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ロンドン日記(その3)見つめる絵はターナー

昨日はシステムがよくわからずに頼みそびれたイングリッシュ・ブレックファストですが、今日はちゃんと注文できました。やはり、イギリスに来たらこれを食べないと。

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ロンドンを初めて訪れたのはおよそ10年前の年末年始。香港経由のキャセイパシフィックという、今なら絶対に利用しない超遠回りの格安チケットで行ったのでした。しかもロンドンでは体調を崩し(雨で冷え切った体で食べた生牡蠣が悪かったのではないかという説あり)妻は3日間ほど寝たきり、私はその時に初公開された「ジョン・レノンとポール・マッカートニーが初めて会った日のクォリーメン(ジョンが在籍していたグループ)の演奏」を聞くために文字通り這うような状態でこの展覧会まで行ったりとあまりいい思い出はないのですが、いまだに覚えている情景があります。

地下鉄の中で日本人の父親と男の子がいました。幼稚園くらいの子供はリュックサックを背負って、わくわくしているのが見てとれます。椅子に座っているのもじれったい感じでそわそわしながらお父さんと思しき男性に話しかけています。男性の方は何も言わずに軽く微笑んで子供の方を見ています。その時、自分にもこんなシチュエーションがやってくるのだろうかと漠然と考えました。

また地下鉄に乗りながら、本当に息子を連れてロンドンに来る日があるんだなあ、と思ったのでした。

息子と一緒では美術館に来てもゆっくり絵を見ることはできないと思ったので、この機会にげっぷが出るほどターナーを見てみたいと思い、ターナー・コレクションを有するテート・ギャラリーへ行ってみることにしました。ちなみにテート・ギャラリーはイギリス各地に点在する美術館群の総称で、ロンドンには古典から現代までのイギリス美術を俯瞰する「テート・ブリテン」と、現代美術を専門に扱う「テート・モダン」があります。

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テート・ブリテンでは、ちょうど「Turner and The Masters」という特別展示が開催されていました。ターナーの絵というと、モネなどの印象主義に通じる、あるいは抽象の先駆ともいうべき、にじんだ色彩やフォルムでよく知られていますが、実は先達の画家たちの構図や色彩から多くのものを学び取り、それを自分の作風として咀嚼していったという一面もあります。この特別展示では、そうした先達とターナー自身の作品が併置されて展示されていて、ターナーが誰から何を学んだのかわかるようになっています。レンブラントから学んだ光と闇(というか闇と光と言った方がいいですかね)とか、プーサンから学んだ風景画の構図とかです。他の美術館で展示されているターナーの絵も、この特別展示のためにテート・ブリテンに移されてきました。

それから、ターナー・コレクションへ。全般的な傾向は特別展示と同じような感じでした。私が好きな後期の抽象的な作品はナショナル・ギャラリーに行った方がいいのかなあ?(山下達郎さんの《ターナーの汽罐車》の題材になった「雨、蒸気、速力」はナショナル・ギャラリーにあります)

全然予習もせずに回っているので、どこに何の絵があるのかさっぱりわかりません。ちなみにターナーの絵はターナー・コレクション以外の一般展示でも見ることができますのでお忘れなく。とりあえずロセッティの「プロセルピナ」があるのを発見しました。

ちなみに美術館のカフェで軽い昼食を。モカ・マキアートとツナ・サンドウィッチです。

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その後、テート・モダンへ。テート・ブリテンからテート・モダンへは水上バスを使って行くことができます。

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こちらは「ポップ・ライフ」という特別展示が開催されていました。ロンドンに着いて早々に乗った地下鉄の構内に貼られていたジェフ・クーンズのうさぎのポスターにやられてしまったので、ぜひ行きたいと思っていました。まさにポップ・アートの総決算という展示で、アンディ・ウォーホール、ジェフ・クーンズ、ロイ・リキテンシュタイン、最近のものでは村上隆さんの作品も展示されていました。アキバ系の歌手が歌っているビデオが流されていて、それに合わせて踊っている子供、それを微笑ましく見ている展示係員、そこに立ちすくむ日本人の立場は微妙です(笑)。

