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コンクールDVDを見る
ふと《交響曲》(矢代秋雄)とか《交響三章》(三善晃)とかを「見たく」なったので、吹奏楽コンクール全国大会のDVDを引っ張り出して見てみる。基本的にコンクール実況盤は買わないことにしているのだが、コンクールでしか聞けない作品も少なからずあるので、たしなみ程度には持っているのである。 《交響曲》は2006年(第54回大会)の福島県立磐城高等学校吹奏楽部の演奏を聞く。コンクール自由曲としての矢代の《交響曲》は、通常第4楽章すなわちホルンのペダルトーンから始まるのだが、この演奏は第1楽章のテーマの提示から始まって、いつの間にか第4楽章のピッコロのデュオに移るのである。アレグロのテンポが若干急ぎ気味のようにも思えるが、全般的には奇をてらわない好感の持てる演奏である。冒頭部、それから – ソナタ形式でいうところの第2主題にあたるのかな? – のピッコロとファゴット(あるいはコントラバスクラ)が印象に残る。 《交響三章》は1999年の神奈川大学の演奏を聴く。このバンドの研ぎ澄まされた音色はかなり好きなのだが、ちょっと端整過ぎる気がする。もうちょっと匂い立つような色気があってもいいように思う。また、多くの演奏がそうであるのだが、クライマックスがまとまらない。 ということで、コンクールシーズンもそろそろ終盤。支部大会での代表選出も佳境に入っているようだが、何とか全国大会までには「デーサイ」化されたホームページにリニューアルしたいものだ。(忘れてしまっているわけではありませんよー。裏では着々と準備してますよー。)
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近況とシガー・ロス
ブログを引っ越したはいいが、(本来メインであるはずの)吹奏楽ネタが全然ないのでそっち関係の近況をば。 9/28 にアクトシティ浜松で開催される「吹奏楽トップコンサート」に、私が所属する積志ウィンドアンサンブルが推薦によって出演できることになった。(演奏曲目はとりあえず伏せておいた方がいいのかな?)訳あって、この演奏会以降しばらく休団することになるので、個人的には一区切りということでとらえている。他にも優れた中学校・高校のバンドが出演するので、興味のある方はぜひご来場を。 某社から依頼された吹奏楽 CD のレビュー依頼の小さいけれどしっかりした山が目の前に立ちはだかっている ….. 会社で友人に帰省のみやげ物を配っていたときに借りたシガー・ロスの新譜。(これも聞きたいと思っていたのだ。素晴らしき音楽班に感謝。) 何の先入観もなしに聞き始めた。何かに似ているなあ、と思ったら、XTC からマニエリズムを取り去って、もう少し開放的にしたようなサウンド。アメリカやヨーロッパの南の方ではこういうサウンドは生まれ得ないのだろうな。(ちなみに彼らはアイスランド出身) ライナーノーツによると前作「Takk …」からはかなり作風が変わっているとのこと。こちらも聞いてみることにする。
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演奏会後
打ち上げ。 浜松(のみならず日本)の吹奏楽界の重鎮である遠山詠一先生にも来ていただいた打ち上げ。私のような立場の人間は先生の対応の張り付きっぱなし。 まあ、そのおかげでいろいろな興味深いお話(たぶんオフレコの方がいいんだろうなあ)を聞けたのは収穫。 ということで、一次会では全く団員と語る機会がなかったので、当然のごとく二次会へ。 まずは、まとめてアンケートを読ませていただく。 本当にうちの演奏会はアンケートを出していただいているお客さんが多くてうれしい。 また、「よかった曲」にまんべんなく○がついているのが、実はうれしかったりする。 演奏のみならず、選曲についての感想であると認識しているからだ。 泡盛のロックを飲むが全然酔えない ….. と思っていたのが危険の兆候。 翌日は大変なことになりましたとさ。
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積志ウィンドアンサンブル第27回定期演奏会
