で、本番の発表会。
- 木下牧子/サイバートリップ(中山靖治/静岡県立浜松江之島高等学校)
公開練習を聞けなかったし、あまりスコアも読んでいないのでとりあえず保留。 作曲者が内容的に手加減し過ぎた感もあり。
- 一柳慧/Poem Rhythmic(小柴秀樹/浜松市立高等学校)
この作品には直接関連しないが、プレトークでは弦楽器が嫌いだったというエドガー・ヴァレーズに言及。 こういう、いかにもウィンドアンサンブル的な書法の作品は聞いていて楽しい。 最近聞いていたヒンデミットの《室内音楽》シリーズを思い出す。 メリハリのある練れている演奏だった。
- 小六禮次郎/アンゼラスの鐘(對馬隆/浜松市立高台中学校)
前日の公開練習では 6/8 拍子のリズム感を指摘されていた。 これを 6 つ振りにすると縦の線は合うのだが、旋律がちじこまってしまう。 公開練習では試しに 2 つ振りで演奏したときにいい流れになっていたように思うのだが、今日の演奏ではテンポ感に迷いが感じられた。 ちょっと停滞しすぎ。
それから、これも公開練習で指摘されたように、何度か登場する piu mosso の部分に変化をつければ全体の構成にメリハリがついたように思うのだが、これも不十分だった。
難易度もそんなに高くないし、音楽の掘り下げ方をじっくり考えられるという意味でよいレパートリーになるのではないだろうか?
- 三枝成彰/序曲《機動戦士ガンダム・逆襲のシャア》(山縣敦男/静岡県立二俣高等学校)
国塩さん、ガンダムについて語り過ぎ(笑)。 曲は、まあ、どうでもいいという感じ。 内容的にも編成的にも無理矢理感ありあり。
- 丸山和範/Cubic Dance(野?豊/浜松市立南部中学校)
結局、ブロックコードを演奏した場合のバランスが改善されなかったのかなあ。 どうしてもテンションが含まれている和音は通常の協和音よりも響かないわけで、全般的にサウンドがもこもこしてしまった。 トランペットのソロは安定していてよかった(制服を見ると高校生のエキストラっぽかったけど、卒業生かな?)。
- 服部克久/星への誘い -Invitation to the stars-(宮津宗之/浜松市立与進中学校)
これも作品的にはどうでもいい。ホルンがほとんど主旋律を受け持っているが、うまかった。
- 西村朗/秘儀? -管楽合奏のための- (土屋史人/浜松海の星高等学校)
演奏といい作品といい、今回の演奏会企画の最大の成果ではないだろうか。 こういう高度な合奏力を要求される作品は、時間対効果が要求される、すなわち、より少ない練習時間でより大きな演奏効果を求めることになるプロフェッショナルな奏者ではなかなか取り上げにくいレパートリーなのでは?
前日の公開練習でも当日の演奏会本番でも安定した演奏が見られたということは、相当の練習を積んでいると思う。 その結果、このような熱演が生まれたということはアマチュアイズムの勝利なのでは。 「日本有数のバンド …..」というところで場内から失笑が漏れていたが、全国大会で金賞を取っているような指導者と演奏者でも(その是非はともかくとして)これだけの演奏ができるとは思えない。
来月、「響宴」を聞きにいこうとしているあなた(笑)は、この演奏を聴くべきだった。
- 北爪道夫/並びゆく友(徳増誠/浜松市立江南中学校)
ここは前日の公開練習よりもリラックスした感じでよかったと思う。 エキストラを入れている団体も多かったのだが、ここは中学生のみでほっとするサウンドだった。
北爪さんがおっしゃっていたように「本来なら西村さんの作品が最後に置かれるべきなのだが、そうすると僕の作品を置く場所がなくなってしまうので、アンコールのような形で、お客さんにほっとしてもらう」という目論見は成功したと言えよう。
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まあ、中学生が演奏するには明らかに力不足な部分はあったが、そういうのはこれからリリースされる CD を聞けばいいのだ。
こういう(響宴と違って(笑))全く採算が取れないであろうイベントには、やはり「お上」の力と太っ腹な企業が必要なのだと思う。 そういった意味で浜松市の企画力と実行力、全作品の楽譜を出版するのみならず、この演奏会のためにフルスコア集まで作成した東京ハッスルコピーの自虐的な使命感には脱帽するしかない。
毎年やってくれとは言わないが、せめて来年もう一回くらいやりませんか? で、藤家渓子さんと望月京さんに(使いまわしでもいいから)吹奏楽曲を書いてもらって下さい。