以前はDENONから出ていた(あ、今も廉価盤で出ているか …)インバル/フランクフルト放送響のコンビによるベルリオーズの管弦楽作品集。最近よくお世話になっている激安レーベル Brilliant Classics からのライセンス販売である。jpc.deで19.99ユーロ。CD 11枚に
- 幻想交響曲
- イタリアのハロルド
- 劇的物語《ファウストの劫罰》
- 劇的交響曲《ロメオとジュリエット》
- キリストの幼時
- テ・デウム
- レクイエム
が収録されている。
ちなみにインバルは《幻想交響曲》の続編と位置付けられている《レリオあるいは生への復帰》(作曲者自身が連続した上演を指示しているにもかかわらずその機会は少ない)も録音しているのだが、なぜかこのボックスには含まれていない。これがこのボックスのマイナスポイントであると指摘する人もあるのだが、私は《幻想交響曲》の初発売時に限定生産された《レリオ》とのカップリング盤を持っているので問題ない。(好きな言葉は「初回限定」です。)まあ、廉価盤では普通に《レリオ》も手に入るようだが …
「音楽が重い」だの「抑揚に欠ける」など批判的な意見の多いこの頃(1980年代後半~1990年代前半)のインバルであるが、マーラー交響曲全集やブルックナー交響曲全集における、感情的に拘泥することなく曲の細部を見渡せる演奏はけっこう気に入っている。もっとも同じ頃にリリースされたラヴェル管弦楽作品集における《ダフニスとクロエ》はさすが重くて嫌だった覚えがあるが。
ということで、この全集を買う前に手持ちの《幻想交響曲》を聞き直してみたのだが、やはり悪くない。フランス的というよりはドイツ的だし、多くのリスナーがこの作品に期待するであろうグロテスクさや魑魅魍魎さは薄味だとは思うが、純音楽的なアプローチは明快で爽快である。第4楽章「断頭台の行進」で前半部がリピートされるのはちょっとびっくりするけれど。