amazon.de に注文した《ニーベルンクの指環》の残り三作《ラインの黄金》《ヴァルキューレ》《ジークフリート》が到着しました。
息子の質問(というか、ほとんど茶々)に答えながら部分的に見ているのですが、私はかなり楽しめました。大型のディスプレイを使った状況描写はオーソドックスなオペラ(というべきか楽劇というべきか)としては邪道なのかも知れませんが、ワーグナーが想定した情景を舞台上で再現するためには、こういった技術を持ってくることは否定できないのではないかと思います。私は歌手の出来やオーケストラの出来よりも楽劇としてのストーリーを楽しみたいので、それらがある程度の水準に達していれば細かいことはあまり気にせずに舞台の上で繰り広げられている情景が面白ければ、とりあえずはそれで満足できます。そういった意味で、(誤解を恐れずに言えば)テーマパークやハリウッドのブロックバスター映画的なスペクタクルさを持つこのステージ演出については肯定的です。
例えば《ラインの黄金》の巨人がほとんどロボットのようないでたちであったりとか、ギービヒ家の人たちの衣装にあからさまに資本主義を象徴する円マークとかユーロマークなどが貼り付けられていたりとか、細かい部分でのギミックはありますが、全般的にはワーグナーが描こうとした世界に忠実なのではないかと思います。最終部分、CGによって描写されるめくるめく炎の中で神々の世界が終焉するさま(これは《ラインの黄金》で組み体操のように作られた人間によるヴァルハラがばらばらになることによって表現されています)、その下で再びライン川の3人の乙女のもとに指環が返ってくるさまはかなり見応えがありました。
個人的にはブーレーズ/バイロイト→サヴァリッシュ/バイエルン国立歌劇場→レヴァイン/メトロポリタン歌劇場を経て、やっと(ある程度)満足する《指環》に出会えたかな、と思っています。