演奏会その19: ハンブルク・フィル第3回

Sonntag 22. November 2009, 11:00 Uhr

3. Philharmonisches Konzert

Aaron Copland – Quiet City
Christian Jost – Pietà – in memoriam Chet Baker, Konzert für Trompete in B und Orchester
Erich W. Korngold – Sinfonie Fis-Dur op. 40

Dirigent: Christian Jost
Trompete: Sergej Nakariakov

IMG_0556

珍しく、かれこれ2週間ほどライスハレへ行きませんでした。今日は毎月恒例のハンブルク・フィルの定期公演です。今回も月曜日の公演を日曜日のマチネに切り替えてもらいました。コープランドの《静かな都会》、クリスチャン・ヨストの自作自演によるトランペット協奏曲《ピエタ》、コルンゴルトの《交響曲嬰ヘ調》という地味なプログラムなせいか、いつもより心なしかお客さんが少ないような気がしました。

《静かな都会》はイングリッシュ・ホルンとトランペットに弦楽合奏という編成。タイトルからも連想されるように全編に渡ってゆったりとしたテンポで演奏されます。

《ピエタ》のトランペット・ソロはセルゲイ・ナカリャコフ。「うららイン・ザ・スカイ」ももう10年以上前のことなんですね。「バンドジャーナル」でよく見かけた頃はいかにも天才少年という風貌だったのですが、すっかり大人の雰囲気を醸し出していました。曲ですが、私の苦手なタイプの現代音楽でした。ソロは多くの部分でハーマン・ミュートをつけてちまちまとしたパッセージを吹きます。ときどきジャズっぽいリズムがクライマックスを気付いたり、スパニッシュ・モードっぽい感じのトランペット・ソロが出てきたりしますが、もう少しトランペットっぽい、あるいはソロっぽい役割があってもいいのではないかなと思いました。何につけてもひっかかるものがない作品でした。これもCDが出ているようなので解説を読みながら聞き直せばもう少し理解できるのかなあ?

メインのコルンゴルトの交響曲ですが、まあマイナーと言っていいですよね。ユダヤ人だったためにオーストリアからアメリカに亡命し、そこで映画音楽を書いて生計を立てていたコルンゴルトが、第2次大戦後にウィーン楽壇への復帰を画策して書いた作品です。私はヴェルザー=メスト/フィラデルフィア管の演奏でかなり予習して臨んだのですが、この交響曲を初めて聞いて50分聞き続けるのは結構大変なのではないかと思います。構造的には古典的な4楽章交響曲、つまりソナタ形式の第1楽章、スケルツォである第2楽章、緩徐楽章の第3楽章、アレグロの第4楽章という形を取っているのですが、無調的な旋律で始まる第1楽章がかなり取っつきにくいので、ここで挫折するとそのあとも何となく煙に巻かれてしまいます(私がそうでした)。第2楽章以降はかなりわかりやすく面白い音楽なのですが。

そういうわけで、各楽想のキャラクターを明確に示した今日の演奏は非常にわかりやすかったし、楽しめました。反面、視点が微視的になりがちで、楽想ごとのつながりがあまり感じられなかったのが欠点だったように思います。第3楽章などは大きな流れでとらえないとクライマックスまでの到達感が不自然になってしまいますし、第4楽章は同じような旋律が続くので曲が漫然と流れてしまいます。まあ、ヨストの指揮を見ていると、そこまでコントロールするバトンテクニックは持ち合わせていないのかな、と思いましたが。

終演後、久しぶりに中央駅前の「NAGEL」で昼食を。

IMG_0558IMG_0559

自家醸造らしい黒ビールはかなり苦みがあります。メインディッシュは、まだ試していなかったハンブルガー・パンフィッシュ。画像だとよくわかりませんが、フライパンの中ほぼ半分がジャガイモです。マスタードソースの下の魚も一種類だったのでちょっといまいちだったかな。

食事をしているとハンブルガーSVのレプリカを来た集団が入ってきて、試合前の景気付けをやっていました。今日の試合は小野伸二が所属するボーフム。完全に格下だったのですが、ハンブルガーSVは0-1で負けてしまいました。足踏みをしている間に5位まで交代してしまいました。(小野が先発フル出場したのだったら見に行けばよかったなあ …)

2 thoughts on “演奏会その19: ハンブルク・フィル第3回

  1. ながぐつ

    こんにちは。
    定期公演の情報、ありがとうございます。

    今回の演奏会の曲目は、1つも聴いたことがありません。ナカリャコフ、懐かしい名前ですね。元気で活躍されているのですね。

    コルンゴルトの交響曲はNAXOSかどこかからCDが出ていて触手が動いたことがありますが、買わずに今日まで来ています。最初、「コンコルド」と読んでしまった(^_^;)

    コープランドのその曲は存在すら知りませんでした。イングリッシュホルンが入っている曲なのですね。これはオーボエ吹きとしたことが・・・。早速アマゾンで検索したところ、アパラチアの春・クラリネット協奏曲のカップリングで1250円で売っていたので、注文してしまいました。

  2. musicabella 投稿作成者

    ながぐつ様:

    ナカリャコフ、最近は日本であまり活動していないんですかね?確か、バンドジャーナルにピンナップがついていたこともあったと記憶しているのですが。大人になってしまったので今までの人気を支えていたブラバン少女のターゲットから外れてしまったのかも知れませんね。

    コルンゴルト(アメリカで映画音楽を書いていた時期はコーンゴールドという発音の方がふさわしいかも知れません)の交響曲は極めてとっつきにくい作品ですが、一度目覚めてしまうと極めて明快な構成を持った交響曲だと思いました。自作が引用されているそうなのですが、浅学な私にはそこまでわかりませんでした。

    コープランドといえば、シンコペーションの効いた独特のリズムが特徴ですが、《静かな都会》は裏の個性ともいえる、いかにも彼らしいゆったりとしたテンポの作品です。《ロデオ》の緩徐楽章とか《アパラチアの春》に近い雰囲気もありますね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください