YMOのコピーバンド

ライヴ パブリック・プッシー

「Yセツ王(ERO MAGIC ORCHESTRA)」は「OMY」と並ぶYMOコピーバンドの代表格である。 「OMY」がパロディという形でYMOをコピーしているのに対して、Yセツ王は直球勝負というかそのままYMOの演奏を再現する形でコピーしている。

というわけで、このアルバムは「PUBLIC PURESSURE 公的抑圧」を完全にコピーしたもの。 演奏面からいうと、《TONG POO》のオープニングのボソボソ声、《THE END OF ASIA》のアウトロ、《COMSIC SURFIN’》のイントロの MC、《BACK IN TOKIO》の雰囲気などかなり細かいところまで再現しようとしているし(このくらいしないとYMOファンは唸らない?)、ジャケットはもちろん、イン ナーにある海外プレスの引用や、第1回ワールドツアーにおけるメンバーの日程表などもパロっている。

なんでエロでなければならないのか(笑)、という必然性はさておき、こういうノリは嫌いではない。

当たり前ではあるが、YMOのオリジナルを完全にコピーすることは不可能であるから、Yセツ王の演奏には確実に「違い」がある。 その違いにがっかりするか、ニヤリとするかが、YMO に対する愛情の試金石ともいえるのではないだろうか。

オリジナルの「PUBLIC PRESSURE」が持っている、あまり広くないライブ会場でやっているという空気感もよく再現されていると思う。 リアルタイム世代として語らせてもらえば、この「PUBLIC PRESSURE」は、YMO が大ブレークする直前にリリースされたライブアルバムで、個人的にも初めて聞いたYMOのアルバムである。上記の空気感というのは、ブレークする前の、ま だほんの少しアンダーグラウンドというか非主流な雰囲気を漂わせていた YMO 自体にも通じる空気感であって、そういう空気感はリアルタイム世代でなければ感じることができなかったのではないか。 YMO に対する愛情の試金石とはそういうことでもある。

ボーナストラックは高橋幸宏のソロアルバム「音楽殺人」に収録されている《BIJIN-KYOSHI AT THE SWIMMING SCHOOL》を下敷きにしたオリジナル曲。それにプラスチックスやP-MODEL を隠し味に加えたような典型的なテクノポップ・サウンド。

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