積志ウィンドアンサンブル第27回定期演奏会 第1部 フィリップ・スパーク/バンドワゴン ヤン・ヴァン=デル=ロースト/プスタ ジェームズ・バーンズ/詩的間奏曲 フランク・ティケリ/ヴェスヴィアス 第2部 ピーター・メニン/カンツォーナ フェリックス・メンデルスゾーン/管楽合奏のための序曲作品24 ハワード・ハンソン/ディエス・ナタリス アンコール 吉俣良(後藤洋)/NHK大河ドラマ「篤姫」メインテーマ バリー・グレイ(森田一浩)/サンダーバード 生涯でいちばん大変だった演奏会かも知れないなあ ….. まず、選曲の時点でわれわれの実力に対してかなりハードルの高いプログラムになることは明確に自覚していた。それは、ここ数年何となく(少なくとも私は)感じていた停滞感に対する一つの回答だったのである。 その停滞感を打破するために(たぶん私以上に)努力してくれた演奏者たちがいた。 そんな人たちの手によってわずかではあるが殻は破れ、そこから新しい光が差し込むことを感じることができた演奏会であった。 しかし、殻の外が見えている人は全てではない。 全ての殻が破れるまで、もう数年は必要かも知れない。 それがクリアされたころには、おそらく別のバンドになることができているだろう。 本当は「2~3回通せば仕上がる」つもりでいた、バーンズの《詩的間奏曲》をまとめる難しさが今回最大の誤算であったが、ソリストたちもあれだけ吹 ければ上出来だし、合奏ではなかなか感じられなかった一体感(そう、今年のテーマは「oneness」ですよ)がいちばん感じられた演奏だったし、司会を 担当していただいた方からも「いちばんよかった」というコメントをいただいた。 《プスタ》の第2楽章は直前に副指揮者くんと打ち合わせたことを踏まえて、練習とはぜんぜん違う振り方をしてしまった(のは気付かれていた?)のだ が、意図通りの音楽(つまり合奏の成果ではなく、その指揮の成果)が出てわりと満足。細かいミスがあったが全体的な流れはあれでいいでしょう。 《ヴェスヴィアス》の変拍子のリズム感はアルトサックスが最初に演奏するテーマで決まり、そのテンポ感は序奏のテンポがいかに安定するかで決まる。 序奏はティンパニやマリンバの8分音符のパルスを大きめに出すことで安定したし、アルトサックスのソロもその後の音楽の原型としては申し分のない安定性 だった。結果、だれることなく全曲が流れたのはかなりうまくいった証拠なのではないかな。「ノリ」がよくなったせいで音が暴れて少々荒くなったきらいはあ るが、まあ曲の持つ雰囲気から考えれば問題ない。 《カンツォーナ》は、フレージングの課題が克服できなかったのがちょっと残念。 まあ、この曲を「聞かせる」のはものすごく大変。 こういう希少な曲を演奏できただけでもありがたいと思わないと。 メンデルスゾーンの《序曲》は、やはり他の吹奏楽曲と違い、雰囲気を作るのが難しい。汐澤先生のレッスンでかなりいいところまでいったので、(私も含めて)安心してしまったのか、ちょっと詰めが甘かったかも。 ここまでハードな曲である必要はないが、古典的な曲を取り上げるのも新鮮な発見があるのでこれからも続けたい。 《ディエス・ナタリス》も、練習回数が多かっただけに(しかも体力的にきついために)ちょっとモチベーションのピークが過ぎてしまっていたのか、「ある程度」のところで留まってしまった感のある演奏。そういう意味でも難しいのかも。
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片山杜秀さん
amazon からのメールで片山杜秀さんの新刊「片山杜秀の本(2) 音盤博物誌」が発売されているのを知り、さっそくポチッ。 第1巻が出たのが今年の1月、そしてこの第2巻が5月だからずいぶんペースが早い。 ….. amazon のギフト券が溜まっていることをいいことにポチポチやっているが、小刻みに何回も注文すると段ボールがどんどん増殖して嫌な顔をされるのだなあ ….. お仕事の依頼。 なかなか時間が取れない日々が続いているのだが、チャレンジングな条件だし、何とかなりそうなので受けることにする。
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佼成ファン感謝デー
東京佼成ウィンドオーケストラ&普門館 東京佼成ウィンドオーケストラの2008年度の「ファン感謝デー」の全演奏曲を収録した DVD。 (限定 2000 枚という言葉にひかれて、ついポチッと …..) アルメニアン・ダンス・パートI(A.リード) クラリネットと吹奏楽のための協奏曲(N.リムスキー=コルサコフ) クラリネット独奏:関口仁 素晴らしき夕日の中で (ダニエル・ケンジ・アケモト/伊藤康英) フェスティバル・ヴァリエーション (C.T. スミス) (どうでもいい話だが、v を「バ」と「ヴァ」に書き分けているのはなぜだろう?) 