ジョン・ケージの吹奏楽曲

John Cage: Fifty-Eight

ジョン・ケージの最晩年の作品。 すでに廃盤になっているらしく、なかなか見つからなかったのだが、アメリカの中古ショップで見つけた。

58人の管楽器奏者のために書かれている。 編成はピッコロ(3)、フルート(4)、アルト・フルート(3)、オーボエ(4)、コール・アングレ(3)、Bb クラリネット(4)、バス・クラリネット(3)、バスーン(4)、コントラバスーン(3)、ソプラノ・サクソフォン(3)、アルト・サクソフォン(3)、 テナー・サクソフォン(3)、バリトン・サクソフォン(3)、ホルン(4)、トランペット(4)、トロンボーン(4)、テューバ(3)。

「fifty-eight (58)」という数字は、この作品を委嘱した吹奏楽団があるオーストリアのグラーツにある州庁舎のアーチの数に由来しているらしい。 このCDには初演の様子が収められているのだが、ライナーノートに載っている写真を見ると、それぞれのアーチの下に管楽器奏者が陣取って、聴衆を取り囲む ような形で演奏したようだ。そういうわけで聴衆のヒソヒソ話や子供の声、いろいろな日常音も収録されている。(まあ、ケージの作品なのだからそれでいいの だろう。)

いわゆる「偶然性の音楽」の範疇に入るのであろう。奏者がそれぞれ任意の長さで演奏する持続音が折り重なって予期しない和音が響くのを楽しむのがいいのだろう。

特にクライマックスがあるわけでもなく、終わりだからといってマッシブに響いたりするわけでもなく、淡々と持続音が交歓されるような音楽である。さすがに総演奏時間45分(それも基本的には任意なのだろうけど)はちょっと冗長。

(後日付記)ケージには「Quartet for Concert Band and Amplified Voices」という1976年に書かれた吹奏楽曲もあるそうです。NAPP さんに教えていただきました。

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