月別アーカイブ: 2005年3月

おかげさまで一周年

http://www.musicabella.jp/ に移行してちょうど1年が経った。

Pukiwiki を使い始めてからはほぼ半年である。Pukiwiki になってからのページビューはほぼ 180000。だいたい一日当たり 1000 くらいのページを見ていただいていることになる。ちなみにアクセスしていただいているユニークホスト数は一日当たり 500 前後なので、そのくらい数の固定客(?)の皆さんに支えられているのである。

ほとんど思いつきで、しかも趣味の一環で邦人作品リストなるものを始めてしまったのであるが、Pukiwiki の「不特定多数の書き込みによって成立する」という利点が少しずつではあるが着実に実を結んでいるように思う。

まだまだ入力しなくてはいけないデータはたくさんあるし、英語版も作ってみたいし、「海外の作曲家も含めた壮大な作曲家データベースを作ったらどうなるのだろう?」という誘惑も少しあるのだが、まあニッチなところで濃くしていった方が面白い気もするので、とりあえずは今のまま行ってみようと思っている。

見に来てくださった方、書き込んでくださった方に改めてお礼を言いたい。

どうもありがとうございます。また今後ともよろしくお願いいたします。

休日

たまにはゆっくり休ませてくれ ….. というわけで有休取得。申請してから気付いたのであるが、そういえば来週も3連休だった。まあいいか。昼間からパスタを食べて酒を飲んでリラックス。

昨日録画しておいた「新・日曜美術館」を見る。「包むアーティスト」クリストがニューヨークのセントラル・パークで行った「The Gates」というプロジェクトを紹介している。セントラル・パークの遊歩道に数千のゲートを設置し、サフラン色の布をはためかすというプロジェクトである。

http://www.christojeanneclaude.net/tg.html

およそ10年前、私が卒業した大学の近くで「The Umbrellas」(http://christojeanneclaude.net/um.html)というプロジェクトが行われていて、これを見に行ったのがクリストを知るきっかけだった。これは日本には青、アメリカには黄色の傘を同時に設置するというプロジェクトなのだが、あまりにもスケールが大き過ぎてあまり実感が湧かなかったというのが素直な感想。(だって、それらを同時に見ることはできないのだから。)それよりも島を丸ごと囲ってしまう「Surrounded Islands」(http://christojeanneclaude.net/si.html)とか、谷にカーテンをかけてしまう「Valley Curtain」(http://christojeanneclaude.net/vc.html)の方がわかりやすいのかなという気がする。

馬鹿馬鹿しいといえば馬鹿馬鹿しいのだが、自然に拮抗するくらいの人工物を作ってしまおうというアイデアと、それを目の当たりにしたときの圧倒的な迫力は、浮世離れしたロマンだと思うし、そのくらいのことを発想できないと「芸術」には成り得ないのだろうと思う。

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息子をあやしながら、これも録画しておいた「生放送! BSまるごと大全集プレイバック! 全米ヒット・チャートNO.1 (50’S〜90’S)」を見る。
受信料支払い拒否対策(?)の企画で、リクエストがあった全米 No.1 のヴィデオをノーカットで放送するというもの。

とはいえ、No.1 にならなかったマイケル・ジャクソンの《スリラー》を「リクエストが多かった」という理由で流すのもどうかな?確かにほとんど短編映画とでも言えるくらいお金と手間がかかっているヴィデオだし、個人的には非常に懐かしかったのだが …

バナナラマや、現在演歌歌手の長山洋子がアイドル時代に歌っていた《ヴィーナス》という曲が、実はショッキング・ブルーというオランダのグループの1970年のヒットだということを初めて知った。オリジナルのヴィデオクリップも初めて見たのだが、サウンドが LOVE PSYCHEDELICO っぽくてなかなかかっこいい。

ちなみに息子がいちばん上機嫌だったのはナックの《マイ・シャローナ》でした。

 

日本の童謡

親子で読んで楽しむ日本の童謡 (CDブック)

最近、戦前・戦中に日本でどういう音楽(基本的に吹奏楽なのだがそれに限らず)が演奏され、聞かれていたのかに興味があり、いろいろ資料を集めている。そこでいろいろ調べているうちに見つけた興味ある本である。

大正・昭和に作られた50曲の童謡が掲載されており、歌詞や作られた背景などが紹介されている。そのうちのおよそ半分の作品については付録のCDに音源が収録されているのであるが、これが SP レコードから取られているものなのである。

著者の郡修彦さんという方は SP レコードの再生に関してかなり著名な方なのだそうだ。「親子で読んで楽しむ日本の童謡」という一見ほのぼのとした企画の裏に、そういった SP レコードの再生にかけるマニアックな情熱が隠されているあたりがなかなか面白い。

郡さんが書かれているように、昔の(ひょっとして今も?)日本には大衆文化を保存しようという考えがなかったらしく、ここに収録されている音源も原盤はほとんど廃棄されているのだそうだ。つまり現存する音源は、壊れやすく、しかも再生するたびにどんどん音質が劣化していく SP レコードそのものの中にしかないのである。それを考えると SP レコードの愛好家がたくさんおられるというのがわかるような気がする。

(私はさすがにそこまで手を出せませんが …..)

