風邪ひいた。英気を養うために医者に行って薬をもらった以外はほとんど寝ていた。
この機に乗じて(?)、ちびちび読んでいた小説を一気に読む。年末に購入した雑誌「ユリイカ」をきっかけに買ってみたオースター/柴田元幸コンビの小説である。
ちょっとした偶然から人生が二転三転してしまう主人公、その理不尽さはほとんど喜劇である。主人公をめぐる状況の変化が喜劇的であるにもかかわらず、その内面の葛藤には非常にリアルなものを感じる。
近年のアメリカ文学には、ふと同じような匂いを感じることがあるのだが、その中に「諦念」という概念があるのではないかと思う。肯定でも否定でもなく、ある状況をあるがままに受け入れようという虚脱感を感じるのである。
この小説の結末はある意味掟破りなのかもしれないが、何とも言えない余韻が残る。他の作品も読んでみたくなった。