職場の知人から借りていたにも関わらず、ずっと時間が取れなかったのであるが「そろそろ返さないといけないしなあ …」と思って読み始めた。
ストーリーや絵柄はかなりベタなのであるが、読み始めると止まらない。借りていた8巻までを一気に読んでしまった。
舞台はリアリズムに即しているものの実際にはまずあり得ない非現実感。私は中途半端なリアリズムやフィクションよりは徹底的な非現実感が好きなので、この非現実感が心地よい。
あとは、ストーリーの中で演奏されている音楽(作品の中では「完璧を超えた音楽」とも言われている)のイメージを喚起させる語り口のうまさ。これを読んだあとには耳で聞くことができる全ての音楽が空々しく感じてしまった。その一方で全ての音楽が誰かに向けて発せられているのであれば、どんな音楽でもいとおしく感じられてしまう。
また音楽を演奏する上での大事なことを示唆されたように思える。
読んでみて下さい。