付録 CD を聞いてみると意外に音質がよいのに驚く。もちろん、何度か再生されているものには避け難い定常的なノイズがのっているし、ダイナミックレンジの狭さも仕方がないことだとは思うが、音源によってはノイズもほとんど目立たずにいいバランスでまとまっている。(もちろん物資が不足していた戦争末期や終戦直後よりは昭和初期の音源の方がずっと状態がよい。)

本日の合奏

そろそろ本格的に定期演奏会の練習が始まる。

ここ最近「こども講座」の練習でポップス系の曲ばかり振っていたせいか、いわゆる「指揮者の筋肉」の感覚がどうもしっくりこない。

普段は重心がほぼ握る位置にある指揮棒を使っているのだが、今日はそれより少し棒の先の方に重心がある指揮棒を使う。なかなか意図通りに動かない腕を、棒の重さによる慣性の力を借りて動かしてみようと考えたのである。

わりと意図通りにうまくいったような気がする。やはり「素振り」(指揮の基礎練習)はきちんと時間をかけてやらないと筋肉が退化してしまうのかなあ?

久しぶりにカンタベリーバカ

もはやカンタベリー・ミュージックの範疇をはみ出ているような気がするが …

Ca Va

1998年にリリースされたスラップ・ハッピーの最新オリジナル・アルバム。1974年にヘンリー・カウとの共同名義で発表された「Desperate Straights」の直後にグループは解散したわけなので、アルバムとしては24年ぶりに作られたことになる。

(この間、1982年に一回だけライヴを行ったことがあるらしい。)

1970年代のアルバムはまだ入手可能だというのに(とか言っているくせにまだ私は買っていないのだが)このアルバムは廃盤。インターネット上の中古CDショップで探して入手した。

「Desperate Straights」以前のスラップ・ハッピーはまだ聞いたことがないのでよく知らないのであるが、その「Desperate Straights」の先鋭さに比べると、この「ca va」ではとんがったところが全然ない。1998年時点の同時代の音楽と比較してもオールド・スタイルな感じがする。

そのため、バックトラックのスタイルに多少のチープさを感じなくはないが、ダグマー・クラウゼのヴォーカルは「円熟」という他ない。全盛期のあの先鋭さがあるからこそ、この円熟味を感じられるのであろう。

そういうわけで年代順に聞くのがいいと思う。

 

日本の行進曲

キングレコードから「The Best Collection of March」と題された行進曲シリーズが10枚リリースされた。とりあえず上記の4枚を購入した。

基本的には以前のシリーズを再編集したものなのであるが、何曲かはこのシリーズのために新録されたものもある。(どの作品が新録なのかちゃんと明記されているのが親切)中橋愛生さん(ネット上では NAPP さんという呼び方の方がわかりやすいか?)や福田滋さんが選曲に携わっているということもあって、旧シリーズの隙間にピンポイントで収まる秘曲を選んだという感じ。《行進曲「新潟」》(湯浅譲二)、《行進曲「信濃路」》(小山清茂)、近作では《行進曲「海辺の道」》(酒井格)、《コンセルト・マーチ「シンタックス・エラー」》(中橋愛生)など。

「コンサート・マーチ」と題されたCDは全日本吹奏楽コンクールの課題曲を中心に選ばれているが、課題曲からのセレクションとしては納得のいく選曲。吹奏楽コンクールでのある意味「歪な」演奏が残っていくよりは、こういう実直な演奏が残っていく方がいいと思う。

「戦前編」は各曲に個性が乏しい(と感じるのは私の修行が足りないから?)ので鑑賞するには少々辛いのであるが、この4枚はセットで聞いた方がいいと思う。歴史的にもスタイル的にも日本の作曲家による行進曲を俯瞰できる。

 

テクノフィーバー

2月末からYMO関連の怒涛のリリースが始まる。2月はとりあえず周辺の作品群なのだが …

3月はメンバーの代表的なソロアルバムの紙ジャケ化がある。幻の「ディスアポイントメント・ハテルマ」(坂本龍一)、YMO 結成のきっかけとなったセッションが収録された「はらいそ」(細野晴臣)、YMO 絶頂期に制作された名盤「音楽殺人」(高橋幸宏)など。

4月は坂本龍一のコロンビア時代のソロアルバムの紙ジャケ化がある。初ソロアルバム「千のナイフ」や、渡辺香津美と組んでいた頃の「KYLYN」「KYLYN LIVE」など。(あれ半年前にコンプリート出したばっかりじゃん …)

YMO 全盛期(1980年かな?)に NHK-FM の「サウンド・オブ・ポップス」という番組が1週間(5日間)YMO の特集を組んだ。司会は糸井重里。初日と最終日が YMO の話で、火曜日から木曜日は各メンバーにスポットを当てるという構成だった。(全部カセットテープに録音したんだけど確か消しちゃったんだよなあ …..)