ホテルに預けておいた荷物を引き取って空港へ。無事チェックインしたのは離陸スケジュールの50分前でした。微妙なタイミングですが、今回の旅行で食べられなかったフィッシュ・アンド・チップスを食べておこうと思い、レストランへ。(まあ、往々にして搭乗時刻は遅れるしね。)運よく早めにサーヴされたので、急いでかっ込んで搭乗口へ。案の定、まだ搭乗は始まっていませんでした。よかったよかった。

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機内食はハム・サンドウィッチとオレンジジュースでした。

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19時30分のフライトで22時頃ハンブルク到着(1時間の時差があります)。例によって旅行に行くと普段とは比べ物にならないくらい歩くので下半身はガタガタですが(明日以降もっと痛くなるんだろうなあ)、本当に浜松から東京へ行くような感覚でハンブルクからロンドンへ行けるのでした。まだまだ見たいけど見ていないものがたくさんあるので、ドイツにいる間にまた何回か行ってみたいと思います。

演奏会その20: RYUICHI SAKAMOTO PLAYING THE PIANO EUROPE 2009

はい、そういうわけで続きです。このコンサートのチケットを予約したのは7月上旬のことでした。ドイツに赴任して、とある方にヨーロッパツアーの日程を教えていただいて、一日有休を取れば何とか行ける日程を探して、でこの日のロンドンに決めたのでした。その時点で残りはあと5席。日本で行ったコンサートでは目の前に誰もいない最前列の席だったのですが、この日は後ろに誰もいない(苦笑)2階最後列の席になってしまいました。

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それでもこんな感じの席だったので、見にくいことは全然ありませんでした。ちなみに私の席の左側、つまり2階中央にはF.O.H.用のスペースがあらかじめ確保されています。これも含めて、空間をとてもぜいたくに使ったホールだと感じました。とにかく音響は素晴らしかったです。

  • glacier
  • hibari
  • still life
  • in the red
  • nostalgia
  • composition0919
  • A Flower Is Not A Flower
  • 水の中のバガテル
  • amore
  • tango
  • energy flow
  • High Heels
  • women without men
  • the last emperor
  • 美貌の青空
  • behind the mask
  • tibetan dance
  • thousand knives
  • Merry Christmas Mr. Lawrence

コンサートは日本と同じように、《glacier》から始まる「out of noise」からの作品→いわゆる「playing the piano」ソロ編→もう一台のピアノを使った「playing the piano」一人デュエット編という流れで進みます。ただ日本公演と違い、前半には「out of noise」からの曲、それもピアノ以外の楽器が含まれた曲が多く置かれていました。こちらでは「out of noise」は発売されたばかり(ただし「Playing the Piano」との限定カップリング)なので、やはりプロモーション的な意味合いもあるのでしょうか。ヴィオールや笙の音が鳴らされるそれら3曲《still life》《in the red》《nostalgia》はかなり印象的でした。いまさら気付きましたが《in the red》はメシアンの《世の終わりのための四重奏曲》を連想しますね。「天国的な長さ」に引き伸ばされたピアノの連打。

日本公演と比べると、アレンジが変わっている曲が多かったです。目立つものでは《Flower Is Not A Flower》の冒頭の和音とか、《千のナイフ》の低音パートとか。あと、時々ルバートが過剰に感じる部分がありました。特に「ソロ編」で非常にスタティックな印象(イギリスのプレスではこれが否定的にレビューされていたようです)を受けたのはそのせいかも知れません。

なぜかわかりませんでしたが、《the last emperor》のあとで一旦教授が袖に引っ込み、すぐに戻ってきました。そこからが後半戦。《tibetan dance》ではスクリーン上にダライ・ラマ14世のメッセージが流されました。《千のナイフ》の後半ではサブのピアノに主旋律を弾かせて、教授はインプロヴィゼーションを繰り広げるというスリリングな展開がよかったです。

