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今日買ったもの(ショスタコーヴィチ/クセナキスなど)
久々に上京したので買出し。 ショスタコーヴィチ:交響曲全集(11枚組) ショスタコーヴィチの交響曲全曲(全11枚)が国内盤1枚ほどの価格で買える。(新宿TOWERでの購入価格は2850円) まだ 1、2、5 しか聞いていないが概ねよい。全体的な楽器バランスを考えると木管楽器(特に高音)がかなり大きめなのだが、金管も出るところは出ているし大きな問題ではない。端正にまとめられているので「圧倒的な音量感」を期待すると少し物足りないかもしれないが、しっかり作品に向かい合っているという意味では好感が持てる。とりあえずショスタコーヴィチの交響曲を全部聞いてみたいという人には投資するだけの価値があるコストパフォーマンスだと思う。 Xenakis: Metastasis; Pithoprakta; Eonta いわゆる「ユージエオンタ」の再発盤。ちょっと前にYahoo!オークションで出品されていたが落札しなくてよかった(笑)。(新宿TOWERでの購入価格1190円だったかな?) 金管五重奏とピアノのための「エオンタ」が収録されている。クセナキスの弟子でもある高橋悠治はこの曲の初演者でもある。 ***** 御茶ノ水オーディオユニオンでレイカのレコードクリーナーお試しセットを購入。「高い」という人はいるが「効果がない」という人はいない優れもののレコードクリーナーらしい。とりあえず藁にもすがる思いで買ってみる。これで中古レコードの音がよくなればよいのだけれど。 ***** 銀座・山野楽器で今はなき Rene Gailly の吹奏楽CDを4枚購入。全部で何枚あるのかな? ***** ヤマハ銀座店では、地元ではなかなか見つからない「ブラスバンドの社会史」を購入。ヴァン=デル=ローストの「シンフォニア・ハンガリカ」のミニチュア・スコアが意外な安値で売っていたのでこれも購入。たまたま外囿祥一郎さんのインストアライブがあったのでのぞいてみる。 ブラスバンドの社会史―軍楽隊から歌伴へ (青弓社ライブラリー)
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伊藤康英さん三昧
会社を休んで(^_^;)伊藤康英さん漬けの一日。 まずは午後から行われたレクチャーコンサート。平日昼間ということでなかなかシビアな観客数であったが(^_^;)、その分ざっくばらんな話が聞けた。伊藤作品からは《抒情的「祭」ファンタジー》《歌》《木星のファンタジー》《琉球幻想曲》などを披露。《木星のファンタジー》のコード進行が V6 の「Take Me Higher」から取られたという話は意外だった。ご子息が「ウルトラマン・ティガ」が好きでよく見ていたそうで(笑)。そうそう、伊藤さんのレクチャーコンサートではお馴染みになったモーツァルト風《大きな栗の木の下で》は、ついに楽譜まで作られてしまった。 夜は航空自衛隊中部音楽隊の定期演奏会。第25回定期演奏会を記念して伊藤さんに委嘱された作品が初演される。《コラール幻想曲》。グレインジャーも吹奏楽編曲しているバッハのコラール《おお汝、その罪深きを悔い改めよ》を下敷きにした作品である。 この曲を最後にしばらく吹奏楽曲を書くのを止めるそうで、高校時代の思い出でもあるこのバッハのコラールを使おうと思ったそうである。吹奏楽のための、いわば区切りの作品でこのコラールを引用するあたり、「汝」とは誰なのか?「罪」とは何なのか?を詮索するとなかなか楽しい(笑)。まあ、私の詮索はそんなにうがった見方ではないと思っているのだが … また後日うかがったのであるが、伊藤さんが大学時代に作曲したオラトリオ《第七の封印》も引用されているとのこと。こちらは聴いたことがないのでどこでどういう風に引用されているのかわからなかったが ….. 内容は題名が示すようにバッハのコラールがほとんどそのままの形で引用され、それが自由に変奏されるような形式。突出した派手なクライマックスがないかわりに、(伊藤さんもおっしゃっていたように)緊張感のある音楽がずっと持続されていく。最終部では再びコラールが演奏されるが、これもバッハの音楽に対して手は加えられていないという。朗々と演奏されるコラールを聞いているうちに、伊藤さんが母校のために書いた《ジュビリー・シンフォニー》の第2楽章のタイトルである “Remembrance – Farewell” という言葉を思い出した。「回想 – 別離」。吹奏楽に対する伊藤さんの惜別の辞のように思えてならない。