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デュッセルドルフ日記その1

今日は会社をお休み。

まず午前中は息子の授業参観のために日本人学校へ出かける。

前回見たのは算数だけだったが、今日は算数とドイツ語の授業を見学。というか、見学ではお父さんも参加させられていて、ドイツ語の歌を、しかもカノンで歌わされたり、児童たちのゲームに混じったりした。妻から「ドイツ語の授業は参加させられる」という話を聞いていたので(見学する父兄が減ったのはそのせい?)回答できなかったりすると親の沽券に関わるなあ、と思ってあせっていたのだが、まあ無事に切り抜けられた。

その後いったん帰宅し、午後2時に授業が終わる息子を迎えに行って、大急ぎでデュッセルドルフ行きの電車に乗る。今日のメインイベントのためにデュッセルドルフに移動するのである。

今日のメインイベントは、KUNSTSAMMLUNG NORDRHEIN-WESTFALEN K20 GRABBEPLATZ というデュッセルドルフの美術館で行われる「3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8」というクラフトワークのコンサートである。2011 年のミュンヘンから始まった 3D コンサート、2012 年のニューヨークから始まった8日間で8枚のオリジナルアルバムを再現する、という趣向をクラフトワークのお膝元であるデュッセルドルフで行う。私が行ったのは初日となる「アウトバーン」のコンサートである。

(当初はアウトバーンに乗って「アウトバーン」を聞きに行く、ということを考えていたのだが、さすがに車で行くとしんどいし、渋滞などがあって間に合わないリスクもあるので電車で行くことにした。)

コンサートは午後8時から。午後6時30分にデュッセルドルフに到着してすぐに妻や息子と別れて(ハンブルクではなかなか食べられないラーメンを食べに行ったらしい)会場へ向かう。

さてコンサート。「オリジナルアルバムを再現する」と聞いた時に「40分程度で終わったら嫌だな」と思っていたのだが、出がけにホームページを確認したら他の作品も演奏することがわかったのでちょっと安心。上にも書いたが、会場は美術館のオープンスペースのような場所でもちろんオールスタンディング。年齢層はかなり幅広い。10歳くらいの子供を連れて来ている人もいたようだ。

セットリストはこんな感じ。順番は多少間違っているかも。

  • Die Roboter (The Mix バージョン)
  • Autobahn
  • Kometenmelodie 1
  • Kometenmelodie 2
  • Mitternacht
  • Morgenspaziergang (ここまでがアルバム「アウトバーン」)
  • Radioaktivität (いわゆる “NO NUKES” バージョン。「日本でも 放射能 今すぐ やめろ」が歌われている)
  • Trans Europa Express
  • Die Mensch-Maschine
  • Spacelab
  • Das Modell
  • Neonlicht
  • Nummern – Computerwelt
  • Computerliebe
  • Planet of Visions
  • It’s More Fun to Compute
  • Tour de France (ええと、どのバージョンだろう?)
  • Vitamin
  • Musique Non-Stop

最初に《ロボット》、最後に《ミュージック・ノン・ストップ》が置かれた以外は、ほぼ年代順。ほぼ2時間、壮大なレトロスペクティブである。

クラフトワークのライブを生で見るのは初めてだったのだが大満足。ほとんど動きがないライブであるが、映し出される映像の中にちょっとした茶目っ気があったり《ミュージック・ノン・ストップ》でメンバーが一人ずつ退場していく時におじぎをして手を振ったりと、意外にエンターテインメント性に富んでいることを改めて認識した。

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カッターナイフ

昼食を食べに行くグループはだいたい面子が決まっているのですが、今日は珍しくフランス人の Yvan が一緒。久しぶりに話をしました。例によって「夏休みはどこか行った?」「家族が来たの?ハンブルクはどうだって?」「気に入っていた?それはよかった」みたいな話をしたあと、話題は宗教へ。(前も Yvan と宗教の話をしたような気がするなあ …)「日本ではどんな宗教が多いの?」と聞かれたので「Buddhist が多いのかなあ?大部分の人はプラクティカルじゃないと思うけどね。私も一応 Buddhist だけど、先祖が Buddhist だったからそうなっているだけで …」と答えたら、「実は今 Buddha に関する本を読んでいるんだけど …」とかで、「神を崇めるのではなくて、自分自身の内なるものを信仰対象にしたから仏教は支持を得たんじゃないかなあ?」と言われました。うぅ、すみません、私には難しすぎます …

