月別アーカイブ: 2004年7月

キャロル・キング/ブライアン・イーノ

つづれおり

1970年代の名盤と言われるアルバム。《アイ・フィール・ジ・アース・ムーヴ》《ホーム・アゲイン》《ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロウ》あたりがよく知られている曲か?《ホーム・アゲイン》は最近、卓球の福原愛ちゃんが登場するCM(富士フィルムだったっけ?)でかかっている曲である。

ソウルフルなナンバーである《アイ・フィール・ジ・アース・ムーヴ》はもともと好きだったのであるが、少し前にリマスター再発されたことだし、名盤としての評価も高いしということで、ちょっと聞いてみようかと思い購入したしだい。

もともと、シンガー・ソング・ライターとして活躍していたということは知っていたのであるが、ビートルズもカバーしていた(ファーストアルバム所収の《チェインズ》など)コンビであるキング=ゴフィンの「キング」の方だとは知らなかった。(「ゴフィン」は夫君であるジェリー・ゴフィン)ちなみに、レノン=マッカートニーという連名は、このキング=ゴフィンを意識してつけたクレジットだそうである。

紙ジャケ再発ブームとかのおかげで、個人的にも(おそらく業界的にも)ちょっと昔の洋楽の再評価が進んでいると思うのだが、何というか、しんみりと癒される。

ヒア・カム・ザ・ウォーム・ジェッツ(紙ジャケット仕様)

これは全然癒されない(笑)。ロキシー・ミュージックを脱退した(というか辞めさせられた?)ブライアン・イーノのソロ・ファースト・アルバム。

ブライアン・イーノというと「アンビエント・ミュージックの祖」ということで、非常に落ち着いたイメージが強いのであるが、ロキシー・ミュージックにいた頃は気恥ずかしいくらい過剰なコスチュームやサウンドを指向していたのである。

そういうわけで、このソロ・アルバムもロキシー・ミュージックのファースト・アルバムなどの「過剰な部分」をさらに煮詰めたようなサウンドになっている。

熱闘甲子園(までもうちょっと)

高校時代は吹奏楽部に所属していたにも関わらず、なぜか一度も高校野球の応援に行ったことがなかった。もっと勝ち上がってから行けばいいということでお呼びがかからなかったのか、吹奏楽コンクールが近いということで顧問が密かに断っていたのかわからないが、まあ野球部の実力も1回勝てば上出来というような感じだったと思うので、全校挙げて応援に行くような雰囲気もなかったような気がする。

生涯最初(でおそらく最後)の野球応援は大学2年くらいの時で、大学の先輩が赴任した高校の応援をした。確か謝礼は昼食1回だったような気がする。

先日、ふと新聞の地方大会の結果を見たところ母校の勝利が載っていた。たいていの年は気にも留めないでいるか、気がついたときにはすでに負けてしまっていたりだったのだが、どうも今年は様子が違うようだ。見るたびに勝っている。いつまで経っても校名が紙上から消えない(笑)。何と決勝まで勝ち上がってしまったようだ。

ひょっとして甲子園で母校の応援をすることになるのではないかという想像だにしなかった事態を少し期待したのであるが、残念ながら本日決勝で負けてしまったようだ。相手は何度も甲子園に出場している実力校だったので無理もないか。

数日間の出来事とはいえ、まったく予期していなかった密かな興奮を与えてくれた母校の野球部員たちをねぎらいたい。将来、万が一甲子園に出場することがあったらトランペット持って駆けつけます(笑)。

定期演奏会プログラム書き(ベンソン/落葉)

定期演奏会のプログラムノート執筆開始。さすがに全ての曲について考えている時間はないので、書きたい作品を選んでそれ以外は他の団員に担当してもらうことにした。

ウォレン・ベンソンの《落葉》はぜひ自分で書きたかったし、ベンソンにインスピレーションを与えたリルケの詩「秋」もぜひプログラムノートに載せて、聞きに来ていただく方に読んでいただきたいと思っていた。もちろん、いくつか邦訳はあるのだが、個人的には新潮文庫「リルケ詩集」に収められている富士川英郎さんの訳が気に入っているので、ぜひこれを載せたかった。