コラールが盛り上がったあと、金管楽器が次々とミュートをつけ、全合奏の ppp で曲を閉じるのが効果的。何ともいえない余韻を残す。 惜しむらくは、指揮者がおそらくこの作品を完全に消化していなかったと思われること。全曲の構成を考えると、もっと感動的に仕上げる余地を残していたと思う。(途中変拍子が続く部分はあるし、最後はかなり遅いテンポなので振るのは難しいそうだけどね …..) その他の曲は樽屋雅徳《絵のない絵本》、セルジュ・ランセン《マンハッタン交響曲》、ビゼー(淀彰編曲)の《カルメン》組曲。しかし、毎回思うけど、このバンドは渋いプログラムだね(笑)。最初から最後までソロ吹きっぱなし、ハイトーン吹きっぱなしのトランペットのトップの方、ブラヴォー! ***** ということで街へ出たついでに。 山下達郎 LP-BOX [12 inch Analog] 以前の日記にも書いた山下達郎の再発アルバムのアナログボックス。まずは「ぎりぎりで予約したので初回入荷できずに完売」という連絡が入った。他店で見つけたものの、この時は思いとどまって購入せず。「ま、いいか。」ということでこのために確保していた予算を別に使ってしまった。その後「入荷したのですが、どうされますか?」という連絡。以下の件でショップにご迷惑をかけてしまったのでさすがにキャンセルするわけにはいかんというわけで購入した次第。 やっぱり、CDと違ってアナログ盤には文字通りのボリューム感と「買った!」という充実感がある。おそらくCDとは異なる未収録曲が収録されたボーナスディスク以外は針を通さないと思うのだが(^_^;)。 テルミン コレクターズBOX [DVD] すみません。コレクターズボックスが出ることを知りませんでした(_0_)。通常盤を予約しておきながら、再度コレクターズボックスを注文するというわがままなことをしてしまいました(_0_)。ごめんなさい、Mさん。 映画「テルミン」の DVD と、テルミン奏者といえばこの方たち、元女王クララ・ロックモアと現役女王リディア・カヴィナの演奏する映像を収めた DVD 「テルミン演奏のすべて」と、クララ・ロックモアの演奏を収めた CD の3枚組。かれこれ10年近く前、冨田勲さんの講演会を聴きに行った時に、若かりしクララ・ロックモアの映像を見たのがテルミンとの出会いだったと思うのだが、残念ながらこの映像は含まれていないようだ。(映画本編には使われているのかな?) COMICA 「LIFE」の時にもやっていたけど、これはスケッチ的な位置付けなんだろうな。秋には「正真正銘の」オリジナル・ソロアルバムがリリースされるというし。(じゃあ、これは「正真正銘」ではないのか(笑)?)内容を希釈する方向でのバブリーなマーケティングに対して、まず抵抗を感じる。 全体に散漫な印象で、これで3000円はちょっとな … というのが正直な感想。ジャンルとしてはアンビエントといえるのだろうけど、ジャケットワークなども含めて何をやりたいのかよくわからない。 ナクソスの日本人作品集を聞いていたので《朱鷺に寄せる哀歌》がちょっと頭をよぎりました(笑)。
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第12回全日本高等学校選抜吹奏楽大会
2000年3月26日(日) 10:00 アクトシティ浜松大ホール 寝坊とか、ランチタイムとかで全ての団体を聞くことができませんでした(_0_)。正直言って、曲目を見た時は変わり映えのしないレパートリーであまり期待していなかったのですが、演奏の「上手」「下手」に関係なく感動できるバンドが多かったです。(いやあ、やっぱり若いっていいですね(笑)。) 狭山ヶ丘高等学校(埼玉) クロード・T・スミス/華麗なる舞曲 マイ・フェイバリット・シングス(私のお気に入り) まとまりのある演奏だったけど、反面、もっと羽目を外してもらっても面白かったと思う。《華麗なる舞曲》をノーカットで演奏してもらったのはうれしかったけど、この曲を聞かせるにはもっと精度の高いアンサンブルが必要かな。ちゃんと「演奏を聞かせられるバンド」なんだから《マイ・フェイバリット・シングス》の踊りは要らなかったかも。 福井県立武生東高等学校(福井) モーリス・ラヴェル(天野正道)/ラ・ヴァルス That’s the Way of the World That’s the Way (I like it) 《ラ・ヴァルス》も吹奏楽だと聞かせるのは大変な曲。ストレートな演奏なんだけど、もう少し艶めかしさがあった方がよかったかな。 ポップスでのステップのかっこよさは相変わらず。《That’s the Way (I like it)》でメロディを割り当てた楽器がホルン、ユーフォニアム、フリューゲルホルン、トロンボーン、バスーン、テナーサックスのユニゾン、そのあとのソロがフルートとバスクラリネットのユニゾンというアイデアにセンスを感じます。 福岡工業大学附属高等学校(福岡) フランツ・フォン・スッペ(三戸知章)/「軽騎兵」序曲 ステファン・ブラ/ハイ・フライト 合唱(曲名何だっけ?) エル・クンバンチェロ ムーン・リバー まさに「高校選抜大会における傾向と対策」を完璧に遂行した構成。クラシックの編曲あり、トランペットをフィーチャーした曲あり、合唱あり、ビッグバンド風の演奏あり。MALTAの講評じゃないけど「もう少し下手でもいいのに」と感じるくらい完璧な演奏。それだけに堅苦しさというか息が詰まりそうな雰囲気もある。金管の鳴りは快感。トランペットのトップの女の子はブラヴォー! 北海道旭川商業高等学校(北海道) グリエール(林紀人)/バレエ音楽「青銅の騎士」より バーバー(カルヴィン・カスター)/アニュス・デイ(弦楽のためのアダージョ) マイ・フェイバリット・シングス エル・クンバンチェロ 下手に踊りを入れなくても音楽だけでエンターテインメントを感じさせてくれた演奏。《アニュス・デイ》の合唱の音程が終始不安定だったのが残念(特に男声)。マイ・フェイバリット・シングスは基本的にサックス四重奏+コントラバス+ドラムという編成。サックス四重奏で始まったところにコントラバスを持って行って演奏に加わるという演出がかっこよかった。《エル・クンバンチェロ》は真ん中にマレット・パーカッション(シロフォン・ヴィブラフォン・マリンバ)による《ティコ・ティコ》をフィーチャーした構成。何をするのかと思ったら、途中から目隠しをして《ティコ・ティコ》を演奏。「見せる」という意味では面白い演出でした。《アニュス・デイ》がもうちょっとよければ、(私が聞いた中では)文句なくナンバーワンでした。 淀川工業高等学校(大阪) 行進曲「立派な青年」 幻想曲「シルクロード」 ヒットパレード2000 「偉大なるワンパターン」なんですが(笑)、毎年入れ替わる生徒を相手に同じことを続けていくという難しさ、大変さもあるのではないでしょうか。ヒットパレードのラストは、おなじみ「We are the World」。知っている人は知っていると思いますが、一階席のお客さんは生徒が配った蛍光ミニスティック(正式名称は何ていうんでしょう、あれ?)を曲に合わせて振ります。これに合わせるようにバルコニー席のお客さんが携帯電話の照明をつけて振っているのを見てちょっと感動。 金光学園中学高等学校(岡山) 音楽物語「窓ぎわのトットちゃん」より このバンドの演奏は初めて聞きましたが、素直に感動しました。コンクールに出ていないそうですが、ともするとコンクールバンドが陥ってしまう「おしつけがましいサウンド」でなく、聞き手を惹きつけることができるデリケートな表現が感じられました。バンドの演奏もさることながら、ストーリーを進めるナレーションの女の子も素晴らしかったです。
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第4回浜松吹奏楽大会親善交流コンサート
2000年3月25日(土) 15:00 アクトシティ浜松中ホール 伊藤康英さんひさびさの新曲がハワイのミリラニ高等学校によって初演された。 (吹奏楽のために書き下ろされた曲(既存の曲からの編曲や、自作の他編成への編曲を除く)としては、1998年の交響三頌《ラ・ヴィータ》以来ですかね?) 吹奏楽のための交響詩《ゴー・フォー・ブローク》 Symphonic Poem for Band “Go for Broke” 第二次大戦下のハワイの日系人部隊(アメリカ合衆国陸軍100大隊と442部隊)に捧げられた曲。 「ゴー・フォー・ブローク」とは「当たって砕けろ」とか「死ぬ気で頑張り通せ」という意味らしいが、英語のニュアンスとしては「がんばろうじゃないか」といった明るい意味合いを持っているらしい。 演奏時間は6分半ほど、構成は《ぐるりよざ》の第1楽章をコンパクトにして、《交響的典礼》の導入部とコーダをつけたような感じです。 また、委嘱団体が総勢120名という大所帯だったため、フルートが3パートに分かれているとか、康英さんの曲としては珍しくトランペット・パートとコルネット・パートが独立しているとかという編成上の特徴もあります。 曲は、まず前述したようなハイテンションの導入部で始まり、静かになったところでクラリネットの低音域による旋律が現れます。 これが康英さんが「君が代は千代に八千代に…」の歌詞にメロディをつけた歌曲《君が代は。》