吹奏楽のためのシンフォニア(小林徹) 北海の大漁歌(岩河三郎) 東北地方の民謡によるコラージュ(櫛田(月失)之扶) シンフォニック・マーチ(斉藤正和) 序奏とアレグロ(木下牧子) アイヌの輪舞(早川博二) サンライズ・マーチ(岩河三郎) Overture FIVE RINGS(三枝成章) 風紋(保科洋) 吹奏楽のための「深層の祭」(三善晃) 全般的にはかなりラフな印象。 特にリクエストで選ばれたという課題曲10曲はリハーサル時間も少なかったそうだし、リスナーのリファレンス(脳内規範)となっている演奏は過剰なまでに作り込まれたコンクールの演奏が多いと思うし、淡白だという印象は仕方がないかなという気もする。 《序奏とアレグロ》や《深層の祭》などは緻密なアンサンブルが期待されるだけにちょっと残念。 《Overture FIVE RINGS》あたりは逆に勢いがあってよかった。 C.T.スミスの《フェスティヴァル・ヴァリエーション》もちょっと安全運転で停滞したようなテンポ設定だった。 そんな中で、編成を絞ったリムスキー=コルサコフの《クラリネット協奏曲》の端整な音色はさすが佼成という感じ。 3曲目は、ハワイ在住のダニエル・ケンジ・アケモトという方が作曲した作品。 「フレデリック・フェネルの思い出に」という副題がつけられている。 後半、別働隊による小規模なマーチングバンドによって、フェネルが愛したと思しき曲がパラフレーズされて演奏される。 フェネルが亡くなる時のエピソード(こちらの以前の日記を参照)が思い浮かぶ。 この前に、コンサートマスターの須川さん、前コンサートマスターの関口さん、指揮者の小林さんがフェネルの思い出を話す MC があるのだが、そこで在りし日のフェネルの姿が挿入される演出もなかなかよい。 で、やはりアンコール(DVD にはクレジットされていない)はフェネルゆかりの《ヒズ・オナー》。 それまでの、なかなか煮え切らなかった課題曲に比べると、サウンドの輝かしさが全然違うので何だかなあ、という気もするが、手馴れた感じの素晴らしいパフォーマンス。 (指揮者の小林さんも最後はフェネル得意のバッティングポーズをやってくれればよかったのに(笑)。) ところで、この演奏会って何人くらいのお客さんが入ったんでしょう? ステージ上の下手/上手にあるカメラから指揮者を映しているショットでは客席も映っているのであるが、いやに少ないというか、ほとんど人が映っていないというか ….. お客さんが入っていないところで収録したテイクも使っているのか知らん、と思ったりして …..
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バンドジャーナル7月号
バンドジャーナル2008年7月号が届く。 演奏会告知に積志ウィンドアンサンブルの定期演奏会の案内が無事掲載されていたのでほっとしているのであるが、普通に依頼すると演奏曲順で掲載できるところまで掲載されてしまうのだなあ。そうすると、いわゆる「目玉」が掲載されなくなってしまうのだなあ。 ということで、あらためてご案内。 【積志ウィンドアンサンブル第27回定期演奏会】 開催日:2008年7月6日(日) 時間: 13:30開場 14:00開演 会場: 浜松市教育文化会館 入場料:500円(全席自由) 曲目: バンドワゴン(フィリップ・スパーク) プスタ(ヤン・ヴァン=デル=ロースト) 詩的間奏曲(ジェームズ・バーンズ) ヴェスヴィアス(フランク・ティケリ) カンツォーナ(ピーター・メニン) 管楽合奏のための序曲作品24(フェリックス・メンデルスゾーン) ディエス・ナタリス(ハワード・ハンソン) 第1部は比較的新しい年代の吹奏楽作品を(今回はあえて脱アルフレッド・リードで)、 第2部は古典的なレパートリーとして、200年ほど前に書かれたメンデルスゾーンの作品と、アメリカで書かれた優れた作品2つという構成になっています。 「吹奏楽の演奏会」という意味で、世界中のどこに出しても恥ずかしくないプログラムだと自負しています。特にハンソンの代表作ともいえる大曲《ディエス・ナタリス》や、隠れた名曲《カンツォーナ》はなかなか生で聞く機会は少ないのではないかと ….. 演奏はいっぱいいっぱいですが(苦笑)、がんばっていますので、ぜひお誘いあわせの上、ご来場をお待ちしています。 気の早い話であるが、8月号の付録楽譜はシベリウスの《アンダンテ・フェスティーヴォ》だそうで。 シベリウスらしい雄大な雰囲気を持つ小品。原曲は弦楽合奏にティンパニが加えられている。 大学時代に先輩が木管・金管10重奏(いわゆる木管五重奏+金管五重奏)のために編曲したものを演奏した。 (ピンとくる人はピンとくると思うが、アルフレッド・リードにも同編成のアンサンブル作品がある。この作品を取り上げたときに抱き合わせたレパートリーである。) その後もこの作品を演奏してみたくて原曲のスコアを買ってみたりしたのだが、編曲が大変で挫折していたのである。ぜひ取り上げてみたいなあ。 私が持っているのは BIS レーベルのヤルヴィ/エーテボリ交響楽団の演奏。交響曲第5番とのカップリングである。
