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モーツァルト/デュティユー/ツィマーマン

届くときはまとめて届くの法則。

Complete Edition

予想通り手を出してしまったモーツァルト大全集170枚組。

ヨーロッパのamazonではおよそ100ユーロ弱で売られていたのだが、amazon.deのマーケットプレイスで送料込み79.80ユーロで出ていたのでついポチッ。

2006年に発売されたものの内容を少し入れ替えて2010年に再リリースされたもの。

Complete Orchestral Works

フランスの作曲家アンリ・デュティユーの管弦楽作品全集。

CD4枚組で、こちらはamazonではおよそ50ユーロちょっとの価格なのであるが、amazon.frのマーケットプレイスで新品が20ユーロくらいで出ていた。

デュティユーというと、吹奏楽ネタとしては2005年に秋田県立秋田南高校が《交響曲第1番》を自由曲として取り上げたとか、伊藤康英さんが学生時代にオーケストレーションを褒められたとか、がある。

また、パリ高等音楽院に留学していた三善晃に大きな影響を与えたことでも知られている。確かにそういう耳で聞くとデュティユーの《交響曲第1番》と三善晃の《交響三章》には近い部分もあるように思える。

Bernd Alois Zimmerman: Requiem Fur Einen Jungen Dichter

最近、耳が現代音楽づいているので、ベルント・アロイス・ツィマーマンのおそらくもっとも知名度の高い曲《若き詩人のためのレクイエム》を聞いてみることにした。

今入手できる音源としてはWERGOレーベルから出ているベルティーニ指揮ケルン放送交響楽団のもの(1996年録音)と、このコンタルスキー指揮オランダ・シンフォニアのもの(2006年録音)があった。(ソニーから出ていたギーレン盤は現在廃盤のよう)

しばし迷ったのだが、録音も新しいし、(うちでは聞けないけど)SACDのマルチチャンネル対応らしいし、ということでコンタルスキー盤を買ってみた。そういえば、例の《ユビュ王》と同時期に買ったツィマーマンの歌劇《兵士たち(軍人たち)》のDVDもコンタルスキー指揮なのであった。

モダンを回想する

その昔、ベルント・アロイス・ツィマーマンの吹奏楽曲(というか管楽アンサンブル曲)《ユビュ王の晩餐のための音楽》を聞きたいがために買った8枚組のボックス。ほとんど聞かずに放ってあったのだが、年末年始に帰省した時に発掘したのでとりあえずリッピングして持ってきたものである。

Ruckblicke Moderne: 20th Century Orch Music

まず2枚目。収録曲はエドガー・ヴァレーズの打楽器アンサンブル作品《イオニザシオン》、ヴェーベルンの《管弦楽のための5つの小品》、マーラーの交響曲第2番第1楽章の原型となった交響詩《葬礼》、ジェルジ・クルターグの《…幻想曲風に…》、そしてバルトークの組曲版《中国の不思議な役人》。クルターグは個人的にあまり馴染みのない作曲家だったのであまりピンと来ていないが、それ以外はあまり「ゲンダイオンガク」っぽくなくて聞きやすい1枚である。

《葬礼》は初めて聞いたかも知れない。大まかな枠組みはほとんど《復活》の第1楽章と同じなのであるが、ところどころでオーケストレーションが違っていたり、曲の構成が違っていたり、といったところを耳にすることができる。

《中国の不思議な役人》はあまり激しない中庸な演奏だが、全体的な印象は悪くない。各楽器の音色の違いを強調してソノリティに変化を出しているのが面白い。吹奏楽コンクール以外で最終部にリタルダンドをかける演奏は初めて聞いたかも。

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8枚目。アルフレート・シュニトケの《トリオ・ソナタ》(弦楽合奏版)とリゲティの《ラミフィカシオン》とショスタコーヴィチの《室内交響曲》(弦楽四重奏曲第8番の弦楽合奏版)ということで弦楽合奏作品ばかりを集めたCDである。

シュニトケの作品は1985年に弦楽三重奏のために作曲されたものをヴィオラ奏者のユーリ・バシュメットが弦楽合奏のために編曲したものらしい。シュニトケらしい多様式とか折衷主義とかといったものがあまり聞かれないので初期の作品かと思ったのであるが、作曲者後期の作品である。ショスタコーヴィチの作品の緩徐楽章を聞いているような、切なくて美しい感じ。

… と思って聞いていたら、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番の弦楽合奏版が聞こえてきて少々びっくりした。