アンコールは《戦メリ》。もう何回も何回も聞いている(し、私は教授がこの曲をピアノで弾くのには少々否定的です)のですが、なぜかこの日の演奏が今まで聞いた演奏の中でいちばん感動しました。コンサート本編では違和感を感じていたルバートの感覚が、この曲では当日の私のコンディションにぴったり合ったのかも知れません。あとは自分が置かれている環境とか、12月を迎えようとするこのタイミングとか、当日のホールの音響とか、小雨がぱらつく当日の天候とか、そういったものが絡み合っていたのかも知れません。

とにかく、最後の2曲でやられた、という感じでした。

*****

帰りは途中にあるパブで夕食を取ろうと考えました。まずはギネスを。生のギネスを飲むのも久しぶりです。食べ物を頼もうとメニューを見ていると、「悪いね。今日はもうキッチンは終わっちゃったよ。」とのこと。(出張でロンドンに来た時にも言われたことがあったなあ …)「本当に食べるものないの?」と聞いたところ「チップスならあるよ。」とのこと。しょうがないのでソルト&ビネガーのポテトチップス(これはこれでうまいのですが)をつまみながらギネスを飲みましたとさ。

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ロンドン日記(その2)鉄ちゃん in ロンドン

さて、前日と同じように地下鉄は止まっています。コンサートが開かれる Cadogan Hall の最寄り駅は Sloane Square なのですが、この駅にとまる Circle Line も District Line も動いていません。幸い、ホテルのある South Kensington 駅からは一駅分なので Sloane Square まで歩いてみることにしました。コンサートのチケットはオンラインで予約できたのですが、郵送はイギリス国内だけということだったので、会場の確認がてらチケットをピックアップしようと思ったわけです。

Sloane Square は高級ショップが立ち並ぶ広場のようなところです。会場の Cadogan Hall はそこから少し奥まった場所にあります。着いてみたらチケットオフィスは午後3時から開くとのこと。ちょうどピアノを搬入しているところでした。

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しかたがないので、Knightsbridge まで歩き、そこから地下鉄に乗って Covent Garden へ行き、交通博物館へ行ってみることにしました。日本の鉄道博物館よりは小規模ですが、馬車から始まって、地下鉄、バスなど、ロンドンの交通の歴史を時代順に見ていくことができます。日本とは違う意匠の乗り物がたくさんあって、かなり楽しめました。

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一回りした後お土産コーナーへ。主に息子のためにいろいろお土産を買い込みました。

雨も激しくなってきたので昼食は近くのパブ風のレストラン(?)へ。他のお客さんはそろそろハイティーを嗜もうという時間ですが、反射的にビールを注文してしまいました(文句あるか)。フィッシュ・アンド・チップスを食べたかったのですが、少しカジュアルなお店だったのでありませんでした。代わりに注文したのがフィッシュケーキなるもの。魚のすり身とジャガイモを混ぜて揚げたものです。

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メインディッシュの量が上品でしたし、雰囲気的にデザートを頼んだ方がよさそうだったのでエスプレッソとデザートを注文しました。(なんかカスタードの海に沈むゴン太くんみたいですが …)

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悲しい性のため、近くに CD ショップがあると入らずにはいられません。Covent Garden にあった HMV に入ってみることにしました。イギリス記念ということで。

Welcome to the Pleasuredome

懐かしいですね。リマスター盤が安く売られていたので買ってみました。同性愛を歌って放送禁止になったデビューシングル《Relax》、東西冷戦を茶化してこれまた放送禁止になった第2弾シングル《Two Tribes》の出来は素晴らしいのですが、それ以外の作品がこんなにもつまらなかったこと(笑)を再確認できました。やはり、この2曲の怒涛のバージョン/ミックス違いを集めた盤の方が楽しいかも知れません。

Odelay

これはイギリスではないのですが、上記の FGTH とあわせて10ポンドだったので。確か、ミュージックマガジン誌が選ぶ1990年代のベストアルバムに選ばれていたような気がするので聞いてみたかったのです。

Manafon

デヴィッド・シルヴィアンの最新アルバム。前作「Blemish」がえらく気にいったので。前作ではデレク・ベイリーが一人でバックを務めていたのですが、今作では大友良英さんやフェネスなどのアンサンブルがバックを務めています。作風は前作と変わっていません。ウェーベルンあたりの歌曲と並べておいても違和感がなさそうな、とにかく抑制された音数です。

