日別アーカイブ: 2009 年 12 月 6 日

演奏会その21: ハンブルク交響楽団(その3)

Sonntag, 06. Dezember 2009
4. Symphoniekonzert     19.00     Laeiszhalle, Großer Saal
Dirigent: Philippe Jordan

Der Eroberer

Bartók Divertimento für Streichorchester
Schubert 5. Symphonie B-Dur
Bartók Konzert für Orchester

Der Eroberer(征服者)と題されたハンブルク交響楽団の今シーズン第4回目の定期公演です。第1回目は行かなかったので私自身はこのオケを聞くのは3回目ということになります。

指揮者のフィリップ・ジョルダンは、スイス・ロマンド管弦楽団を率いたアルミン・ジョルダンの息子だそうで、まだ35歳ですが主にオペラで活躍しており、今年からパリ国立オペラの音楽監督に就任しているそうです。けっこう癖のある振り方をします。

指揮者がオケをコントロールできなかったのか、オケが指揮者についていけなかったのか、非常に不満の残る演奏会でした。全般的に残念だったのが弦の合奏能力で、ヴァイオリンの高音のピッチの不安定さとか、アレグロなどのテンポの速い部分での発音の「荒れ」のようなものがどの曲でも気になってしまいました。テイトが振ったハイドンではとてもクリアな響きが聞けたのですが。

もっとも緩徐楽章でのヴィオラやチェロを中心とした響きはときおり美しいものがあって、バルトークの《弦楽のためのディヴェルティメント》第2楽章とかシューベルトの交響曲第5番の第2楽章とかはよかったと思います。

バルトークの《管弦楽のための協奏曲》は、なんか曲が漫然と流れていっただけのような印象です。この曲に限った話ではありませんが、指揮者はある意図を持って演奏者をコントロールしながら、演奏者と聴衆をある方向へ導いていく必要がある、というのが私の持論なので、この曲における近視眼的な曲の作り方はどうにも受け入れ難いです。(余談ですが、指揮者(Conductor)は「共に(con)」「導く(ducere)」人という意味です。半導体(semi-conductor)やツアーコンダクター(tour conductor)の意味もこの語源から説明できますね。)

ただ、第4楽章「中断された間奏曲」のような、曲の展開の切り替わり自体が音楽の面白さになっている場合にはこのアプローチは有効のようで、楽しめました。

フィリップ・ジョルダンはオペラなどで「スコアの深い読み」が評価されているようですが、少なくとも今日の演奏会を聞く限りでは「本当かよ?」と言いたくなるような出来でした。まあ、最初に書いたように(曲との相性も含めて)指揮者の問題なのか、オケの問題なのか、はよくわかりませんが …