未来派の音楽

備忘録。今日届いたCD。

妻に指摘されるまでもなく、最近「箱モノ」しか買っていないなあ。よく冗談で「じゃあ、次はモーツァルト全集の170枚組でも買うか」と言っているのだが、実はかなり欲しくて、今さら本当に買ってしまったら逆鱗に触れること間違いなし … という困った状況です。

Musica Futurista

いわゆる「未来派」の音楽を集めた8枚組のアンソロジー。8枚組にしては安かった(amazon.itに注文して送料込みで30ユーロくらい)。

未来派というと個人的には作曲家ルイジ・ロッソロと、彼が考案した「騒音」楽器イントナルモーリくらいしか知らない … し、一度イントナルモーリが発する音を聞いてみたかった。

(もちろん、教授のアルバム「未来派野郎」のタイトルはこの芸術運動から採られていて、収録曲《Variety Show》では未来派の先導者であるマリネッティの演説がコラージュされている。)

まあ当然イントナルモーリやそれに類する音楽が8枚に収録されているわけではなくて、わりと正統的なところではロシアのアレクサンドル・モソロフ、フランスのアルトゥール・オネゲル、アメリカのヘンリー・カウエルの作品なども収録されている。このCDは封も切っていないし、当然ライナーノーツも読んでいないので、どういうかかわりで収録されているのかはまだわからないのだけれど。

1枚目(ピアノ音楽とイントナルモーリなど)と3枚目(独唱曲)あたりから聞き始めたのだが、何の先入観もなく聞いた耳にはひたすら稚拙に響く。既存の価値観の否定とか、機械礼賛といったイデオロギーありきで曲が作られているような感じ。あるテーゼに対するアンチテーゼを標榜するなら、知識や教養において同等のバックグラウンドを持たないと太刀打ちできないんじゃないか?というのが第一印象。

デヴィッド・シルヴィアン/スリープウォーカーズ

備忘メモ。本日購入したもの。

スリープウォーカーズ

最近のデヴィッド・シルヴィアンのゲスト参加作品や他者とのコラボレーションを集めたアルバム。

ソロアルバム最新作の「マナフォン」や、その前作「ブレミッシュ」は取っつきにくい作品ではあるが、本当に素晴らしい。実はジャパン時代や教授とのコラボレーションを頻繁に行っていた時代のヴォーカルは仰々しくてあまり好きではなかったのだが、最近は歌い方がもっと自然になってきたし、どういうバッキングをつければそのヴォーカルがもっとも耽美的に響くかをデヴィッド・シルヴィアン自身が知るようになってきたのではないかと思えるのである。

ソロアルバムではそういったバッキングが本当に研ぎ澄まされていて息苦しいまでの緊張感があるのだが、コラボレーションとなると他のアーティストの色も入ってきて、少し聞きやすくなっている。

もちろん、教授とのコラボレーションである《World Citizen – I won’t be disappointed》も収録。

コンドラシンのシェエラザード

リムスキー=コルサコフ作曲の交響組曲《シェエラザード》について。

にも書いたのであるが、もともとこの曲は好きでなかった。「好きでない」というよりはむしろ「嫌い」といっていいくらいに積極的には聞きたくない類いの曲だった … のだが、実演を聞いてから「ひょっとしてこの曲は感動的な演奏に出会える余地があるのではないか?」と漠然とイメージするようになった。(残念ながら、その実演や所有しているマゼール/ベルリンフィル盤はあまり面白いと思えなかったのである。)

というわけで、世間で「名盤」との評価が高いコンドラシン/コンセルトヘボウ盤を買ってみることにした。ちょうどいい具合にカップリングもちゃんと聞いたことがなかったボロディンの交響曲第2番である。このあたりの作品が吹奏楽コンクールの自由曲として人気を博していた時代がありましたねえ。

R.コルサコフ:シェエラザード、ボロディン:交響曲第2番

コンセルトヘボウというオケにしてはかなりロシア的なサウンド。今までこういったロシア風の《シェエラザード》を聞いたことがなかったので、それはそれで納得感があるし、新鮮な感じがする。演奏の細部にはアンサンブルが合っていない部分などもあるのだが、曲全体を見通した音楽の作り方はかなりよくできていると思う。

ただ、私がこの曲に望む(と私が現在思っている)サウンドとは違うように思える。私はもっとドロドロにとろけて角が取れてしまった甘美な演奏を聴きたいのだと思う。ゴツゴツしたサウンドは求めていないように思える。

