展覧会その2: モデル・バウハウス

ベルリン中央駅からハンブルクまで行く電車の発車時間は午後3時。うだうだ起きて、朝食を食べて、用意をしたら10時。あまり欲張って観光しても疲れるだけだと思ったので、ホテルの近くにある「ベルリンの壁」関連のスポットを見て、電車に乗ってハッケッシャー・マルクト駅まで行って、その駅の近くにあるという自家醸造の黒ビールを飲みながら昼食を食べて、ベルリン中央駅に行く、という計画を立てました。

最初に訪れたのはホテルから歩いて5分くらいのところにある「トポグラフィー・オブ・テラー(テロの地勢図)」。第2次大戦中にゲシュタポの本部があったところだそうで、ナチスのいろいろな所業がパネルで説明されています。近くにはかなりの長さの「ベルリンの壁」が保存されています。

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… と、ここまで見たところで雨が強く降ってきました。とりあえず近くの「グロピウス美術館」で雨やどりすることにしました(また、このパターンか …)。展示を見ようかどうしようか迷っていたのですが、どうも雨はすぐには止まない気配だったので、展示を見ることにしました。

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「Modell Bauhaus」

今年はバウハウス設立90周年だそうで、過去最大規模の展示内容です。ちなみにバウハウスの創立者であるヴァルター・グロピウスは、この美術館に名前が冠されている設計者のマルティン・グロピウスの甥にあたるのだそうです。バウハウスというと、主に家具だとかポスターデザインだとか建築デザインだとかが思い浮かびますが、絵画はもちろん、総合芸術としてのシアター作品なども創作の対象になっていたのが今回の展示を見た収穫といえます。バウハウスの歴史を時間に沿って追うような展示構成だったので、今まで漠然とイメージしていたバウハウスの歴史も再確認できました。生徒の習作などはちょっと凡庸な感じがしましたが、バウハウスの業績を隅から隅まで俯瞰しようという試みは非常に informative でした。ちらちら時計を見ながら展示を見ていたのですが、結局2時間くらい見続けていて、最後の方はほとんど駆け足になってしまいました。もう少し時間があったらもっとゆっくり見たかったです。

ということで、併催されていたル・コルビュジェの展示については素通り。1958年のブリュッセル万博のために建設されたフィリップス館の展示もあって、エドガー・ヴァレーズの《ポエム・エレクトロニック》が BGM で使われていました。

午後1時過ぎに外に出たところ雨があがっていたので、チェック・ポイント・チャーリーだけは行ってみることにしました。グロピウス美術館からは徒歩10分くらい、ベルリンが東西に分割されていた時代の国境検問所の跡地です。

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まあ、跡地にある検問所の建物自体がレプリカなので、跡地のリアリティについて云々するのは意味がないのかも知れませんが、見事に観光地化されています。すぐ近くには土産物屋が多数立ち並び、検問所の近くにはアメリカ兵やソ連兵の衣装を来た人たちが「1 picture 1 euro」みたいな札を持って立っています。「トポグラフィー・オブ・テラー」が寡黙に(しかし雄弁に)歴史の重みを物語っているのとは対照的に、限りなく形骸化されてしまった観光スポットを見て、なんか、とてもやるせない気持ちになってしまいました。近くにあった「ベルリンの壁博物館」に行った方がよかったのかな?

このあたりでタイムアップになってしまったのでベルリン中央駅へ。フードコートだと落ち着いて食事ができない(し、うまいビールが飲めない)と思ったので、ドイツ料理のレストランに入りました。久しぶりの白ソーセージとヴァイツェンビール。よく見たらヴァイツェンは昨日の夜飲んだものと同じ柄のグラスでした。チェーン店か?

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さて、帰りの電車。指定券を予約していたのですが、乗り込んだらすでに人が座っていました。聞いてみると「この電車は代替運行なので、指定券は無効だ。空いている席に座りなさい。」と言われました。よく考えたら ICE を予約していたのですが、乗った電車は IC でした。しょうがなく空いている席へ。往路の ICE はでかいドイツ人に通路側の席をブロックされて写真が撮れなかったので帰りに撮ろうかなと思っていたのですが … 検札の際には車掌さんが切符に何か書いていました。ハンブルクに着いて、その文字を調べたらどうやら「代替運行」と書かれているようで、ドイツ国鉄の窓口に持っていたら返金してくれました。無効になった予約券分の 2 ユーロだけですが。

ハンブルクからベルリンまでの旅行は浜松から東京へ出かけるのと同じような感覚です。列車のダイヤ的には不可能ではないので「ベルリンフィル日帰りツアー」とかやってみようかな。

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  1. ピンバック: ナンセンス!Futura(書体)にはナチスのイメージがあるからドイツでは使っちゃいけない?は大嘘だ! - caoly design

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