月別アーカイブ: 2008年5月

池袋→銀座

帰省から自宅に戻る途中、東京で一泊。錦糸町駅の近くに宿を取る。

「山手線外に出た方が宿泊費は安いだろう」「なるべく東京駅に近い方が浜松に帰る時に便利」という理由から錦糸町を選んだのだが、「鉄ちゃん」である息子には大正解。

JR の路線に面した部屋からは、総武線、総武線快速、成田エクスプレス、房総半島方面へ行く特急「さざなみ」「わかしお」などを見ることができる。息子は電車が通るたび(すなわち数分おき)に大興奮している。「連結してる!」「しかも6扉車!」「しかもダブルデッカー!」とか叫んでいる。

息子とお母さんが昼寝をしている間に池袋へ。「ミッテンヴァルト」で東京コンサートからリリースされている「日本の作曲・21世紀へのあゆみ」のライヴ録音CDを購入するのが目的である。 1998年から2007年にかけて行われた、全40回の演奏会をCD化したもの。第25回までがほぼ演奏会1回につき1枚のCDでリリースされているのだが、後半は資金難とかでCD化されていない。何枚かは持っているのだが、そもそも店頭で購入できるショップが限られているし、そろそろ全部購入しておかないとなくなるかも知れないし ….. ということで、できるだけの枚数を購入しようと思っていた。

….. あれ、どれ持っているんだっけ?

特定の曲が聞きたくて購入したものは覚えているのだが、コンプリートすべく購入したものはどれを持っているのかよくわからない。まあ、「疑わしきは買っておく」ということで ….. カードが使えないということで、通販と同じ扱い(後日銀行振り込み)にしていただく。さらに、送料無料で郵送していただけることもなった。

ついでに見つけたのが、不気味社による伊福部昭作品のカバーというか編曲というか、男性アカペラコーラスで伊福部作品を演奏している CD である。まあ、本家を知ってこそ楽しめる内容で、正直私は一枚でお腹いっぱいという感じである。(2枚買ったけど)

しかし、そこかしこに「愛」を感じるシリーズではある。特に「豪快な伝説」のブックレットは非常に充実していて、木部与巴仁さんや福田滋さんなど「伊福部昭」を語る上で欠かせない方たちの文章が載っている。また、伊福部さんの没後に自宅を訪れるエピソードが漫画で描かれているが、これも面白い。「豪快な交響ファンタジー」の方は(なぜか)FONTEC からリリースされている「芥川也寸志の世界」のジャケットのパロディである。

その後、銀座に出てヤマハ銀座店(の仮店舗)へ行く。漠然とプランタンの並びであることは頭に入れていたのだが、思っていたよりずっと東京駅よりだった。

こちらもミッテンヴァルト同様、「日本の作曲・21世紀へのあゆみ」シリーズのCDを店頭で購入できる数少ないショップである。 ….. が、「すでに購入しているCDがどれかわからない」「さっきミッテンヴァルトで買ったCDがどれかわからない」という状況で、「それ以外のもの」を買えるわけがない。少なくとも店頭に並んでいることを確認して、近くの HMV に行ってみることにした。

HMV では予想外の収穫が2枚。

七人の侍~早坂文雄の芸術

オーケストラ・ニッポニカによる早坂文雄作品集。ウェブで調べてみると、2006年12月10日に行われた第10回定期演奏会の実況録音盤らしい。伊福部昭さんの《交響譚詩》や《シンフォニア・タプカーラ》の吹奏楽編曲も手がけている松木敏晃さんによる交響組曲《七人の侍》や、スコアとパート譜の違いを校訂した《左方の舞と右方の舞》などなど。

ニッポニカの定期演奏会の録音はマイナー・レーベルを綱渡りしながらリリースされてきたので、今回の久々のリリースはうれしい。(….. といいながらも、半年も前にリリースされていたのだが全然知らなかった …..)