The Official BBC Children in Need Medley

やはり、サージェント・ペパーのパロディ・ジャケットには反応してしまいます。BBC がやっている、恵まれない子供のための募金活動へのチャリティ・シングルです。もちろん、全てのキャラクターを知っているわけではないのですが、機関車トーマス、スポンジ・ボブ、サンダーバード、テレタビーズ、ピングーなどなどが登場します。ビデオは以下で見ることができます。

やはり、昼間からビールを飲むと眠くなりますし、いい加減歩き疲れたので、いったんホテルに戻って休むことにしました。

コンサートは別エントリーで書くことにします。後半へ続く。

ロンドン日記(その1)ロンドンは今日も雨だった

多忙な一週間も無事終わり、今日から2泊3日(月曜日は有給休暇)でロンドンへ遊びに行きます。

そもそもの目的は坂本龍一さんのヨーロッパツアーを聞きに行くことです。ドイツ国内でもコンサートは開催されたのですが、どこも平日だったのでなかなか行きにくい日程ばかりでした。ロンドン公演は日曜日と月曜日に開催されるので、日曜日にコンサートを聴いて、月曜日に帰ってくればいいと思ったわけです。そうすれば週末を利用して観光もできますし。

それから、会社の同期入社の友人がロンドン駐在なので、この機会に一緒に食事でもできれば、ということで。

案の定、多少の二日酔いをともなって午前7時に起床。朝食を食べて、洗濯をしながらゆっくりと荷造りをして午前11時半くらいに家を出ました。アパートの最寄り駅の Hasselbrook からは S バーン1本で20分ほどでハンブルク空港まで行けます。便利です。

チェックイン後、サーモンサンドとアプフェルショーレの軽い昼食を取りながら時間をつぶしました。ちなみに機内食はチーズサンドとアップルジュースでした。

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1時間30分ほどのフライトでヒースロー空港へ。浜松から「ひかり」で東京へ行くくらいの所要時間です。なんか、表示が全て英語ってとても新鮮です(笑)。地下鉄用のオイスターカードを購入して市内へ。前もって友人から聞いていたのですが、毎週末を利用して地下鉄の改修工事をしているらしく、特に今週末は主要な路線である Circle Line と District Line が止まっていました。

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ホテルは友人の紹介でサウス・ケンジントン(South Kensington)駅近くの Regency を予約しました。

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荷解きをしたらすぐに友人との待ち合わせ場所の Turnham Green 駅へ。本当なら South Kensington から Turnham Green までは District Line 一本で行けるのですが、South Kensington 付近の District Line は動いていないので、Hammersmith まで Piccadilly Line で行って、そこで District Line に乗り換えないといけません。特に時間を見積もって移動していたわけではないのですが(そもそも予測不可能)、ほとんどゴルゴ13なみの正確さで待ち合わせ時間の午後5時に Turnham Green 駅に到着、待ち合わせた友人からもびっくりされました。

夕食にはインド風のカレー料理を所望していたのですが、残念ながらこの日は休業していたようで、タイ風のカレー料理のお店に行きました。前に出張に来た時に、当時駐在していたレルラ島さんに連れてきてもらった店かな?そのレルラ島さんおすすめの London Pride などを飲みました。

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会話はお互いの近況報告に始まって、自分たちの仕事のこと、日本との仕事のこと、などなど。お互いに全然違う業務を担当しているのですが、やはり日本と現地との些細なコミュニケーション・エラーで双方にフラストレーションがたまってしまうよね、みたいな話になりました。同じような苦労があるのかな。

ちなみに海外赴任情報(笑)。ドイツでは入国してからビザを取得することになっているのですが、イギリスはビザを取得してからでないと入国できないそうです。また、いつビザが発行されるかわからないので、発行されたらすぐに着任できるようにあらかじめ用意しておかないといけないそうです。彼は金曜日にビザが発行されて、その翌々日の日曜日には離日していたそうです。

