アトランティック/岩城宏之/椎名林檎

夜になっても二日酔いが完全に抜けず。三日酔いに突入か …..

雑誌「レコード・コレクターズ」2007年3月号の「アトランティック・レコード」の特集を読んでいたら、アトランティックのジャズを聴いてみたくなった。 もちろん、昨年末にリリースされたジョン・コルトレーンやオーネット・コールマンは買っていたのであるが。

鬼才トリスターノ(紙ジャケット仕様)

1950年代、主に黒人ミュージシャンを中心としたビバップのムーヴメントに対して、白人を中心したムーヴメントであった「クール・ジャズ」の名盤らしい。

スタジオ録音4曲とライヴ録音5曲が収録されているのだが、このスタジオ録音がすごい。4曲のうち2曲は通常のピアノ・トリオ編成なのだが、ベースとドラムを先に録音しておいて、それにトリスターノのピアノを重ねて録音するという形が取られているらしい。楽器間のせめぎ合い(いわゆるインタープレイ)もないし、意図をもって曲を終わらせるということもできない。(ちなみにどの曲もフェードアウトされている。当たり前である。あとで上に乗っかるピアノのことも知らずにベースとドラムだけで曲の長さを決定することはできないし、すでに録音されているベースとドラムをピアノが終わらせることもできないのである。)他の2曲は伴奏もピアノ(と若干のシンバル)で行なわれている。

とにかくピアノの演奏(インプロヴィゼーション)を聞かせたいということなのだろう。今から半世紀も前にこんな手法でジャズが録音されていたという事実に衝撃を受けた。それら4曲のあとに続くライヴの演奏になるとほっとする。

直立猿人(紙ジャケット仕様)

こっちはかなり前に友人に借りて聞いた覚えがあるのだが、内容が記憶に残っていない。また聞き直そう。

ムソルグスキー:展覧会の絵[ジュリアン・ユー編曲]

NAPP さんの日記で紹介されていた盤。湯浅譲二さんが絶賛したというジュリアン・ユー編曲の《展覧会の絵》を聞いてみたかった。

和声の変更や副旋律などの追加も伴ったかなり大胆な編曲。室内楽用のかなり小さな編成向けの編曲なので、必然的にラヴェル編曲とは印象が異なる。ラヴェルが色彩感豊なシンフォニックなサウンドだとすれば、この編曲は繊細な色彩感にこだわった細密画のような印象である。

編曲者が北京出身ということで、旋律に中国的な節回しが加えられていたり、鍵盤打楽器の使い方に中国音楽を思わせる部分があるのもご愛嬌かと思うが、必然性はあまり感じられないなあ。

余談。オーケストラ・アンサンブル金沢の CD は価格が安いものが結構あって気に入っていたのだが、これはレギュラー・プライス 🙁

武満徹:弦楽のためのレクイエム

で、岩城さんの CD を探していたらこんなものを見つけた。NHK 交響楽団とともにキングに録音した初期の演奏を「追悼盤」としてリリースしたものらしい。

当時、キングのプロデューサーだった方の追悼文がついているのだが、これが面白い。岩城さんと、奥様であるピアニストの木村かをりさんとの共演「ピアノと鳥とメシアンと」が日本の芸術祭賞を逃したのであるが、そのレコードをメシアンに送ったのがきっかけで、(皮肉にも)1975年のフランスACCディスク大賞を受賞したということである。

ピアノと鳥とメシアンと

これも聞いてみたいが現在品切れ中らしい。

平成風俗(初回限定盤)

斎藤ネコとの共同名義ではあるが椎名林檎久々のソロ名義作品。

最初の2枚のソロアルバム「無罪モラトリアム」と「勝訴ストリップ」はかなり気に入っていて、どちらもヘビーローテーションだったのだが、アルバム「加爾基精液栗ノ花」やシングル「りんごのうた」が CCCD でリリースされたあたりから「ちょっと頭打ちかな?」と思い始めて、東京事変はほとんど聞いていなかった。

斎藤ネコも気に入っているアーティストの一人なので、今回は期待して買ってみることにしたのだが ….. ううん、微妙。

(旧作のリアレンジも含めて)斎藤ネコの編曲による生オケをバックに歌うという企画はなかなかいいと思うのであるが、「それだけ」という印象もまた大きい。歌がバックに負けてしまっているところもあるし、ソングライティングにしても椎名林檎という存在が希薄。

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