というわけで、転載について新潮社に問い合わせ。もちろん、リルケ (1875-1926) の原文については著作権が消滅しているのであるが、富士川英郎さんの訳文については著作権が残っているとのこと。富士川英郎さんは亡くなられているので、ご遺族が著作権を管理されているということをお聞きした。ご遺族の許可が得られれば新潮社の許諾は必要ないということらしい。ご遺族の連絡先を聞いて、無事許諾をいただくことができた。

あらためてリンカンシャー

威風堂々(The Best of British Vol.1)

オーディオ機器の配置換えをしたので、久しぶりにちゃんとした環境で CD を聞いてみた。この CD はかなり前に買ったのだが、封を切っていなかった …

さて、《リンカンシャーの花束》。全体的にかなり遅めのテンポで、特に第2・第3楽章などの緩徐楽章にその傾向が顕著である。細部の表現にはかなりこだわっているようで、各楽章の決めの和音や第3楽章の最後の複調の掛け合いなどは今までの録音にはない面白さが聞ける。しかし、切れ味に乏しい。この曲にあまり馴染みのない人が聞いたら、少し腰の重い聞き栄えのしない演奏ととらえてしまうのではないかと思う。(ただでさえ、この曲の「渋い魅力」はとっつきにくいものがあると思うし …..)

例えば、レイニッシュの RNCM ウィンドオーケストラ盤(CHANDOS)や、フェネルのクリーヴランド管楽器セクション盤(TELARC)などを聞いてから、この録音を聞いた方がこの録音の魅力を味わえるのではないだろうか。

オリンピック

東京オリンピック [DVD]

アテネオリンピックに合わせてか、市川崑監督による東京オリンピック (1964年) の記録映画が発売された。海外ではかなり前から発売されていたのに、日本ではなぜこんなに時間がかかってしまうのだろう?

「必ず全ての競技を映像に盛り込まなければいけない」という制限があったため、劇場公開版は監督の本意ではなかったらしい。そのため、劇場公開版とは別にいくつかの競技をカットしたディレクターズ・カット版も収録されているのだが、正直言って、そこまでしなくてもいいような気もする。劇場公開版はオリジナル音声で、一方のディレクターズ・カット版はドルビー・デジタル 5.1ch 化されているので、劇場版はよほどのことがなければ見ないのではないかと思う。

音楽は全編黛敏郎、どこかで聞いたことがあるような音楽や、開会式のために書かれた《オリンピック・カンパノロジー》を聞くことができる。

ジョージ・マーティン・ボックス・セット

ビートルズのプロデューサーとして知られるジョージ・マーティンが関わった様々なレコーディングを網羅した6枚組のボックス・セット。 2001年にリリースしたときには躊躇していたのであるが、そろそろ買わないと廃盤になってしまうのではないかと思い購入。

ビートルズの音楽的な成功は、このジョージ・マーティンの存在を忘れるわけにはいかない。例えば《イエスタディ》の弦楽四重奏の編曲とか、様々な管楽器の導入とかに関するクラシックの素養を持っていたのはもちろん重要であるが、リベラルな実験精神を持っていたこともビートルズが突き抜けるための大きな要因だったのである。

ビートルズとタッグを組む前にピーター・セラーズ(映画「ピンク・パンサー」のクルーゾー警部とかキューブリックの「博士の異常な愛情」の圧倒的な一人三役などで有名な)と一緒に作ったコメディでは、すでにテープの逆回転などのレコーディング・テクニックのギミックを使っていたらしい。

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(追記)とりあえず4枚ほど聞いてみた。2枚目は上記のピーター・セラーズなどが関わったコメディの音源が収録されているのだが、ピーター・セラーズがカバー(?)したビートルズの2曲《ア・ハード・デイズ・ナイト》と《シー・ラブズ・ユー》が面白い。(歌っているわけではなく歌詞を朗読しているだけなのだが。)前者は司教の演説のような詩の朗読、後者は上にも挙げた映画「博士の異常な愛情」のマッド・サイエンティストになり切っての一人芝居。スネークマン・ショーみたいな雰囲気もあり、バカバカしくて笑える。

