ここ数年は CCCD だとか、選曲がよくないとか、演奏がよくないとか、ブチブチ言いながらも、とりあえず毎年ニュー・サウンズ・イン・ブラスは買っていた。この「2005」はここ数年の中では、かなりヒットなのではないかと思う。ちなみに CCCD は無事回避。だからコピーで済ませていた人は買ってあげましょう。
(CCCD の廃止は、ある意味「良識あるユーザーの勝利」と言えるのではないかと。で、良識があるなら「聞きたいなら金出して買え」というのが基本的なスタンスだと思うのです。)
選曲については、《Mr.インクレディブル》や《ハウルの動く城》のような最新のものから、《アメリカン・グラフィティXV(じゅうご!)》や《ディスコ・パーティーIII》のような少し懐かしめの洋楽、超スタンダードナンバーの《チャタヌガ・チュー・チュー》、お年寄りにも喜ばれそうな《時代劇絵巻》とバラエティに富んでいる。
また編曲は原曲を彷彿させるものが多く聞いていて違和感が少ない。私はこういうポップス・レパートリーは「主題をこういう風に処理してみました」「何かちょっと違ってていいでしょ」という編曲よりは、原曲と違和感が少ないストレートな編曲がいいと思っているので歓迎できる。
演奏は … やっぱり「うまい吹奏楽のポップス」という域を出ない。たまには別のバンド/指揮者を使った方が新鮮味が出るのでは?
うちのバンドはさっそく《時代劇絵巻》をやることになりました。
*****
ベターデイズ・レーベルの紙ジャケリリースから坂本龍一関係を5枚。
「千のナイフ」は坂本龍一の初ソロ・アルバム。初めて聞いたのは25年くらい前か。YMOが爆発的な人気を博していたときにソロ・アルバムにも手を出してみようと思って買った覚えがある。シンセサイザーを駆使しているのだが、当時の最先端のテクノ・ポップとは違い、不思議とシンセサイザー臭くないサウンドである。タイトル曲を初めとしてアジア色が強い。ちなみに教授が着ているジャケットはアルマーニ、スタイリストは高橋幸宏。ライナーノートには林光もコメントを寄せている。
「フェイヴァリット・ヴィジョンズ」はベスト盤。オリジナル発売は1983年というからYMO散開の年である。これは貸しレコード店で借りたような気がする。上記の「千のナイフ」や渡辺香津美とのコラボレーションである「KYLYN」からのピックアップは当然として、高橋悠治の「新ウィーン楽派ピアノ作品集」から連弾作品であるシェーンベルクの《四手のための六つの小品》、フリージャズ奏者の井上敬三の「インティメイト」からの作品もピックアップされているのが変わっている。
「KYLYN」「KYLYN LIVE」はYMO第1回ワールドツアーにも参加している渡辺香津美とのコラボレーション。「LIVE」の方はアッコちゃん(矢野顕子)の《在広東少年》も聞ける。
「サラセンの夢」はダンスリーのアルバム。ダンスリー名義である「ジ・エンド・オブ・エイジア」は知っていたのだが、これは聞いたことがなかった。教授の2作品《ぼくのかけら》《ダンス》が収録されている。そういえば「ジ・エンド・オブ・エイジア」の方は紙ジャケ再リリースはないのかなあ …