油断して傘を持って来なかったら帰りはどしゃぶり。(はい、そうですね、このへんの天気の変わりやすさはハンブルクと一緒ですね)駅まで傘に入れてもらいました。

おいでませハンブルクへ(第3回その5)

一応、一週間のミーティングも無事終わり、先週と同様「あかり」で打ち上げ。ドイツ駐在社員4名と出張者2名と面子でした。私はこの4名のなかでいちばん駐在歴が短いので、こういう場でいろいろな情報を教えていただけるのがありがたいです。どこそこで「もやし」を売っていたとか、日本と同じような形のキャベツはとても固いから別の品種を買え、とか。アイデルシュテットに住むのは止めた方がいいぞ(笑、これで3人目ですね、止めた方がいいと言っている人は)とか。

先週同様、牛タン、冷や奴、シメサバ、刺身、お茶漬けなど普段なかなか食べられないものを食べさせていただきました。最近、ここのカツカレーあるいは海老フライカレーを食べていないのですが、さすがにひとしきり食べたり飲んだりしたあとでカツカレーはきついので、またの機会にすることにします。

さて、明日からロンドンへ遊びに行きます。ほとんど用意していないのですが、無事に行けるのでしょうか?

おいでませハンブルクへ(第3回その4)

そして、出張者ご所望のハンブルガードームへ。今回の出張チームはなぜか冬のドームの時期(11月中旬から12月上旬)にハンブルクに出張に来ることが多くて、ドームの中のステーキ屋でステーキを食べることが毎年の恒例になっています。私も2年前の11月に初めて現在の勤務先に出張した時に食べました。毎回、次の企画への決起集会のような意味合いがあるような気がします。というわけで、次の企画もきっとうまく行くでしょう。

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ちょっとタレに漬け込んだ豚肉を炭火で焼き、少し胡椒を効かせたザウアークラウトとパンが付け合わされているだけのシンプルな一品なのですが、これがおいしいのです。やはり冬に食べてこそ、だと思います。私自身は家族と一緒に夏のドームにも来たのですが、さすがにその時は食べませんでした。

そのあと、高所恐怖症だというレルラ島さんを言葉巧みに誘って(笑)、大観覧車に乗ってみました。さすがに寒いですが、上から見るライトアップされたドームは綺麗です。夏は日が長過ぎて、そうとう夜遅くならないとこんなに真っ暗にはなりません。

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おいでませハンブルクへ(第3回その3)

実はアフターファイブも結構忙しかったりします。

今日は現地社員との食事会ということで出張者2名、駐在員(私も含めて)2名、ドイツ人社員2名で食事に行きました。invitationを出したのが前日のお昼だし、しかも営業部門のクリスマスパーティーがバッティングしていたこともあったのですが、まあキーとなる人たちに出席してもらえたのでよかったのではないかと思っています。

場所は、私が以前出張で来た時にも連れてきてもらった「ショーペンハウアー」というお店です。ミニチュア・ワンダーランドにも近いエルベ川河畔にあります。1842年に発生した大火事や第2次世界大戦中の空襲などから奇跡的に焼け残った一角にあるお店で、建物自体は400年近く前に建てられたものなのだそうです。前もってもらっていた案内図では最寄りのUバーン駅(Rödingsmarkt)から徒歩5分ということだったのですが、5分くらい歩いてもそれらしき建物が見当たりません。周辺はオフィスばかりでレストランのような建物はそれほど多くないので迷いようがないと思っていたのですが、ちょっと不安になります。結局10分くらいかかりました。(どうやったら5分で来れるんだ?)

6人中4人は今が旬のグリュンコール(Grünkohl)を。私は前に食べたので魚のソテーにしました。グリュンコールは食べ続けているとある時点でドカッとお腹にたまるんですよねえ。あと、お酒は初めて試すヴァイツェンです。マイゼルス・ヴァイセ(Maisel’s Weisse)?それから食後に腹ごなしのシュナップスをいただきました。

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向かいに座ったArndと音楽の話を(したような気がする …)。エルベ川河岸に新しいコンサートホールが建設中ということは知っていたのですが、工事現場を見学できるのだそうです。いわゆるワインヤード型で、ヨーロッパ随一の音響を誇るホールになる予定なのだとか。財政危機のために建設が遅れているという噂も聞くのですが、私がドイツにいるうちに完成して欲しいものです。それからレーパーバーン地区での音楽情報など。無名のバンドが小さなハコでやるような場所がたくさんあるので熱気はすごいということです。何でもいいから行ってみようかな?

