吹奏楽講座(鈴木英史さん)

アクトシティ音楽院主催の吹奏楽講座「効果的な演奏をするための楽曲研究 ~同じ曲を20人と50人編成で演奏した場合~」を聴きに行く。

タイトルの通り、本来50人編成で演奏すべき楽曲を20人で演奏するための工夫を紹介するものである。

対象曲は《アルメニアン・ダンス・パートI》(アルフレッド・リード)と《「ダフニスとクロエ」第2組曲》の「夜明け」の部分、モデルバンドは浜松海の星高校吹奏楽部、講師は鈴木英史さんである。

何度も繰り返し紹介されたテクニックは、低音楽器で和声を作り、その倍音を使って全体を豊かに響かせるというものである。編曲などでは低音楽器ほど構成音を乖離させ、高音になるほど和音を密集させるというセオリーがあるが、それとは逆の発想である。これは興味深い見解であった。

なぜ、低音の構成音を乖離させるのかといえば、低音ほどピッチのずれ(音のうねり)が目立つからである。つまり、低音楽器で和声を作るにはそれなりの演奏技術が必要なのである。一例として、テューバで基音、バリトンサックスとバスクラリネットで5度を作り、その上にユーフォニアムの第3音を重ねるという実例を紹介していたが、これは実力のないバンドがやるとウネウネして何をやっているんだかわからなくなってしまうのではないだろうか。今度、うちのバンドでやってみようかな。

こうやって、まずは和音の支えを作り、その後で旋律のバランスを整えていく、というように音楽を作っていくと、とても20数人の響きではなくなる。もちろん、海の星高校が優れた演奏技術を持っていて、何度も繰り返すたびに自分の役割をちゃんと理解するようになっているからだと思うが。

聴講者にはスコアが渡され、具体的にどのパートの音をどういう風に変えるかという細かい解説がされたのだが、スコアリーディングが不得手な人にはちょっとヘビーな内容だったかも。かなり密度の濃い講座であった。

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