KLAVIERの新譜

会社へ行こうとしたら、ちょうど注文していたKLAVIERの新譜(+その他)が届いたので、会社へ持って行って聞くことにした。

Passions

コーポロンのシリーズにしては親しみやすい曲が多い盤である。グレインジャーの《子供のマーチ》《コロニアル・ソング》、定番中の定番と言えるホルストの《第二組曲》、ウィテカーの抒情的な作品《オクトバー》など。

しかし、やっぱり目玉はシュワントナーの最新作《リコイル》の初録音。それから、伊藤康英さんの《ぐるりよざ》に続く日本人作品として、真島俊夫さんの《三つのジャポニスム》が取り上げられている。

予想していたことではあるが《三つのジャポニスム》は特に第1楽章が少々乾いた演奏。軽やかさよりも、もう少し土着的というか湿った感じの音色の方がこの曲には合っていると思うんだけどな。第2楽章のソプラノ・サクソフォン・ソロは途中でオクターブ下げて演奏している。サックス奏者に聞いたら、このソロは音域外の音があるのでフラジオを使わないと吹けないんだとか。第3楽章は第1楽章とは逆に軽やかさがプラスに作用している。

グレインジャーの作品はどちらも作曲者の個性の一つである「えげつなさ」がよく出ている。民謡風の人懐っこい旋律の裏で伴奏がものすごいことをやっていたりするのだが、それが強調されていて面白い。また、この作曲者特有のソノリティの変化の面白さも楽しめる。ただ、《コロニアル・ソング》は作曲者指定のテンポよりかなり早め。ものすごく繊細で微妙なテンポ設定はきっちり守って欲しかった。そうすることによって出てくる面白さもあるのに。

などなど、少し気にかかる部分もあるのだが全体的には大満足のCDである。何といっても録音がよい。バランス的にはかなりいじっているような気がする(こんなに木管は聞こえないと思う)のだが、出てくる音響それ自体に浸れることができる。

それから注目していた《リコイル》の出来が期待以上に素晴らしかった。最初から最後まで緊張感に満ちた素晴らしい演奏。以前の日記でも書いたが、主部の 7/8 拍子のリズム・オスティナートと中間部の女性ヴォカリーズが印象的。

最近面白い吹奏楽 CD に出会えていなかったが、これは久々のヒット。買って損はしません。

今日はこの一枚でお腹いっぱい。ということで同時購入の以下の3枚のレビューはまた今度。

Poetics

ニュー・コンサート・ピース2005 アルフレッド・リード「アーデンの森のロザリンド」

ウィリアム・シューマン作品集 (K 11155)

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