ベリオ二題

(もうだいぶ戻ってしまったが)円高だったのでガツンと輸入盤を買おうと思って思案中。

前から買いたいと思っていて、きっかけがなくて買えていなかったのがルチアーノ・ベリオのセクエンツァ集。独奏楽器のために書かれた超絶技巧を必要とする作品である。いくつか聞いたことがあるのだが、聞きやすいといえば聞きやすい部類の現代音楽と言えるのではないかな。

トランペットのために書かれた《X》はホーカン・ハーデンベルガーの演奏を持っている。独奏楽器のために書かれたといいながら、この作品ではピアノが必要である。このピアノは共鳴のために使われる、つまり演奏者は音を出さずに鍵盤を押さえるわけである。

トロンボーンのために書かれた《V》はリンドベルイの演奏。例によってすごい。苦もなく演奏して超絶技巧に聞こえないところがすごい。

で、グラモフォンからアンサンブル・アンタルコンタンポランのメンバーによる録音が出ていて、NAXOS からも例によってリーズナブルな全集が出ていることは知っていたのだが、アメリカの現代音楽専門レーベル(と言っていいよな)である mode から本当の全集が出ているらしいことを最近知った。ちょっと整理してみたのが以下の表である。基本的には14曲なのだが、作曲者本人や他の演奏者によって他の楽器のために編曲されたものもいくつかある。番号にbとかcとか振られているものである。作曲者がアルト・サクソフォンのために編曲したIXb(もともとはクラリネットのための)は結構有名なレパートリーのようで、いろいろなサクソフォン奏者が録音している。須川展也さんもかつて録音していた。

番号バンゴウ 楽器ガッキ 編曲者ヘンキョクシャ mode dg naxos
I フルート
II ハープ
III 女声
IV ピアノ
V トロンボーン
VI ヴィオラ
VIb チェロ ロハン・デ・サラム
VII オーボエ
VIIb ソプラノ・サクソフォン クロード・ドゥラングル
VIII ヴァイオリン
IX クラリネット
IXb アルト・サクソフォン 作曲者
IXc バス・クラリネット ロッコ・パリシ
X トランペット
XI ギター
XII ファゴット
XIII アコーディオン
XIV チェロ
XIVb コントラバス ステファノ・スコダニッビオ

で、まあ「全集」とかに弱い私はmode盤を買ってしまうんだろうなあ。他にもソロ楽器のために書かれた作品が全部収録されているらしいし、解説も豊富らしいし。


それから、最近タワーレコードからシャイー指揮によるベリオの《シンフォニア》が再発された。1000円。このCDの素晴らしいところは、例の、マーラーの交響曲第2番の第3楽章をベースにして、古今東西の名曲がコラージュされた第3楽章の詳細な解説がついているところである。どこで何の曲が引用されているかがわかるのである。交響詩《海》(ドビュッシー)とか、《春の祭典》(ストラヴィンスキー)とか、《ラ・ヴァルス》とかはわかりやすいのだが、全部が全部わかるわけではない。確か「演奏会で次にやる曲」も引用の指定があったはず。ということで、この解説のために買ってみるのもいいかなと。

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