Author: musicabella

  • ますますエレクトロニカ(フェネス)

    夏に坂本龍一ライブを聞きに行くことになった。 最後にバンドとしてライブを行なったのは1995年の「D&Lライブ」らしいので、かれこれ10年ぶりということになる。 私も教授のライブとしては、佐渡裕さんとやったオーケストラのコンサートやオペラや岩井俊雄さんとやったピアノコンサートあたりは見に行っているのだが、バンドとしてのライブとなると、ひょっとして「BEAUTYツアー」以来かもしれない。 というわけで、予習がてらツアーメンバーであるクリスチャン・フェネスのCDを買ってみた。確か昨年来日したデヴィッド・シルヴィアンのライブにもいたような気がする。 エンドレス・サマー アマゾンでレビューを見てみるとなかなか評判がいい。 エレクトロニカは全体を俯瞰して聞いているわけではないので、これがエレクトロニカというジャンルの中でどのへんに位置しているのかわからないが、なかなかよい。 タイトル曲の《エンドレス・サマー》ではサンプリングされたギターのフレーズがかなり大胆に使われているのだが、そのサウンドとノイズを組み合わせて一曲の中でドラマを作ってしまうのは面白い。 先日の竹村延和さんの「フィナーレ」でも感じたのであるが、電子音の組み合わせ(多少裏技というかアクセントとして自然音も入っていたりするが)で叙情性を喚起する音楽を作っているというあたりが個人的には気に入っている。

  • 竹村延和/村上隆

    [tmkm-amazon]B00005HIW3[/tmkm-amazon] 最近いろいろな人にエレクトロニカなおすすめアルバムを紹介してもらっていて、その分野に踏み込みつつある。これは、ちょっと前に聞かせてもらって、とても気に入ったアルバム。 竹村延和が ISSEI MIYAKE MEN のミラノ・コレクションのために作曲したものである。国内ではとっくに廃盤になっているようで、海外のオークションで入手した。 この写真だとわかりにくいが、ジャケット・デザインは今や世界の巨匠である村上隆である。トレードマークである、顔が書かれた花びらがちりばめられている。 何と言ってもラストに収録されている17分にもおよぶタイトル曲《フィナーレ》が素晴らしい。  

  • ヤマハ吹奏楽団第40回定期演奏会

    2005年5月28日(土) PM6:00 アクトシティ浜松大ホール 第1部 長生淳/幸いの龍(2005年度委嘱作品・初演) アラム・ハチャトゥリアン/フルート協奏曲より第1楽章(フルート独奏:工藤重典) 第2部 クロード・ドビュッシー/3つの交響的素描「海」 アンコール ケネス・アルフォード/ナイルの守り(指揮:原田元吉) 《幸いの龍》は長生氏らしい作品。 私は氏の作品からリヒャルト・シュトラウスのような匂い立つロマンティックな響きを感じる。初演だと曲全体の展開がわからずにちょっと冗長に思える部分もあったのだが、全体的には面白かったと思う。 ハチャトゥリアンの《フルート協奏曲》(もともとはヴァイオリン協奏曲であった)はソリストである工藤重典氏の師であるランパルによって初演された。 初めて聞く曲だったが、とてもわかりやすい曲想。 第一主題はいかにもハチャトゥリアンらしいリズミカルな旋律(何かに似ているなあと思ったら映画「サイコ」のテーマに似ているような気がする)、第二主題は《ガイーヌ》のアダージョのような歌謡的な旋律。 工藤氏のソロはもちろん楽しめたのであるが、カデンツァのソロのバックで掛け合いをやっていたクラリネットのソロもよかった。 工藤氏のアンコールはバッハの《無伴奏フルートのためのパルティータ》からサラバンド(だったかな?)。 ドビュッシーの《海》はいまいち。 そもそも、この作品を吹奏楽でやるとかなり響きが重くなってしまう。 その上かなりゆったりとしたテンポ設定なので、安定感は出るかもしれないが、きらびやかさが出なくなってしまう。 また、弱音部でオーケストレーションが薄くなったときのちょっとしたミスや、強奏時のコントロールされていない荒い音がちょっと気になった。 とかく厚化粧になりがちな(また、そういうサウンドがもてはやされてしまう)吹奏楽において、河原氏の作ろうとしている正統的な「音楽」を私は支持しているのであるが、ヤマハ吹奏楽団をもってしてもまだ道半ばなのかなという気がする。 ヤマハ吹奏楽団創立45周年ということで、アンコールは初代指揮者である原田元吉さんの指揮でOBも交えた《ナイルの守り》が演奏されたのだが、ちょっと企画としては中途半端。

  • その日に買ったもの(ブルーノート)

    少し前にテレビ東京「開運!何でも鑑定団」を見ていたら、ブルーノートの全オリジナル盤598枚というのが依頼品として登場し、1200万円という価格がつけられた。これを見てクラクラしてしまったので、ちょっとブルーノートでも聞いてみるかと思い、紹介するのも恥ずかしいような超名盤を購入した。 [tmkm-amazon]B000228WH4[/tmkm-amazon] 私が就職した15年ほど前はバブル真っ只中で、毎年夏になると山中湖のほとりでジャズ・フェスティヴァルが行なわれていた。ジャズ・ファンの友人や単にビールが飲みたい友人らと聞きに行ったものである。そのジャズ・フェスティヴァルの最終日の最終ステージはだいたい出演者総登場のセッションが行なわれて、なぜか毎回のように《モーニン》が演奏されるのだった。 そういうセッションは「お祭り騒ぎ」なので、構成も何もあったもんじゃないソロの垂れ流しになってしまう。ほとんどそういう場でしか《モーニン》を聞いたことがない私は、はっきり言ってこの作品にはそんなにいい印象がなかった。 このアルバムは意外にももっとシャープにまとまっていて、なかなかよい。やはり「名盤」と言われているだけのことはあるのだ。 [tmkm-amazon]B000228WHO[/tmkm-amazon] こちらはタイトル曲を聞いたときに、ジャズというにはあまりにもお洒落過ぎるサウンドに軽い違和感を覚えた。さあ、他の曲はどうなんだろう?マイルスのバンドで演奏した《リトル・ワン》も入っている。  

  • YMO飲み会

    ひょんなことから YMO についての飲み会をすることになった。 私が YMO ファンであるということは社内でけっこう広まっているようで、面識がない方からも言われたことがある。また、現在一緒に仕事をしている方が、かつて坂本龍一さんとかなり近しい関係で仕事をしていたということもわかった。なんたって、再生YMOの「TECHNODON」や教授のソロアルバムの「HEARTBEAT」にクレジットされていたり、再生東京ドームコンサートの写真集に写っていたりする方なのだ。そんな感じで雑談をしているうちに盛り上がって、「じゃあ、お宝お披露目の飲み会をやろう」ということになったしだいである。 今は亡き生田朗さんのポラロイドとか、メディア・バーン・ライヴの教授直筆のセットリストとかスタッフ・ジャンパー(もちろんツアー・メンバーのサイン入り)とか、当時のスケジュール帳とかを見せていただく。七輪でイカを焼いているような環境でこんな貴重なものを見せていただいてよかったのだろうか? 話は膨らんで、カルト Q とかマーティン・デニーとかモンセラットの AIR スタジオとか ….. (このへんから記憶が飛んでいる) 結論。「未来派野郎」は名盤である。 また、続きやりましょうね。

