原作を映画化しているのではないか。

夕方ホテルにチェックインして、ほとんどそのまま夕食。 あまりお腹も空いていないので、ミュンヘン風ポテトスープとターキーのバケット(と、もちろんビール)を注文する。 スープはジャガイモを裏ごししたもので、ソーセージの輪切りが入っている。なかなか美味。 ターキーのバケットはなぜかスイートチリソースがついてきた。 このソースは意外とターキーには合うが、日本で食べるものと比べて辛さより甘さが勝っているなあ。

浜松交響吹奏楽団第33回定期演奏会

なんか、例年に比べるといろいろな意味であっさりしていた演奏会。 演奏者の数もシェイプアップされたようだし、浅田さんのトークも控えめだったし(笑)。

第1部

  • アルフレッド・リード/アルメニアン・ダンス・パートI
  • 星出尚志/丘の上のレイラ
  • 星出尚志/北川木挽歌による幻想曲
  • 八木澤教司/太陽への讃歌 – 大地の鼓動

第2部

  • ポップスいろいろ

第3部

  • 天野正道/交響組曲「ガイア」より第2楽章

八木澤作品はやはりものすごく鳴る。

《丘の上のレイラ》はもっと人数を減らして演奏するべきだったのでは?

天野作品はやはりまとめて聞いてみないと。 少なくとも私は天野さんがプログラムノートで書かれているようなメッセージを音楽から感じ取ることは出来ていない。作曲者が自然言語で書いたメッセージと 音楽に託したメッセージが同じように聞こえるのか?あるいは聞こえるべきなのか?がよくわからない。語法的にはベルトーンのような感じでエコー効果を表現 した賛美歌風のメロディが印象に残った。(これがギョーム・ド・マショーの引用?)

帰り道、例のトンデモ本「人類の月面着陸は無かったろう論」に代表されるアポロ陰謀論に対すると学会のツッコミ本を買う。近所の本屋にはなかったのだが、さすが谷島屋にはあるなあ。

人類の月面着陸はあったんだ論―と学会レポート

その後、ベアード・パパでフォンダン・ショコラを買っているところを団員に見られてしまった ….. いいじゃねーかよ、うちの近くのお店ではシュークリームしか売っていないんだから(笑)。

人類の月面着陸は無かったろう

人類の月面着陸は無かったろう論

会社の図書館で見つけて面白そうだったので借りた。 待ち行列になっている何冊もの本に申し訳なく思いながら、今日、髪の毛を切ってもらっている間に読んでいたのだが … 「なんじゃこりゃ?」

最初の方でそれらしい根拠(例えば月の石の成分分析は行なわれていないとか、NASA が公開した月面上の動画はキューブリックが極秘裏に撮影したものだとか)が示されるのだが、それが検証されることなく、あとはずーっとアジテーションや、 反論の引用の繰り返しに終始する。

「その手」の香りプンプンだったのだが、あとで調べてみると栄えある第14回日本トンデモ本大賞を受賞していることがわかった。突っ込みは以下の URL で見ることができる。

http://homepage3.nifty.com/hirorin/tondemotaisho2005taroron.htm

毎回美容院へ行くと居眠りしてしまうのだが、この本は面白かったので寝ずに読んでいた。普通に読んでいたら「貴重な時間を返せーーー」と叫びたいところ。

ストーンズ/栗コーダーカルテット

以下の4枚を引き取って今回のストーンズ紙ジャケをコンプリート。

ザ・ローリング・ストーンズ・ナウ!(紙ジャケット仕様)

アフターマス(UKヴァージョン)(紙ジャケット仕様)

ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!(紙ジャケット仕様)

レット・イット・ブリード(紙ジャケット仕様)

スタンプカードが溜まったので、ふと目に留まったCDを買ってみることにした。

アンソロジー 20 songs in early 10 years(1994~2004)

以前から興味を持っていた栗コーダーカルテットのベストアルバム。(先日浜松に来たらしい。)

ほぼ毎日「ピタゴラスイッチ」のオープニングは聞いているのだが、それ以外の曲は聞いたことがないはずである。(あ、持っているCDからのピックアップがあった …..)

メンバーはもともとリコーダー奏者ではなく、いろいろな楽器をやっているらしい。なので、リコーダーアンサンブルだけでなく、ウクレレ、サックス、テューバ、各種打楽器なども顔を出す。ジャンルや方向性は違うが、タブラトゥーラにも似たとても穏やかな音楽がいい。

ジャケットは、すぐそれとわかる、元たまの知久寿焼さんのデザイン。

ブライアン・イーノ/ジョン・ケイル

最近とっても気に入っている高橋幸宏さんの「BLUE MOON BLUE」に収録されている《LAY MY LOVE》という曲がブライアン・イーノとジョン・ケイルの共作のカバーだと教えてもらった。というわけで、音楽班の回覧となったこの一枚。

ロング・ウェイ・アップ

1990年にリリースされたそうである。この二人の組み合わせからは想像できないくらいポップな仕上がり。《LAY MY LOVE》も幸宏さんのカバーと原曲の違和感はあまりない。

実はイーノの歌声もなかなかよい。

象になった少年(じゃないよ)

だって、このタイトル間違いやすくないですか?

星になった少年 スペシャル・エディション [DVD]

アウトレットで半額で売られていたので買ってみた。

何となく体がカタルシスを欲していたのですぐに見てみた。

意図的なのかどうかわからないが意外なほど淡々とした進行。 そういえば邦画を見るのは久しぶりだし、そもそも最近の邦画というものはほとんど見ていないのだが、正直こんなんでいいのかと思う。 映画って時系列に並んだエピソードの点描的な羅列じゃないと思うんだけどな。

そりゃ「泣ける」「泣けない」という尺度で見れば「泣ける」んだろうけど、映画を見終わった後の心地よい疲労感とか充実感が感じられないのでありました。

映画の最後近くにある、屋根の上での常盤貴子の演技は印象的。

いろいろと手に入れた

まずは何となく買ってしまったCDたち。

ヤン・ヴァンデルローストと4人の作曲家たち(de haske / DHR 24-001-3)

去年のバンドクリニックで「もうじき出る」と言われたのはこのCDだったのかなあ?ヴァンデルローストが客員教授を務める名古屋芸術大学ウィンドオーケストラによる演奏で、ヴァンデルロースト、広瀬勇人、ケヴィン・ホーベン、マキシム・オーリオ、トム・デハースという5人の作曲家による作品が収録されている。

さて、いつ聞けることやら …

Teaching Music through Performance in Band VOLUME 5

ついにこのシリーズも5冊目まで出版されたらしいが、そういえばまだ買っていない。取り上げられる作品もちょっとネタ切れ感がある。

とはいえ、ここに録音されている作品では、

  • バンドのためのファンタジア(ジャンニーニ)
  • 交響的断章(ネリベル)
  • 第3組曲(ジェイガー)

あたりは、古き良き作品の貴重な作品と言えそう。

*****

mixi の NAPP さんのページで貴重な音源のありかを教えていただいた。ユーフォニアムと吹奏楽のための《とっかあた》(ピアノ・リダクション版もあり)と、先日の「響宴」で残念ながら聞き逃した《科戸の鵲巣》の初演の録音である。

《とっかあた》は、いかにもトッカータという急速なテンポの中でいろいろな日本の旋律が引用されている。外囿祥一郎さんの演奏によるCDが佼成から発売予定とのこと。

《科戸の鵲巣》は(ご本人曰く) NAPP さんの作品の中では「異色」ということであるが、明るい調性感や「わかりやすい」曲想が受けているのではないかと思われる。

貴重なものをありがとうございました。