もう一枚はデヴィッド・デル・トレディチ作曲の《ファイナル・アリス》。バーバラ・ヘンドリックス(ソプラノ)の独唱、ショルティ指揮のシカゴ交響楽団の演奏である。

トレディチは最近《イン・ウォータイム》という吹奏楽作品で注目を集めている(のかな?)。昨年、アメリカ人の友人が来日した時に、彼が注目している作品ということで、この《イン・ウォータイム》を紹介され、同時に「不思議の国のアリス」に基づいた管弦楽作品も発表しているということを聞いていたのであった。

妻は、2枚「しか」CDを買ってこなかった私に訝しげ ….. (笑)。

買った本

GWは妻の実家へ帰省する。紀伊国屋書店は幸せだー ….. ということで買った本。

時の終わりへ メシアンカルテットの物語 (叢書・20世紀の芸術と文学)

第2次大戦中の強制収容所で書かれ、そこで初演されたという、オリヴィエ・メシアンの《時の終わりへの四重奏曲》について書かれた本である。

この作品はピアノ、ヴァイオリン、チェロ、クラリネットのために書かれている。ピアノの初演者はメシアン自身で、他の演奏者は収容所で知り合った演奏家ということなのであるが、意外なことにこれらの演奏家への取材は今まで行われていなかったらしい。

メシアンの証言によって広められた作曲の経緯/初演の様子が、実は事実とは異なるということを他の演奏者へのインタビューによって確認している。

それ自体が「衝撃の事実!」というほど重大な内容ではないのだが、今までそれほど明らかになっていなかった(と思う)収容所でのメシアンの様子などがわかるという意味で面白い内容である。

M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究

何か最近欲しい本があったけど思い出せないなあ ….. と思っていたら、今朝の毎日新聞の書評で紹介されていた。ラッキー(笑)。「東京大学のアルバート・アイラー」や「憂鬱と官能を教えた学校」(あ、こっちはまだ読んでないや …..)での思想を発展させて、マイルス・デイヴィスという1ミュージシャンを論評している、ということになるのかなあ?

しかし厚い本だ。スノビズムの極致。背に目次が書かれている本なんてはじめて見た。

現代音楽の練習帖
ううん …..

著者が書いているように、決して現代音楽の入門あるいは解説本ではない。「現代音楽」(クラシックにおける1ジャンルとしての「現代音楽」ではなく、同時代音楽として聞かれている音楽)を題材とする、論理的な思考を行うためのトレーニング本か。

そんなに厚くないし軽く読めるかと思ったのだが、ちゃんと内容を咀嚼しようと思ったらかなりまじめに読まないといけなさそう。

(というわけで、まだまじめに読んでいない …..)

さらばロードスター

ということで、長い間乗ってきた愛車を手放す。

確か、2000年の秋くらいから乗っていた(と思う)。それまでは電車で会社に通っていたのだが、異動によって自動車じゃなければ通勤できないような勤務地になってしまい、海外赴任中の友人が所有して眠っていたロードスターを急遽安く譲ってもらって乗っていたのだった。(まあ、車を買ったくらいならいいのだが、同僚でそのために自動車教習所に通って免許を取った人がいる …..)

思い返すと、いろいろな事件(?)があった。

「工事中」の看板が立てられていなかった道路を走っていて少し盛り上がったマンホールに激突し(ただでさえロードスターはロードクリアランスが小さい)、エンジンがやられる一歩手前、ハンドルが90度傾いたまま運転してディーラーに持っていたこと、他社の方と一緒に仕事をしていて夜遅くなってしまい、宿が取れなかった方を共同浴場まで送っていき、その道中で壮大な夢を語っていただいたこと、長い間行方不明になっていた CD(ちなみに4枚組「ジョン・レノン・コレクション」の2枚目)がルーフを収納するスペースからボロボロになってみつかったこと。

そして、息子のためにチャイルドシートを買って、屋根を空けたままコルトレーンや栗コーダーカルテットやビートルズを鳴らして保育園までお送りをしたこと。

たぶん、今まで所有した車の中でいちばん長く乗ったことになる。何となく感傷的になってしまうなあ …..