の旋律です。 これが何回かの変奏で盛り上がったあと、テンポが上がって突撃ラッパ風の音形が出てきます。 この部分も、この音形を繰り返しながら楽器が加わっていって混沌を極めていきます。 ここではサイレンを使っているのが特徴的ですね。 康英さんは消防署のサイレン(山形大学が《イーストコーストの風景》で使ったようなやつ)を想定していたらしいのですが、結局入手することができなかったそうで、本番ではアメリカン・パトカーのサイレンのような音が使われていました。 ここの部分は息の長い allargando で、だんだんテンポを落としながら力強くクライマックスを作っていきます(オネゲルの《パシフィック231》で機関車が止まる場面のような感じ)。裏拍で叩かれるバスドラムが気持ちいいです。 個人的には、この部分を初めて聞いたときに、少し諧謔的なニュアンスからショスタコーヴィチの作品に近い印象を持った(ショスタコーヴィチは《交響 曲第2番》でサイレンを使っているし)のですが、リハーサルの後で康英さんとお話ししたときには「《ピータールー》みたいでしょ?」と言われてしまいまし た。こちらの方が的確な描写かもしれません(笑)。 このあとは、(《ピータールー》のように(笑)静かな)オーボエのソロから、前半部の《君が代は。》の旋律が回想されます。オーボエのソロはちょっと音域が高くて大変かも。本番ではフルートを重ねていました。 初演は、アクトシティ浜松中ホールという残響の多い室内楽用ホールで、120人もの人数で演奏したものですから細かいところが聞き取りにくかったのがちょっと残念です。 40〜50人くらいのバンドでも十分演奏可能だと思いますので、すっきりした編成でどこかの(できれば上手い(笑))バンドが再演してくれることを期待します。 技術的/体力的にもそれほと無理はないと思いますし、内容としてもわかりやすいし、かなり親しみやすい作品ではないかと思います。
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日・米親善吹奏楽演奏会
1999年7月15日(木) 18:30 浜松市教育文化会館(はまホール) The Honor Band of America の来日公演である。 日本各地(当日の司会者によれば柏、清水、浜松、京都、大阪など)を回り、当地の高校の吹奏楽部と親善演奏会を行っているとのことである。少なくとも浜松では一般的な告知はほとんど行われておらず、私も出演者の御父兄から教えていただいて聞きに行った次第である。 この「The Honor Band of America」の前に、ホストバンドの演奏ということで、浜松市中学校選抜バンド、浜松商業高等学校吹奏楽部、浜松工業高等学校吹奏楽部、浜松江ノ島高等学校吹奏楽部の演奏が披露された。 The Honor Band of America(全米高校選抜バンド) ジャック・スタンプ/ガヴォーナ・ファンファーレ レナード・バーンスタイン(フランク・ベンクリシュト編曲)/交響曲第1番《エレミア》より「冒涜」 パーシー・グレインジャー/コロニアル・ソング フランク・ティケリ/ヴェスヴィオス マイケル・ドアティ/ナイアガラの滝 楽器編成は以下の通り。いわゆる「ウィンド・アンサンブル」的な編成である。 木管: ピッコロ/フルート5/オーボエ2/イングリッシュ・ホルン/バスーン2/クラリネット10(Eb クラリネットは持ち替え)/バス・クラリネット/コントラアルト・クラリネット/コントラバス・クラリネット/サックス(アルト3/テナー1/バリトン1) 金管: トランペット7/ホルン4/トロンボーン4/ユーフォニアム2/テューバ3 打楽器: 8(ピアノ含む) やはり、こういうウィンド・アンサンブル的なサウンドは日本のバンドでは聞くことができない。4年前に浜松で行われた世界吹奏楽大会で聞いた、イギリスの北王立音楽大学の40人足らずのメンバーでの演奏で目から鱗が落ちてしまったのだが、今回もその時に似た印象を持った。 グレインジャーの《コロニアル・ソング》は、緊張感あるサウンドが悪い方に出てしまったように思える。この曲に関しては、弱音での緊張感に違和感を感じてしまった。グレインジャーの作品はもう少し柔らかい音質で聞きたい。 ティケリの《ヴェスヴィオス》は今回のツアーのために書かれた作品。作曲者自身による指揮で聞くことができたのはうれしいハプニングであった。基本的にはティケリの代表作の一つである《ポストカード》と共通する作風。どこで読んだのか失念してしまったのであるが、ポンペイを廃虚にしてしまったヴェスヴィオス火山を描写した曲らしい。