  • チック・コリア

    私の勤務している会社で、チック・コリアの社内向けコンサートがあった。 確か、10年くらい前にジャズ・フェスティヴァルでチックのバンドを見たような気がするのだが定かではない。アコースティック・バンドだったかエレクトリック・バンドだったかも覚えていない。 (しかし、誰が言い始めたのか知らないが、チック・コリア・エレクトリック・バンドの「チックエレキバン」という略称は秀逸だなあ。) 曲目は以下の通り。 ガーシュインの「Someone to Watch Over Me」 自作「アルマンドのルンバ」に基づくインプロヴィゼーション 曲目不明。ゲイリー・バートンと一緒にやった曲と言っていたような気がする。 そして、もちろん「スペイン」。 バンドでのチックはあまり好きでなかったのだが、ソロはなかなかよい。そういえば、ゲイリー・バートンとのデュオもよかったなあ。和声的に細かいことは言えないのであるが、テンションコードもすっきりしているというか透明感がある。 「スペイン」はロドリーゴの「アランフェス協奏曲」から続ける展開で(どれかのアルバムに入っていましたっけ?)、途中ではチックが弾いたメロディを掛け合いで聴衆に歌わせるという演出もあった。

  • 近くの中学へ教えに行く

    今日は、団員の有志で近くの中学校へ教えに行く。 まずはパートごとに練習をして、そのあとで合奏というスケジュール。《元禄》(櫛田(月失)之扶)と《マツケンサンバII》の合奏をした。《元禄》は今年の自由曲候補(ちなみに小編成)だということだが、なかなかいい曲を持ってきている。無理に背伸びした編曲モノとか、小編成でよく取り上げそうな海外の教育的オリジナル作品を取り上げるよりは勉強のしがいがあると思う。 うちの団員も一緒に吹いていたからかも知れないが、前もって聞いていた話よりもかなり吹けているようだ。何よりも演奏だけでなく、我々から何かを吸収しようという姿勢にもとても積極性を感じた。(やっぱり「若い」っていいですね。)この積極性があれば上達するのも早いのではないかな。かなり有望だと思うのでがんばって欲しい。 合奏で指示を出していて、「何か、うちの団員に出している指示とそんなに変わらないなあ …..」と密かに思っていたりしていました。

  • プロムナード・コンサート

    浜松駅前でのプロムナード・コンサート。 昨年は雨のために中止になってしまったので久しぶりである。 《サンダーバード》《オレンジレンジ・メドレー》《朧月夜》《ムーン・リバー》《時代劇絵巻》《マツケンサンバII》を演奏した。このコンサートを見に来ているのは比較的年配の方が多いので、《時代劇絵巻》や《マツケンサンバII》などは、かなりお客さんの反応もよかったので喜んでいただけたのではないかな。

  • お買い物

    [tmkm-amazon]4276236908[/tmkm-amazon] まず、タイトルで興味を引かれ、中身をパラパラと見たところ、なかなか面白かったので購入した。管楽器という切り口で、時代を問わず、地域を問わず、スタイルを問わず、ディスクを紹介したガイドである。おそらく、これだけのジャンルを横断的に語れる人はそういないだろう、というくらいの多彩な音楽が紹介されている。これを機にまた興味が広がっていけばいいと感じている。 また、それゆえの掘り下げ具合の甘さや、記述の間違いなどもあるが、まあこれだけの内容のものが作られたということを考えれば、少しは目をつぶろうかなという気にはなる。 とはいえ、具体例を挙げずに批判するのも何なので、いくつか挙げさせていただく。 P.48 – ベリオの紹介の中にある作品「オパス・ナンバー・ゼロ」は「オパス・ナンバー・ズー(Opus Number Zoo:作品番号獣番)」の間違い?作品の中に語りが入るということからおそらくそうなのではないか。 P.119 – 小説「裸のランチ」は作者はポール・ボウルズではなくウィリアム・バロウズ。 P.129 – フランク・ザッパの「ワカ/ジャワカ」が紹介されており、マザーズ・オブ・インヴェンション解散後「ホット・ラッツ」「ウィーゼルス・リップト・マイ・フレッシュ(いたち野郎)」「フィルモア・イースト」に続くソロ4作目とあるが、「いたち野郎」はマザーズ・オブ・インヴェンション名義だし、「フィルモア・イースト」は新生マザーズ名義である。また他にもソロ名義のアルバムはある。 P.220 – ヘンリー・カウの1975年発表の「傾向賛美(In Praise of Learning)」が紹介されているが、ヘンリー・カウが結成された1968年にはリンジー・クーパー(バスーン、オーボエ)やモンゲジ・フェザ(トランペット)は参加していない。「….. といった管楽器の存在自体が68年には前衛だった。」という記述は不適切だと思う。 P.259 – スペクトラムが残したオリジナル・アルバムは2枚ではなく6枚である。(名作「TIME BREAK」はサード) [tmkm-amazon]B0007WZX94[/tmkm-amazon] [tmkm-amazon]B0007WZX9E[/tmkm-amazon] [tmkm-amazon]B0007WZX9O[/tmkm-amazon] [tmkm-amazon]B0007WZX9Y[/tmkm-amazon] これで終わりか?ロジャー・ウォーターズが脱退したあとのピンク・フロイドの紙ジャケ4タイトル。ストーム・トーガソン(元ヒプノシス)のジャケット・アートがやはりよい。ポスターやステッカー、LPのセンターレーベルなど付録も満載。「鬱」は海岸に本物のベッドを約700個実際に並べて撮影したもの。「P・U・L・S・E」はCDは2枚なのであるが、オリジナルLPのフォーマットにのっとった4枚分のジャケットつき。 帯のデザインも東芝EMIから出ていたタイトルと共通性を持たせている点がよい。(ただし価格は今回のソニーの方が断然安い)