さらにアンビヴァレントなモヤモヤ感が増殖してしまった。やっぱりアンセルメとかデュトワとかを聞いてみるかなあ …

魔笛

「のだめカンタービレ」に影響を受けたのと、昨年買ったホグウッドによるモーツァルト交響曲全集が思いのほか面白かったので、年末年始で帰国した際にモーツァルトのオペラ《魔笛》のDVDを買ってみた。行ったのが「TSUTAYA」というか「蔦屋書店」というか、だったので、選択肢はこれしかなかった。

魔笛 Die Zauberflote― DVD厳選コレクション珠玉の名作オペラ vol.1 モーツァルト作曲 (DVD厳選コレクション 珠玉の名作オペラ)

イヴァン・フィッシャー指揮、パリ国立歌劇場での演奏。

そういえば、私が見たことがあるオペラのレパートリーは非常に限られていて、プッチーニの《トスカ》とか(考えてみれば、これも「動物のお医者さん」の影響かもしれない)、リヒャルト・シュトラウスの《サロメ》とか、ベルクの《ヴォツェック》とか、ワーグナーの《指環》とか、そんな感じである。(なんか病的といえば病的だなあ …)

そんなバックグラウンドで《魔笛》を見ると、展開が早い早い(笑)。「のだめ」で読んだり、Wikipedia であらすじを読んだりした限りではストーリーは少々複雑そうなのだが(考えてみれば、上記の《トスカ》や《サロメ》や《ヴォツェック》はかなり登場人物が少ない)、まあ、楽しめそうである。

疲れていたのか、最初に夜の女王が登場するところで意識を失いそうになったので、続きはまた今度。

今年の初出社

まだ少し時差ボケが残っているのか、息子も私も午前6時前に起床(妻はいつももっと前に起きている)。それゆえ、いつもより早く出社することができた。

ドイツでの愛車に乗るのはほぼ2週間ぶり。日本では実家の車や妻の実家の車に乗っていたのだが、久しぶりに愛車に乗ってみるとハンドル、アクセル、ブレーキ、何もかもが重い。あらためてドイツの「ものづくり」の質実剛健さを認識した。

ところで、昨年帰国した時には車を運転しなかったので、日本での運転は1年半ぶりくらいだったのだが、意外に右側通行/左側通行の違いによる混乱は少なかった。ただ、ワイパーとウィンカーがドイツ車と日本車では逆についているのでこれは混乱する。ドイツでも、いまだに本当にとっさの時はウィンカーを出すつもりでワイパーを「ぐいーん」と動かしてしまったりしますが。

Fantasma(初回限定盤)

今日の通勤ミュージックはコーネリアスの「ファンタズマ」。昨年の秋に砂原良徳のリマスターで再リリースされたものである。もちろん、男は黙って初回限定の3枚組 … なのであるが、出足が遅かった(というか、予約するのを忘れていた)ので手に入れるために少々のプレミア価格を払うことになってしまった。

私がコーネリアスをちゃんと聞いたのは2006年に発表された「Sensuous」が初めてだったので、1997年に発表されたこの「Fantasma」は後追いという格好になる。冒頭は「Sensuous」と同じような方法論だなあ、と思ったのであるが、曲が進むにつれ、フリッパーズ・ギターに近いポップな曲想も感じられるようになる。情報量過多で「ごった煮」的なところは中期ビートルズに通じる猥雑さもあるのかな。

結局、ここで吸い込みたいものを吸い込めるだけ吸い込み、それを吐き出して残ったものが「Sensuous」なのかな。2つのアルバムの間に発表された「Point」を聞けば、その印象も変わるのかも知れないが。

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会社に行くと、今年初めて顔を合わせるということでいろいろな人から「Happy New Year」という挨拶をもらう。日本だと「松の内」を過ぎると「あけましておめでとう」とは言わないような気がするのだが、新年初めてということでこういう挨拶をするのだろうか?

