月別アーカイブ: 2011年3月

シュールランツェン

ハンブルグ日本人学校は日本と同じ学期制なので新学期は4月から始まる。4月になると息子は小学校に入学することになるので、ランドセル(あるいはそれに類するもの)を用意する必要がある。

ランドセルそのものを使っている児童もいるようなのであるが、それだと問題になることがある。こちらでは給食がないので子供は毎日お弁当を持って行かないといけない。ランドセルの中にお弁当を入れることはできないので手で持っていく必要がある。そうするとどこか(例えば通学バスの中とか)で忘れる可能性が高い … ということらしい。体操着などもまた然り。

ということで、うちではドイツで売られているシュールランツェン(Schulranzen 直訳すると学校カバン)を買うことにした。いわゆるリュックサックと同じようなものなのだが、プラスチックのフレームが入っていて、中身が少なくても形崩れしないようになっている。また、通勤途中でこれを背負っている現地の子供を見かけるのだが、視認性を高めるために派手な色(蛍光オレンジとか)を使っていたり、反射材が多く使われていたりする。

現地の新学期は9月に始まるので、シュールランツェンの新作はこの時期に合わせて発売される。今の時期は完全にシーズンオフなのである。妻は知人から「気に入ったものがなくなる可能性があるので早めに手を打った方がいい」というアドバイスをもらったらしいのだが、逆にこの時期は在庫処分的にディスカウントされているものも多い。「さすがにそろそろ買わないとやばいなあ」と思いながら、日本における「価格.com」のようなページから安く買えるところを選び注文した。

週末に「商品が発送された」というメールが来ていたので今日あたり届くのかなと思いつつ …

今日は少し仕事が長引いたので妻と息子が夕食を食べている最中に帰宅した。息子は届いた(と思しき)シュールランツェンを大々的に披露したいようで「お父さん、僕の部屋に入っちゃダメだからね」と言う。「そのわりにはリビングに堂々と空箱が置いてあるじゃねーか(私の心の声)」と思いつつ空箱の方に目を向けると、「これはね、CDの箱。CDが100枚くらい入っていたの」と言う。お父さんはそんなに買っていませんが …

ということで夕食後は撮影会になりましたとさ。あ、買ったのはこんなやつです。

今日届いたもの(インバルのベルリオーズ)

Hector Berlioz Edition

以前はDENONから出ていた(あ、今も廉価盤で出ているか …)インバル/フランクフルト放送響のコンビによるベルリオーズの管弦楽作品集。最近よくお世話になっている激安レーベル Brilliant Classics からのライセンス販売である。jpc.deで19.99ユーロ。CD 11枚に

  • 幻想交響曲
  • イタリアのハロルド
  • 劇的物語《ファウストの劫罰》
  • 劇的交響曲《ロメオとジュリエット》
  • キリストの幼時
  • テ・デウム
  • レクイエム

が収録されている。

ちなみにインバルは《幻想交響曲》の続編と位置付けられている《レリオあるいは生への復帰》(作曲者自身が連続した上演を指示しているにもかかわらずその機会は少ない)も録音しているのだが、なぜかこのボックスには含まれていない。これがこのボックスのマイナスポイントであると指摘する人もあるのだが、私は《幻想交響曲》の初発売時に限定生産された《レリオ》とのカップリング盤を持っているので問題ない。(好きな言葉は「初回限定」です。)まあ、廉価盤では普通に《レリオ》も手に入るようだが …

「音楽が重い」だの「抑揚に欠ける」など批判的な意見の多いこの頃(1980年代後半~1990年代前半)のインバルであるが、マーラー交響曲全集やブルックナー交響曲全集における、感情的に拘泥することなく曲の細部を見渡せる演奏はけっこう気に入っている。もっとも同じ頃にリリースされたラヴェル管弦楽作品集における《ダフニスとクロエ》はさすが重くて嫌だった覚えがあるが。

ということで、この全集を買う前に手持ちの《幻想交響曲》を聞き直してみたのだが、やはり悪くない。フランス的というよりはドイツ的だし、多くのリスナーがこの作品に期待するであろうグロテスクさや魑魅魍魎さは薄味だとは思うが、純音楽的なアプローチは明快で爽快である。第4楽章「断頭台の行進」で前半部がリピートされるのはちょっとびっくりするけれど。

今日届いたCD(ラインハルト・フリードリヒ)

Nobody Knows De Trouble I See

(CAPRICCIO 10 482)

  • ベルント・アロイス・ツィマーマン/トランペット協奏曲《誰も知らない私の悩み》
  • ルチアーノ・ベリオ/セクエンツァX
  • ヴォルフガング・リーム/無題I
  • ジャチント・シェルシ/トランペットソロのための4つの小品
  • ヴィルヘルム・キルマイヤー/途切れた別れ

先日買った《若き詩人のためのレクイエム》でベルント・アロイス・ツィマーマンという作曲家に興味を持った。その前に購入した(そしてなかなか聞けていない)「Musik in Deutschland 1950-2000」という大規模なボックスの中にトランペット協奏曲《誰も知らない私の悩み》が収録されていたので聞いてみた。このタイトルは作品に引用されている黒人霊歌から取られている。その黒人霊歌のメロディが12音音楽を経てクライマックスでビッグバンドを伴うジャズに変容してしまうのがとても面白い。

「Musik in Deutschland 1950-2000」に収録されていた演奏は少しトランペットソロが不安定に思えたので、ソロが安心できるフリードリヒの演奏で聞いてみたかったのである … が、このCDの演奏はきれいにまとまり過ぎているような気がする。高揚感を味わうには多少の荒さがあった方がいいのかな?と思ったしだい。

ベリオの《セクエンツァX》はトランペットソロと、共鳴のために音を発しないピアノ(つまり鍵盤をそっと押さえてペダルを踏んでおく)のための作品。これは申し分ない。

シェルシの《4つの小品》はあまりシェルシっぽくないなあ。もうちょっと「誰も近づけない孤高の世界」の音楽を期待していたのであるが。

送別会

帰任辞令が出た方の送別会、それから現地法人から私がいる子会社に出向された方の壮行会。ハンブルク市内の日本料理店を借り切って開催された。

前回、初めてPA(と電子ドラム)を導入した送別会が成功したからか、今回はさらにキーボードや大規模なドラムセットが用意された。

そういったバンド編成をバックに主賓が参加して歌を披露するような趣向。気持ちいいだろうなあ。

こういうシチュエーションで《サボテンの花》とかを聞くと(というか参加者全員で歌うと)その歌詞が身につまされる。

主賓の挨拶。海外赴任における自分の立ち位置の不安定さに時々思い悩むことがあるのだが、主賓の挨拶の中にも同じような苦労が披露された(ように私には思えた)。同じような考え方を持っていた人がいることを知って少し気が楽になった。

今回は2/1付け辞令の方々のための会だったのであるが、3/1付けの辞令で日本に帰られる方もいる。近々また同じような会が催される予定。