《オルフェオ》を観る

今日は木曜日。通勤路はだいたい週の初めがいちばん混雑し、だんだん空いてくる、というのが一般的な状況なのだが、今日は珍しくアウトバーンが激しく渋滞していた。2年ほど前に本社がハンブルクの中心部に引っ越して以降、これだけ渋滞したのは初めてかも知れない。突然雪が降った翌日も渋滞することが多いのだが、今日ほど混んでいなかったような気がする。

とにかくアウトバーンに乗ってから車が動かない。いつもは自宅から15分くらいアウトバーンに乗り、そこから30分くらいは市街地を通って行く、というパターンなのだが、今日はアウトバーンを降りるまで1時間30分くらいかかってしまった。(おかげでブラームスの交響曲第4番とヴァイオリン協奏曲を丸々聞くことができてしまった。)

トータルでほぼ2時間。10時から日本とのテレビ会議があるので(いつも通り)8時ちょっと前に家を出たのであるが、会社に着いたのは10時ぎりぎりだった。特に事故があった様子もなかったのだが、原因は何だったんだろう?(街中でトラックとタクシーが派手にぶつかって1車線を塞いでいたのだが、これが原因ではなかろう。)

家族が寝静まったあと、先日購入したモンテヴェルディのオペラ《オルフェオ》を観る。

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演奏時間は100分ほどと、まあ手頃な長さだし、題材もギリシャ神話のオルフェウスのエピソードをほぼそのままなぞっているのでわかりやすい。

アーノンクールが指揮する古楽器のオーケストラも舞台と隣接する形で配置されているので、頻繁に映像に登場するし、舞台美術の大事な要素になっている。マイムではあるが、一部の楽器は舞台上で演奏されたりもする。マイムと言えば、舞台で演じる人も演じながら実際に歌っているわけではないようである(いわゆる口パク)。

前半は正直言って冗長な場面が続く。やはりクライマックスは冥界の場面、すなわちオルフェオが歌の力で三途の川の渡し守の心を動かす場面、それから冥界から妻であるエウリディーチェを連れ戻そうとするのだが、神との約束を破って冥界を脱出する前にエウリディーチェを見るために振り返ってしまう場面である。500 年前に書かれた音楽とは思えない劇的な展開である。

30年前に撮られた映像はさすがに時代を感じさせる。意図的かどうかわからないがスムースでない編集の跡は映画の黎明期のそれを想起させて、ある種のノスタルジーを感じる。

アーシーな色彩に統一された地上のシーン、それとは対照的にモノクロームな冥界のシーン、それらを常に傍観する神々や合唱、という対比も面白い。

オペラ自体は非常に楽しめたのであるが、こういった初期バロックの曲調をいわゆるベルカントで歌うのが適切なのかどうか?といったあたりがちょっとひっかかった。これを確認するには近年の純粋にピリオド的なアプローチの演奏を聴けばいいのかな?

ボックスに入っていた残りの2作品、《ポッペアの戴冠》と《ウリッセの帰還》はそれぞれDVD2枚組。ちょっと敷居が高いかも。

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