昼食(今日は4人で行ってみんながシュニッツェル)時もマルチカルチュアルな話が。フランス(Yvan はフランス人です)では自宅でエスカルゴを調理することがあるのだとか。場合によっては野生(?)のエスカルゴをつかまえてきて、不純物を抜くために数日餌を与えないようにしておいて、それから調理するのだそうです。あれが動いている様子を見たら絶対食べられないような気がするんですけどね。

例によって「ドイツ語勉強しているの?」という質問が(汗)。「名詞とかは少しずつ覚えているんだけど文法が全然わかんない」と言ったら「多少文法が違っていても俺たちわかるから、とりあえず使ってみろよ」というありがたいお言葉が。そのようにします …

ところで、ドイツでなかなか見つけられなかったものに「カッターナイフ」があります。引っ越し荷物を開けようとしてちょっと困りました。スーパーマーケットで探してもないし、デパートの文房具売り場で探してもないし。庶務の女性に聞いたところ、ドイツでは主にカーペットを切る時に使うので Teppichmesser (そのまま Carpet Knife という意味です)と言うのだそうです。先輩駐在員に聞いたところ「え?昨日文房具屋に行ったけど売ってたよ」とのこと。そういえば、帰り道に大きな文房具店があることを思い出したので寄ってみることにしました。

まあ、このくらい大きな文房具屋になると、さすがに売っています。この店だけなのかも知れませんが、ハサミの近くではなく、ホチキスとかパンチの近くにあったので探すのに時間がかかりましたが。今までの苦労は何だったんだろう?

ということで一件落着。

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そういえば、クラフトワークがオリジナルアルバムのリマスターボックスをリリースするそうで、初めて amazon.de でポチッ。

The Catalogue

ノートブック

クラフトワークのオフィシャルホームページから「ノートブック」なるボックスが到着した。

昨年リリースされた2枚組のライヴCD「Minimum-Maximum」に、同じく2枚組のDVDとノートブックPCを模した写真集がボックスに入っているものである。さらにオフィシャルホームページから購入するとマウスパッドが特典でついてくる。

PAL 版は昨年中にリリースされたらしいのだが、NTSC 版は生産が遅れていたようで、注文してから2ヶ月ほどかかってやっと届いた。

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The Model か Das Model か?

最近、クラフトワークのメーリングリストで紛糾している話題。

先日の日記でも書いたようにクラフトワークの最新ライブアルバム「Minimum-Maximum」にはドイツ語バージョンと英語バージョンが存在するのであるが、このドイツ語バージョンにも2種類あるらしいという話である。

私が amazon.de から購入したドイツ語バージョン(マトリックス:5607002 @ 5)では《Das Model》はドイツ語で歌われているのだが、日本に輸入されているドイツ語バージョン(マトリックス:5607002 @ 4)では《Das Model》は英語で歌われているらしいのだ。他にも マトリックス:5607002 @ 5 を持っているという方がいたが、この方は海外出張中にフランクフルトの空港内で購入したとのこと。

日本はドイツ語バージョンと英語バージョンが日本盤としてリリースされている(ややこしい)のだが、どうやらこの盤もマトリックス:5607002 @ 4 をベースにしているようで、東芝EMIのサイトでもこのことには言及されていない。

でぃー・くらふとヴぇるけす・つぇーでーず

クラフトワークのライブCDが出た。

Minimum-Maximum

これにはドイツ語バージョンとインターナショナルバージョンがあり、一部収録地が異なる音源が収録されていたり、ドイツ語バージョンの方が1曲多かったりする。結局はドイツ語バージョンの日本盤もリリースされたが、当初はドイツ国内のみのリリース予定だったので amazon.de から買うことにした。

結局、日本盤も amazon.de から送られてきた EU 盤も CCCD … この音源は真っ当な CD では聞けないのかな?

内容は期待以上によかった。最近リリースされたアルバム/シングルがかなりオーソドックスなサウンドだったので心配していたのだが、このライブでは血沸き肉踊るビートが押し出されている。旧作(もう20〜30年前の作品だ)をうまく現代のトレンドに合うようにアレンジしているのか、そもそも旧作自体が普遍的なビート感を持っていたのかよくわからないのであるが …

で、ドイツから一枚だけ買うのも何なので、オリジナルアルバムのドイツ語盤も数枚買ってみることにした。

Computer World

Electric Cafe

The Mix

クラフトワークの CD は基本的にドイツ語バージョンと英語バージョンがある。世界的に流通しているのは英語バージョンの多いようで、日本ではなかなか手に入らない。前半のCDは5年ほど前にドイツへ行った時に買ったので、今回は後半の作品を買ってみた。