3枚目は、いわゆるマージー・ビート・インベンションのグループの作品が中心。レノン=マッカートニーの作品を他のグループが演奏しているのが興味深い。《ハロー・リトル・ガール》とか《バッド・トゥー・ミー》とか。

東京出張

出張。新宿アルタ地下の「ハイチ」がなくなっていて残念。ここのドライカレーとコーヒーはなかなかのお気に入りで、出張ででかけた時の昼食としてよく利用していたのであるが …

タワーレコード新宿店にて、アルソ出版の雑誌「Wind-i」を見ていたら、伊藤康英さんの《木星のファンタジー》の吹奏楽版が掲載されているのを発見。この作品は平原綾香さんの《JUPITER》が流行るずっと前から(笑)作られていたのである。

《木星のファンタジー》には(例によって)さまざまな編成による版があるのだが、この吹奏楽版はマジカル・サウンズのために書かれた《木星のファンタジー 2001》(編成は Fl. Cl. Sax. Hrn. Trp. Trb. Tub. Perc.)をもとにしている。木管を主体とした抒情的な部分に、デキシーのようなテンポアップした中間部が挿入されるような構成になっている。この中間部がかなり難易度が高いことは康英さんも心得ているようで(笑)、ばっさりカットするという案も書かれている。

先月も来たばかりなので、特に欲しいものもない。今月はブライアン・イーノやマイク・オールドフィールドやタンジェリン・ドリームのリイシュー発売が控えているので、とりあえずタワーレコードでなければ買えないものを買うことにする。

Simple Gifts: The Music of Frank Ticheli, Vol. 2

フランク・ティケリの作品集第2弾。9月の定期演奏会でティケリの《シンプル・ギフト》を取り上げることになっている。(ひょっとして日本初演(笑)?)今までは出版社の味も素っ気もない参考演奏だけだったので、他の演奏を聞くために買ってみた。

TAD Wind Symphony

元福岡工業大学附属高等学校吹奏楽部(現:城東高等学校)の指揮者であった TAD こと鈴木孝佳さんの CD。氏ゆかりのいろいろな団体(尚美ウィンドシンフォニーとか UNLV ウィンドオーケストラとか TAD ウィンドシンフォニーとか)による演奏が収められている。

偶然、上記の「Wind-i」にも鈴木孝佳さんと鋒山亘さんのインタビューが載っていた。

Kings of the Blues

上記の CD を買おうと思ってキャッシャーに持って行ったら、カウンターにこの CD が置いてあった。 620円。とりあえず買ってみることにした。 エリック・クラプトンやローリング・ストーンズに敬愛されるブルースの教祖。ほぼギター一本で奏でられる音楽は、先日購入したライトニン・ホプキンスよりも土臭い。 演奏していた酒場で主人の奥さんに迫り、嫉妬したその主人に毒入りのウイスキーを飲まされたのが原因でわずか 27 歳でこの世を去ったらしい。

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出張先が新宿オペラシティだったので新国立劇場の下見に(笑)。 8月に東京初演が行なわれる伊藤康英さんのオペラ《ミスター・シンデレラ》を見に行く予定なのである。せっかく下見に行ったので、ショップで過去の公演のプログラムを買うことにした。とりあえず面白そうだったので、石井眞木さんのバレエ《梵鐘の聲》のプログラムを購入。タイトルから何となく連想できるように平家物語を題材にしたバレエだそうである。ちなみに、このオペラから再構成された交響詩《幻影と死》が遺作となったらしい。つい先日(7月4日)行なわれた「N響 Music Tomorrow 2004」でも演奏されたそうである。この演奏会では望月京さんへの委嘱作品も初演されたそうなので、放送(されるよな?)が楽しみである。

「Music Tomorrow」って毎年尾高賞受賞作品を取り上げていたような気がするのだが、ということは石井作品が尾高賞?