ほぼ全編的に変拍子が用いられるリズミカルな曲であるが、その中でアルトサックスが抒情的なメロディを奏でる。このリズム感と叙情性が共存して曲が進行していくところがこの曲の魅力であろう。中間部ではグレゴリオ聖歌の「怒りの日(Dies Irae)」のモチーフ(ベルリオーズの《幻想交響曲》の第5楽章でテューバが奏するメロディと言えばおわかりになるだろうか)が用いられている。一聴しただけの感想であるが、技術的には《ポストカード》よりやや簡単、内容的には昨年アメリカで大ブレークした(らしい)《ブルー・シェイズ》よりやや密度が高いのではないかと感じた。さすが作曲者、とても軽やかに変拍子を振っていたのが印象に残っている。 時間の都合で、ここで演奏される予定だった《アメイジング・グレース》と《パリのアメリカ人》が割愛されてしまった。結果的に、《コロニアル・ソング》を除いて現代的な作風ばかりが続く、少々油っこいプログラムになってしまった(^_^;)。 ドアティの《ナイアガラの滝》は、ミシガン大学による委嘱作品。今回のツアーの指揮者であるH・ロバート・レイノルズが指導している大学である。ドアティはオーケストラの管楽器編成による、いわゆる管楽合奏作品である《デジ》と《ビザロ》、金管楽器と打楽器による《モータウン・メタル》などがあるが、通常の吹奏楽編成で書いた作品はこの《ナイアガラの滝》が初めてとなる。(ちなみに、この4作品はすべてCDで入手可能。) 私の友人はこのドアティを「ジミ・ヘンドリックスとカレル・フサを足して2で割ったような作曲家」と評したが、非常に的確な比喩だと思う。ジャズやポピュラー音楽のイディオムを借用しながらも、そこに現代的な和声を施して独自の音楽を形成している。冒頭に提示されるジャズ風の旋律が執拗に繰り返されながら発展していく形式の曲で、作風としては非常にわかりやすいのではないか。 アンコール ジョン・フィリップ・スーザ/星条旗よ永遠なれ
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第9回全日本高等学校選抜吹奏楽大会
1997年3月30日(日) 10:00 アクトシティ浜松 大ホール 恒例になった感のある吹奏楽の「選抜大会」。今年は以下の16校が出場しました(出演順)。 静岡県立静岡商業高等学校 (静岡県) 北海道旭川商業高等学校 (北海道) 土佐女子高等学校 (高知県) 玉川学園高等部 (東京都) 福岡県立嘉穂高等学校 (福岡県) 関東第一高等学校 (東京都) 福島県立磐城女子高等学校 (福島県) 島根県立出雲高等学校 (島根県) 東海大学第一高等学校 (静岡県) 福岡県立鞍手高等学校 (福岡県) 聖カタリナ学園光ヶ丘女子高等学校 (愛知県) 柏市立柏高等学校 (千葉県) 聖徳大学附属聖徳高等学校 (茨城県) 福井県立武生東高等学校 (福井県) 秋田県立新屋高等学校 (秋田県) 大阪府立淀川工業高等学校 (大阪府) 以下に印象に残ったバンドを。 旭川商業高等学校 管楽器の編成を小さくして合唱を加えたバーバーの「弦楽のためのアダージョ」を取り上げました。(バーバーは「弦楽のためのアダージョ」を無伴奏合唱に編曲した「アニュス・デイ」という作品を残しています。)ちょっと合唱の音程が不安定だったのが残念でしたが意欲的な試みとして印象に残りました。 玉川学園高等部 かつて全国大会で五年連続金賞という輝かしい実績を残している玉川学園高等部。演出に凝る団体が多い中で「演奏そのもの」を聞かせる意欲が伝わってきました。 福岡県立嘉穂高等学校 グラズノフの「ライモンダ」は少ない人数(プログラムによると40人)にも関わらずスケールの大きい演奏でした。審査員の一人だったデ・メエイ氏も「ウィンドアンサンブルの響き」ということで高く評価していました。この日に操業を停止した地元福岡の三池炭鉱に寄せた「炭鉱節」では指揮者の竹森先生が美声(?)を披露。 東海大学第一高等学校 ステージは木管五重奏からスタート。昨年のコンクールの自由曲「インフェルノ」や十八番の「カッポレ」など手慣れたレパートリーを披露しました。この団体はかなり個性的な演奏/解釈が気になるときがあるのですが、今回は自然体のリラックスした雰囲気でよかったと思います。 今大会のグランプリは納得できるものです。 福井県立武生東高等学校 一躍有名になった「日本一のファンキーバンド」。武生市が委嘱した小長谷宗一の「紫式部幻想」のあとにお待ちかねのポップスステージ。 最初はちょっと植田先生が突っ走りすぎて生徒がついていけないようなところもありましたが、やはりポップスにおいては揺るがない個性を持っていると思います。