  • ぼちぼちブレーンの新譜を

    遅ればせながらブレーンの新譜をまとめて入手。とても一度に聞いている時間がないのでぼちぼちと。 音楽は心 とりあえずは、やっぱりこれ。 中澤忠雄氏が指揮をした野庭高等学校吹奏楽部のコンクール音源と定期演奏会の音源を集めた4枚組。先着で最後の全日本吹奏楽コンクールでのステージを記録した DVD がついている。 ちなみに野庭高の全国大会での成績はこちら。 何を隠そう、この CD の最初に録音されている《サンライズ・マーチ》(岩河三郎)と《海の歌》(レックス・ミッチェル)の年(1982年)には高校生だった私も関東大会のステージに乗っていた。確か、この年のうちの高校の指揮者が「Eb クラリネットとファゴットがなくて関東大会に出場しているのはうちと野庭高くらいだろう」と冗談交じりに言っていたのを覚えている。(確かにうちの学校にはこれらの楽器がなかったのだが、本当に野庭高にもなかったのかどうかは定かではない。) 次の年も無事関東大会に出場でき、またもや野庭高と同じ土俵に上がった。この時にはもう引き合いに出すのが恐れ多いほどサウンドが違っていた。《アルメニアン・ダンス・パートI》の冒頭の「パパパーーーーン」が素晴らしく鮮やかだったことを覚えている。 正直、私は野庭高のアンバランスなアゴーギクやダイナミクス、不自然なカットは支持しない。しかし、時おり聞かれる安定した柔らかな響きはものすごく完成されていると思うし、それがいわゆる「野庭高サウンド」の肝なのだと思っている。 そう考えると、上記の《アルメニアン・ダンス・パートI》や《ハムレットへの音楽》(これ、確か須川展也さんがバンドジャーナル誌上で絶賛していた)であっという間に頂点まで上り詰めてしまったあとでの、《サンタフェ物語》や《ルイ・ブルジョワの賛歌による変奏曲》でのサウンドの試行錯誤は興味深い。サウンドは荒いがかなり鳴らしまくっている。この《サンタフェ物語》が関東大会に進めなかった(いわゆる県落ち)というのは信じ難い。 そういう時期を経て、《アパラチアの春》(アーロン・コープランド)や《吹奏楽のためのファンタジー》(夏田鐘甲)などの透き通るようなハーモニーを完成させたのではないか。おそらくこういうサウンドでは全国大会で金賞は取れないだろう(実際取れなかった)が、このあたりが野庭高の到達点なのだと思う。