ポール・マッカートニーとアヴァンギャルド・ミュージック―ビートルズを進化させた実験精神

ビートルズとアヴァンギャルド・ミュージックの接点というと、ジョン・レノンの《トゥモロー・ネヴァー・ノウズ》や《レヴォリューションNo.9》が引き合いに出されて、ポールはあくまでも脳天気なポップ・ソングしか作っていなかった … というのが定説になっている。この本は、そういった定説やディスコグラフィでは見えてこないポールとアヴァンギャルド・ミュージックの接点を、ポールの長きに渡るキャリアに沿って丹念に追っている。

ポールがロンドンで行なわれたルチアーノ・ベリオの講演会を聞きに行ったとか、デヴィッド・アレンと共作することになっていたとか、コーネリアス・カーデューの弟子だった EMI のエンジニアと親交があったとか、なかなか面白そうなエピソードが載っている。

今日の積志ウィンドアンサンブル(通し練習)

所属する吹奏楽団の最初の通し練習。まだまだ課題多し。毎年そうなのであるが、通し練習以降にやっとお尻に火がつき始めるわけだ。

所属する吹奏楽団の最初の通し練習。まだまだ課題多し。毎年そうなのであるが、通し練習以降にやっとお尻に火がつき始めるわけだ。 所属する吹奏楽団の最初の通し練習。まだまだ課題多し。毎年そうなのであるが、通し練習以降にやっとお尻に火がつき始めるわけだ。

空軍バンド/大澤壽人/ザ・フー

Signatures

2002年のミッドウェスト・クリニックで配布していたらしいアメリカ空軍バンドの自主制作盤。コメントは2003年1月の日記を参照ください。

大澤壽人:ピアノ協奏曲第3番

NAXOS の日本人作曲家シリーズの最新盤。

マイ・ジェネレーション(デラックス・エディション)

タワーレコードのポイントカードが溜まっていて引き換え期限が近かったので。結成40年目にして初来日ということでにわかに盛り上がっているらしい。とはいえ、オリジナル・メンバー4人のうち、ジョン・エントウィッスルとあの娘の好きなキース・ムーンはすでに亡くなっている。現在のドラマーはリンゴ・スターの息子のザック・スターキー(リンゴの本名はリチャード・スターキー)だそうである。

オリジナル・フォーマットのイギリス盤というのが長い間CD化されておらず、やっと数年前に実現、今度はそれを紙ジャケ化したということらしい。

タイトル曲《マイ・ジェネレーション》はモッズ・サウンドの典型なのだろう。もう1曲の有名曲《キッズ・アー・オールライト》はビートルズを彷彿させる売れ線のブリティッシュ・ポップという感じ。他にも JB のカバーもあったりして、バラエティに富んでいるといえばそうなのだが、逆に初めて聞く私のようなものにとってはバンドのイメージが掴みにくくもある。イギリスの音楽シーンが過渡期だったということもあるのかもしれないが。

アメリカン・ヒッツ

NHK-BS で放送されていた「BSエンターテインメント 50’S アメリカン・ヒッツ」を見た。(アメリカン・ヒッツと言いながら、イギリス生まれでアメリカではどうしてもブレークできなかったクリフ・リチャードが紹介されていたのはご愛嬌?) 50年代の音楽というのは、要はブルースやカントリーやジャズやドゥワップなどがロックン・ロールに収斂されていくプロセスなのではないか。あるいは端的に言ってしまえばエルヴィス・プレスリーが登場するまでのプロセスなのである。

ということで、エルヴィスは番組の最後に紹介されたのであるが、放送された映像は全て先日購入した DVD からのものだった。ちょっと残念。

また、そのエルヴィスから影響を受けたビートルズの音楽が、実はマディ・ウォーターズやレイ・チャールズあたりのブルースやソウルからも大きな影響を受けていたことを再確認できた。レイ・チャールズの《ホワット・アイ・セイ》かっこよ過ぎ。

紹介されていた多くの映像はリアルタイムの1950年代のものが多かったのであるが、スウィングなどでオン・ビート(1拍目と3拍目)で手拍子を入れている観客が多かったのが意外。(白人が多かった気がするので黒人のリズム感がどうなのかはわからないが。)アメリカといえどもオフ・ビートが強調されるリズム感というのは、まだそんなに長い間根付いているものではないらしい。

クリフ・リチャードといえば、数年前のウィンブルドンでサスペンドされたゲーム中にスタンドで歌を歌って拍手喝采を受けていたっけ。祝シャラポワ優勝。