おいでませハンブルクへ(第3回その2)

今日も昨日に引き続き、朝から夕方までみっちりミーティングでした。

夕食は「今までに行ったことがないところ」ということで、私のアパート近くの「Factory」に行きました。同行者はスペアリブと、先週私が注文したシュニッツェル・ボンベイを、私は久しぶりのBratheringeを注文しました。写真を撮り忘れたので、画像は過去の日記からご参照下さい。ちなみにお裾分けをもらったスペアリブは大変おいしかったのですが、とても一人では食べられそうにない量だったので、しばらく画像が載ることはなさそうです。

(過去の食事日記はお店ごとに並べた方が便利かも知れないなあ …)

おいでませハンブルクへ(第3回その1)

今週も日本からお客様が来ています。私も日本にいた時は彼らのチームに属していて、今の勤務先とのやり取りをやっていました。今も仕事上はいちばん密接に関係している人たちです。そういうわけで、今週一週間はほとんど缶詰めで一日中打ち合わせを行うことになりそうです。

夕食は、例の(日本人が来ると毎回連れて行く)Rahlstedt駅近くのアジア料理屋に行きました。

それから、お言葉に甘えて日本から以下のCDとDVDを持ってきてもらいました。

GOLDEN☆BEST 山口百恵 コンプリート・シングルコレクション

例の「ザ・ベストテン 山口百恵 完全保存版 DVD BOX」に触発されて以来、ちゃんと楽曲を聞いてみたいと思っていたのですが、いやいや、想像以上に素晴らしい内容でした。歌唱力という意味ではもっとうまい歌手もいるのでしょうが、ちゃんと歌い方を考えて歌っているんだなあ、という印象です。いわゆる「アイドル歌手」というカテゴリーはもはや死語になっているのだと思いますが、「アイドル歌手」がイコンとして機能していた時代、つまり誰もが歌手としてのスポットライトを浴びることができるわけではなくて、素材として見いだされて、磨き抜かれて、独自の世界観を打ち出すことができた人だけが生き残れた時代の迫力(これは本人だけでなくスタッフも含めた意志という意味で)を再確認できます。はっきりいってデビュー曲はほとんど印象に残らない曲なのですが、そこから軌道を修正しながら確固たる個性を獲得するまでの道筋には畏敬の念すら感じます。懐古趣味も多分にあるのかと思いますが、一曲にかけられた手間が昨今のヒットチャートとは全然違うのだなと思いました。

ビトウィーン・マイ・ヘッド・アンド・ザ・スカイ

日本盤は一曲多いらしいので。コーネリアス周辺がバックアップしていることに興味を持ちました。

The Silken Tent

教授の「out of noise」に参加した古楽器演奏グループ。来月ハンブルクで演奏会があるので予習がてら買ってみることにしました。commmonsから出るくらいだから海外盤もあるのかと思って探していたのですが、今のところ見つかっていません。

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先日、ベルリンに行ってから無性に「ベルリン・天使の詩」を見たくなりました。ついでに「パリ・テキサス」も見直してみたいと思いました。前に見た時にはまだ息子は生まれていなくて、息子が生まれた今あらためて見返したら絶対号泣してしまいそうな気がしているのですが(笑)。で、噂に聞く「都会のアリス」はまだ見ていなかったし、「パリ・テキサス」と同じ監督/脚本で20年ぶりに撮ったという「アメリカ、家族のいる風景」もなかなかよさそうです。というわけでヴィム・ヴェンダース4連発です。せっかく持ってきてもらったので、年末年始の帰国前に全部ちゃんと見ます(宣言)。