休み中もメールはチェックしていたのだが、内容をチェックする程度でよほどの急用でない限り返事はしなかった。ということで、まずはメールチェックと然るべきアクションを。今日が日本の休日でよかった。

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夕方、会社を少し早く抜けて歯医者へ。いわゆる「クラウン治療」の最終仕上げ。

帰国第五日目

自宅で行動開始。

大きな目標は2つ、「CDの追加リッピング」と「バンドジャーナル誌のバックナンバーなどを参照して吹奏楽コンクール支部大会の過去データ入力」なのだが … 膨大な段ボールの山脈を見て途方に暮れる … 帰国前に分類して箱詰めしてくれた妻に本当に感謝だわ、これは …

とりあえず開けやすい箱から手をつけ、100枚ほどリッピングした。

作曲者本人とアンセルメが振ったストラヴィンスキーの作品集、先日買った(そして無事到着していた)ハチャトゥリアンの管弦楽作品集、チッコリーニのサティピアノ作品全集、マイルス・デイヴィスのセラードア・セッションBOX、ブーレーズ/ドメーヌ・ミュジカルのライヴ集、そしてビリー・ジョエルなどなど。

ハチャトゥリアン9枚組

今朝、朝一番でメールをチェックするとamazon.co.jpから「お客様がリクエストされました商品が、Amazon.co.jp でご注文いただけるようになりました。」というメールが来ていた。ということで、すかさずポチッ。

ハチャトゥリアン:管弦楽作品集(9枚組)/The Essential Khachaturian

ロリス・チェクナヴォリアン指揮アルメニア・フィルハーモニー管弦楽団のコンビが1990年代にイギリスのASVというレーベルに録音したハチャトゥリアンの管弦楽作品を集めたもの。

確か、数年前(4~5年くらい前?)にリリースされたと記憶しているのだが、買おうかどうしようか躊躇しているうちに生産中止になってしまい、その後探してもなかなか見つからず … ということになっていた。

どうしてこの時期にいきなり入手可能になったのかよくわからないのだが、とりあえず最後の1セットを確保することができた。(購入手続き後に上記リンクページを見たら、また「再入荷見込みなし」という表示になっていたので、現物が届くまではまだまだ安心できないわけだが …)

実は交響曲第1番と交響曲第3番《シンフォニー・ポエム》のカップリング盤だけは以前購入している。実はそれほどいい演奏だとは思えなかったのであるが、まあ、他に入っている珍しい作品が楽しみなわけで …

マッケラス/イーノ

またまたjpc.deから。

Janacek & Martinu

先ごろ亡くなったイギリス人指揮者サー・チャールズ・マッケラスがチェコのスプラフォン・レーベルに残した全録音(ただしオペラを除く … らしい)が2つのボックスでリリースされた。一つ目はドヴォルザークとスメタナ、二つ目はヤナーチェクとマルチヌーということで、私は二つ目のボックスを買った。

ヤナーチェクについては先日、室内楽とオペラのボックスを買ったのだが、このボックスには管弦楽作品が多く収められている。マッケラスがウィーンフィルを振った《シンフォニエッタ》が今一つだったので、ここで演奏されているチェコ・フィルとの演奏がそれを超えるといいなあ、という期待と、DVDで収録されている《グラゴル・ミサ》の原典版を聴いて(見て?)みたかったのが大きな動機である。

《シンフォニエッタ》。ウィーンフィルとの演奏に比べると、オケが指揮者の言うことを聞いている感じがする。確かにまとまってはいるのだが、この演奏を聞くと、ウィーンフィルとの演奏で気に入らない点だった「オケが暴れている感じ」が逆に個性として聞こえてくる。今のところどっちもどっち、どちらの演奏も及第点だが気に入らないところもある、というところ。もう少し聞きこんでみますかね。

Small Craft On A Milk Sea (WARPCD207)

ブライアン・イーノの新譜。他のアーティストとのコラボレーションはいろいろ買ってきたが、ソロアルバムをリアルタイムで買うのは初めてではなかろうか?

短めの曲が多いので、目の前をさまざまな風景が通り過ぎていく感じ。イーノ自身の解説によると「コンポジションというよりはインプロヴィゼーション」「歌い手は存在せず、語り手も存在せず、聴く者が何を感じるべきかを指し示す案内人も存在しない」ということなので、昔から実践しているサウンド・インスタレーション的なコンセプトに基づいているのかな?

アンビエントっぽい雰囲気の作品から始まって、だんだんリズム的要素の強い曲になり、また最後は静かになっていくという曲構成。使う音の選択にものすごく気を使っていることを思わせる上品なサウンド、特にリズミカルな曲で聞こえるかっこよさがいい感じなのだが、もう少しパトスが欲しい。作品を通して見えるイーノの姿の距離感が中途半端なのがじれったい。以前の作品では、イーノはもうちょっと遠くにいてまったく姿が見えないか、あるいはもうちょっと近くにいてはっきりその思惑が見えていたりしたのだが …

教授の近作とかハービー・ハンコックの近作に感じた「ご隠居」的なソフトな感触(これは褒め言葉ではないです)が、ここでも感じられてしまった。