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AWSOのCD3枚
buythiscdに発注していたCDが到着。以前、このサイトでアメリカン・ウィンド・シンフォニー・オーケストラ(AWSO)のCDを見つけて購入したのだが、久しぶりにのぞいてみたら、さらに3枚増えていたので、それらを購入した。 比較的近年の委嘱作品が多く収録されているのはありがたい。「The American Wind Symphony Commissioning Project: A Descriptive Catalog of Published Editions, 1957-1991」という書籍には1991年までの委嘱作品しか掲載されていないので、その後の作品についてはなかなか資料がなかったのである。 わざわざ作曲者の出身国を書いてみたが、意図的にいろいろな国の作曲家に作品を委嘱しているようだ。 和田薫さんへの委嘱作品《協奏的3つの断章「序破急」》はこのCDに収録されている。 Bernd Franke(旧東ドイツ)/Three Marches for C.I. Blas Atehortua(コロンビア)/Concerto for Two Marimbas and Wind Orchestra Mats Larsson Gothe(スウェーデン)/Valley Music Ivana Loudova(チェコ)/Concerto for Organ, Percussion and Wind Orchestra Kaoru Wada(日本)/Three Fragments – Concertante for Timpani, Percussion and Wind Symphony Henk Badings(オランダ)/Concerto for […]
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BCL 9
バンド・クラシックス・ライブラリー9「アトモスフィア」も無事リリースの運びとなったようで、ブレーンからサンプル盤が送られてきた。 アトモスフィア バンド・クラシックス・ライブラリー9 今回、《吹奏楽のための練習曲》《フェリスタス》《イリュージョン》の作曲者である、小林徹さん、青木進さん、鵜澤正晴さんから作曲した頃の状況についてお話をうかがうことができた。 「課題曲クリニック」が完全に一つのマーケットと化していて、過剰なまでの情報が溢れかえる昨今(本来、一定の基準の上で各演奏団体の差異を測るた めの課題曲がここまで画一化されてしまっていいのか、という問題はさておき …..)と違い、課題曲についての情報が極めて少なかった往時の状況を知るには、やはり当事者にうかがうのがいちばん ….. と思ったのである。 音楽のプロとして活動を続けておられる青木さん、今では吹奏楽からは距離を置いておられる鵜澤さんや小林さん、みなさん、今回の新録音を「率直にう れしい」とおっしゃっており、青木さんからは「今回取材を受けたことでまた吹奏楽を書いてみたくなった」という言葉もいただいた。 さて、実はこのシリーズまだ続きます(笑)。 次の目玉は「三つあるうちの一番目」です。 お楽しみに。
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サーカス・マキシマス(祝日本初演)
過去の日記のアクセスが増えていたので思い出したのだが、昨日(5/10)ウィンドアンサンブル ドゥ・ノールがコリリアーノの交響曲第3番《サーカス・マキシマス》を日本初演したのだった。 どんなだったんでしょうね? (最後は確かショットガンをぶっ放して終わるんだったような記憶がある …..) こういうシアトリカルな作品は会場で「体験」するのがいいのだろうなあ ….. 近場でどこかやってくれないかなあ ….. (後日付記) 指摘をいただいたのでちょっと調べてみたら2007年12月16日に昭和音楽大学吹奏楽部(ウィンドシンフォニーとは別団体なのでしょうか?)が演奏会で取り上げていました。失礼しました。このブログエントリーは記録のために残しておきたいと思います。