彼らはドイツ人なのでドイツ語バージョンの方がしっくり来ると思いきや、必ずしもそうではないのが面白い。例えば「めんしゅ・ましーね」より「まん・ましん」の方が、「こんぴゅーたー・りーべ」よりは「こんぴゅーたー・らぶ」の方がメロディに乗っているように思える。

「コンピューター・ワールド(というかコンピューターヴェルト?)」はクラフトワーク的なミニマル感がギリギリ残っているアルバム。サウンド的な新しさはあまりないのであるが、《電卓》《ナンバーズ》《コンピューターラヴ》といった名曲が入っている。

「エレクトリック・カフェ」は失敗作だと思う。前作の収録漏れと時代に迎合しようとしてうまく迎合できなかったポップな曲が並べられているだけ。アルバムとしてのコンセプトも希薄である。《セックス・オブジェクト》におけるチョッパー音の違和感がアルバム全体の違和感を象徴しているように思える。

そんな失敗をリサーチしてか、次のアルバム「THE MIX」では過去の作品を大胆なリズムアレンジでセルフカバー。今回のライブアルバムの立脚点もここにあるのだろう。

電子音楽 In The (Lost) World

電子音楽 In The(Lost)World

電子音楽イン・ジャパン 1955~1981)」や「電子音楽in JAPAN)」(こちらは前者の増補版で CD もついている)の著者である田中雄二の新刊。究極の電子音楽レコードガイド。前著の充実ぶりを考えれば、この本もいい出来だろうと考え、さっそく購入。

例えば YMO やその周辺のテクノポップ・ムーヴメントはもちろんのこと、冨田勲、ジョン・ケージ、ウェンディ(ウォルター)・カーロス、YES … いちいちアーティスト名を挙げていっても挙げ切れないほどの広い分野をカバーしている。オールカラーでジャケット写真が見られるのもうれしい。

吹奏楽関連の人では、《ディスコ・キッド》の東海林修さんのシンセサイザー・アルバムはもちろん紹介されているのであるが、天野正道さんが所属していた「TPO」というグループのアルバムも紹介されている。そういえば、その昔「うる星やつら」の音楽担当のクレジットで天野さんの名前を見つけた時にはびっくりした覚えがあるなあ。

そういや、天野さんの経歴を見ると「卒業後、豪州に赴き日本人で初めてCMIをマスター …」と書かれているが、これだけだと普通の人には意味不明だろう。「CMI」はフェアライト社が作ったシンセサイザーで、今で言うサンプラーの走りのようなもの。坂本龍一さんなども1980年代前半に使っていた。天野さんはフェアライト社があるシドニーへ行って、その使い方をマスターしたということなのである。

(後日付記:シンセサイザー奏者としても著名な藤掛廣幸さんの作品も載っていました。)

 

広島BCL日記(その2)

広島での二日目。

宿泊したホテルが平和公園の近くだったため、朝の散歩を兼ねて原爆ドームやら平和公園を見て回る。原爆ドームから道路をはさんだすぐ向かいに広島市民球場があったのが意外といえば意外であった。

私などはこの年にして初めて広島を訪れたので、原爆ドームや平和公園や随所にある追悼のモニュメントなどを見るたびに、いちいち「ズシ」「ズシ」と 日本が歩んできた歴史というものを思い返してしまう。それにしても、依然として原爆ドームは静かに立っているわけだし、平和の灯はともされ続けているし、 観光バスは毎日やって来て団体旅行客やら修学旅行生やらは原爆死没者慰霊碑の前で手を合わせている。そういうことを「日常の隣で行なわれ続けていること」 として捉えるのはどんな気分なんだろう、とふと思う。

その後、ブレーンの営業の方がホテルに迎えに来てくれて宮島観光。当然のことながら厳島神社へも始めて行くわけだ。この営業の方は天理高校から近畿大学を経てブレーンに就職したそうで、言わば吹奏楽のエリートのような方である。コンクールや演奏旅行などで私などが得難い経験をされているわけで、道すがらそういう話をお聞きするのは非常に楽しい。

午後1時30分頃に録音会場である廿日市市文化センターに到着。ちょうど《呪文と踊り》(チャンス)のレコーディングが始まるところであった。結局、夕方まで《ノヴェナ》(スウェアリンジェン)と《ジュビラント序曲》(アルフレッド・リード)の録音を聞かせていただく。

ホールは1階席と2階席の間の間仕切りを閉めていたようなので1階席のみで800席ほどのスペース。吹奏楽を演奏するには少しライヴ過ぎる響きかなとも思うが、床や壁には木が多く使われているし、天井も高いので柔らかい残響が残る。

(以下、素直な感想なので提灯記事だと思わないでね …..)