演奏会その19: ハンブルク・フィル第3回

Sonntag 22. November 2009, 11:00 Uhr

3. Philharmonisches Konzert

Aaron Copland – Quiet City
Christian Jost – Pietà – in memoriam Chet Baker, Konzert für Trompete in B und Orchester
Erich W. Korngold – Sinfonie Fis-Dur op. 40

Dirigent: Christian Jost
Trompete: Sergej Nakariakov

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珍しく、かれこれ2週間ほどライスハレへ行きませんでした。今日は毎月恒例のハンブルク・フィルの定期公演です。今回も月曜日の公演を日曜日のマチネに切り替えてもらいました。コープランドの《静かな都会》、クリスチャン・ヨストの自作自演によるトランペット協奏曲《ピエタ》、コルンゴルトの《交響曲嬰ヘ調》という地味なプログラムなせいか、いつもより心なしかお客さんが少ないような気がしました。

《静かな都会》はイングリッシュ・ホルンとトランペットに弦楽合奏という編成。タイトルからも連想されるように全編に渡ってゆったりとしたテンポで演奏されます。

《ピエタ》のトランペット・ソロはセルゲイ・ナカリャコフ。「うららイン・ザ・スカイ」ももう10年以上前のことなんですね。「バンドジャーナル」でよく見かけた頃はいかにも天才少年という風貌だったのですが、すっかり大人の雰囲気を醸し出していました。曲ですが、私の苦手なタイプの現代音楽でした。ソロは多くの部分でハーマン・ミュートをつけてちまちまとしたパッセージを吹きます。ときどきジャズっぽいリズムがクライマックスを気付いたり、スパニッシュ・モードっぽい感じのトランペット・ソロが出てきたりしますが、もう少しトランペットっぽい、あるいはソロっぽい役割があってもいいのではないかなと思いました。何につけてもひっかかるものがない作品でした。これもCDが出ているようなので解説を読みながら聞き直せばもう少し理解できるのかなあ?

メインのコルンゴルトの交響曲ですが、まあマイナーと言っていいですよね。ユダヤ人だったためにオーストリアからアメリカに亡命し、そこで映画音楽を書いて生計を立てていたコルンゴルトが、第2次大戦後にウィーン楽壇への復帰を画策して書いた作品です。私はヴェルザー=メスト/フィラデルフィア管の演奏でかなり予習して臨んだのですが、この交響曲を初めて聞いて50分聞き続けるのは結構大変なのではないかと思います。構造的には古典的な4楽章交響曲、つまりソナタ形式の第1楽章、スケルツォである第2楽章、緩徐楽章の第3楽章、アレグロの第4楽章という形を取っているのですが、無調的な旋律で始まる第1楽章がかなり取っつきにくいので、ここで挫折するとそのあとも何となく煙に巻かれてしまいます(私がそうでした)。第2楽章以降はかなりわかりやすく面白い音楽なのですが。

そういうわけで、各楽想のキャラクターを明確に示した今日の演奏は非常にわかりやすかったし、楽しめました。反面、視点が微視的になりがちで、楽想ごとのつながりがあまり感じられなかったのが欠点だったように思います。第3楽章などは大きな流れでとらえないとクライマックスまでの到達感が不自然になってしまいますし、第4楽章は同じような旋律が続くので曲が漫然と流れてしまいます。まあ、ヨストの指揮を見ていると、そこまでコントロールするバトンテクニックは持ち合わせていないのかな、と思いましたが。

終演後、久しぶりに中央駅前の「NAGEL」で昼食を。

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自家醸造らしい黒ビールはかなり苦みがあります。メインディッシュは、まだ試していなかったハンブルガー・パンフィッシュ。画像だとよくわかりませんが、フライパンの中ほぼ半分がジャガイモです。マスタードソースの下の魚も一種類だったのでちょっといまいちだったかな。

食事をしているとハンブルガーSVのレプリカを来た集団が入ってきて、試合前の景気付けをやっていました。今日の試合は小野伸二が所属するボーフム。完全に格下だったのですが、ハンブルガーSVは0-1で負けてしまいました。足踏みをしている間に5位まで交代してしまいました。(小野が先発フル出場したのだったら見に行けばよかったなあ …)