録音に立ち会いながら、このシリーズを聞いて感じていたことをスタッフの方々といろいろ話していたのだが、私と同じような考えを持っている方が多かったことに今さらながら驚いた。「新鮮な発見がある」ということである。このバンド・クラシックス・ライブラリー・シリーズの一連の演奏を聞いていると、自分の頭の中にイメージとしてある演奏との違いに「はっ」とする瞬 間がある。例えばテンポ設定だとか各パートのバランスについてである。そこで、その部分をフルスコアで確認してみると、確かにスコアにはそう書かれている のである。(非常に具体的な例で恐縮であるが、《呪文と踊り》は4年ほど前に指揮したことがある。今回の録音にもその時に使ったフルスコアを持って行ったのであるが、それでも録音を聞きながらスコアを追っているといくつかの新しい発見があった。)

木村吉宏先生がおっしゃるには「彼ら(広島ウィンドオーケストラ)にとって、ほとんどの曲が新曲なんですよ。」ということらしい。実際、ほとんどのメンバーはかなりお若い。固定観念がない分、純粋に楽譜に向き合えるのではないかという気がする。

あ、そうだ。ラインナップはこんな感じです。

  • 序奏とファンタジア(レックス・ミッチェル)
  • 呪文と踊り(ジョン・バーンズ・チャンス)
  • マスク(フランシス・マクベス)
  • チェスター序曲(ウィリアム・シューマン)
  • 狂詩曲「ノヴェナ」(ジェイムズ・スウェアリンジェン)
  • ウェールズの歌(アルバート・オリヴァー・デイヴィス)
  • ジュビラント序曲(アルフレット・リード)
  • コラールとカプリチオ(シーザー・ジョヴァンニーニ)
  • 序奏とカプリス(チャールズ・カーター)

*****

で、帰りの新幹線の中で読んだ本。ふと KIOSK で見つけたので買ってみた。

東大生はバカになったか (文春文庫)

なんか、立花隆さんの文章を読むのも久しぶりだ。自分の知識欲を刺激するという意味で、立花さんの旺盛な知識欲とそれをどんどん突き詰めていくプロセスを読むのは非常に楽しい。

基本的には、文部省による教育システムの失敗についての指摘と、高等教育を受けるものが習得しなければいけない「教養」とは何かという話題が主である。これらの具体的な事例を示すキーワードとして「東大生はバカになったか」という題名がつけられている。

漠然と大学進学を考えている高校生あたりが読むと面白い内容なのではないかと思う。

*****

帰宅したら amazon.co.uk から以下の CD/DVD が届いていた。 DVD は国内未発売のタイトル、CD は全て日本国内では CCCD でリリースされているタイトルである。(こういうタイトルを輸入禁止にするのは止めて下さいね。)

歌劇「兵士たち」

ちょっと前にベルント・アロイス・ツィマーマンが作曲した管楽アンサンブル曲《ユビュ王の晩餐のための音楽》について調査していたところ、同じ作曲者のこのオペラが目に止まったので買ってみた。本命の《ユビュ王》よりも先に届いてしまったのであるが。

こういう作品が存在すること自体は知っていた。 LD で国内盤が発売されていた(廃盤。しかも未 DVD 化)頃にはかなりの反響があったように記憶しているし、ゴールデンウィークに《ユビュ王》のCDを探した時も、このオペラのCDは見つけることができた。

錻力の太鼓 (CCCD)

ジャパンの最終作にして最高傑作と言われている作品。以前、CDで聞いたときにはあまりいい印象を持たなかったのであるが、リマスタリングされた音源はかなりいい感じである。

YMO(特に坂本龍一)の影響が色濃く出たサウンド・プロダクション。いかにも80年代を思わせるパーカッシヴな音で構成されたバックトラックは、 ビートが埋め尽くされていながら同時にスカスカな印象も与える。ヴォーカルのデヴィッド・シルヴィアンの歌い方も高橋幸宏に似ている。どちらがどちらに影 響を与えているのかわからないが。

例えば冒頭の《The Art of Parties》あたりを YMO が作ったりするともっとうまく作れるのだろうけど、かなり息苦しくなってしまうのかも。少し稚拙で不安定なバックトラックとぬめぬめしたシルヴィアンの ヴォーカルの絶妙なミスマッチさがいいのかも知れない。

Tour De France 03 (X4)

Aerodynamik

悪くはないんだが、ちょっと進歩なさすぎ。