その中で YMO の周辺作品ということで紹介された曲の多くが、この「イエローマジック歌謡曲」に収録されている。《ユー・メイ・ドリーム》(シーナ&ザ・ロケッツ)とか《アイドル・エラ》(サンディー)とか《CARNAVAL》(大貫妙子)とか。
他の曲もベースラインやアレンジなんかを聞くと YMO の作品に似ていたりしてニヤリ。

当時も好きだったのだが、ラジの《ラジオと二人》という曲が妙に気に入っている。哀愁のあるメロディと歌詞がいかにも「歌謡曲」という感じがする。最近こういう「歌謡曲」っぽい曲って少なくなりましたね。

文献ではたびたび名前が挙がるテクノアイドル歌謡の傑作(といわれている)《ハートブレイク太陽族》(スターボー)は初めて聞いたが、眩暈がした(笑)。

姉妹品の「テクノマジック歌謡曲」は YMO のメンバーが直接絡んでいない歌謡曲のコンピレーションということだったのでとりあえず保留している。「電子音楽・イン・ジャパン」の著者でもある田中雄二さんのライナーノートを読んでみたい気もする。

3枚組55曲で4200円というのはかなりがんばった価格設定である。

 

航空自衛隊中部音楽隊第28回定期演奏会

航空自衛隊中部音楽隊第28回定期演奏会を見に行った。

2005年3月11日(金) PM7:00 アクトシティ浜松大ホール

第1部

  • アーロン・コープランド/エンブレムス
  • 渡部哲哉/行進曲「風の音に乗って」
  • 高橋伸哉/ライト・フライヤー(中部航空音楽隊委嘱作品 本邦初演)
  • I will…/清水大輔(中部航空音楽隊委嘱作品 本邦初演)
  • ロン・ネルソン/ロッキー・ポイント・ホリデー

第2部

  • ジョン・フィリップ・スーザ(日下部徳一郎)/士官候補生
  • ホセ・ラカーリェ(中村春彦)/アマポーラ
  • スティーブン・フォスター(前田憲男)/草競馬
  • 大野雄二(三浦秀秋)/ルパン三世
  • 清水大輔/ネクスト・エンジェルス(吹奏楽版 本邦初演)
  • (渡部哲哉)/エルヴィス・ライブス

アンコール

  • 矢部政男/航空自衛隊行進曲《空の精鋭》

私には演奏会をコープランドの《エンブレムス》で始める勇気はない。 あの有名な《アメイジング・グレース》が引用されているとはいえかなり晦渋な作品だし、情け容赦なく不協和音が続く。聞き手を惹き付けるのは難しい曲である。 しかし、鳴りのよいサウンドで聞かせたという感じ。

ネルソンの《ロッキー・ポイント・ホリデイ》もメカニカルで難しい曲である。 かなり速めのテンポでもしっかり曲になっていた。サウンドはちょっと荒くなってしまった気がしたが、勢いのある曲なのであのくらいでもいいのかも知れない。 マレット・パーカッションが密かに超絶技巧。

第2部は特に後半でピッチの乱れが気になった。各曲のリズムもちょっとタメがなくて流れてしまっているように思えた。

個人的には清水大輔さんの2曲を聞けたのが収穫。

30年前の我が家

とある方の日記を見ていて、すごいサイトを見つけてしまった。

http://w3land.mlit.go.jp/WebGIS/index.html

国土交通省が提供している国土画像情報(カラー空中写真)を見ることができる。さっそく私の実家の当たりを探してみたのだが、そのあたりを撮影したのが昭和50年というから今から30年前である。

幸い、私の実家を見つけることができた。いろいろなことを思い返す。改築する前の家はもはや屋根の色を忘れてしまっていた、たぶん隣にある車庫は建てたばっかり。

当時、私は小学生だった。実家が写っている写真は何枚か見つかったのだが、ちょうど小学校と私の実家が一枚に収まっている写真もあった。つまり、その写真には私の当時の行動範囲がほぼ写っているのである。家から小学校までの通学路をたどれる、野球をしていた空き地も見える、裏山も見える、友達の家も見える。

おそらく、このくらいの時期に撮影された写真は何枚も持っているはずである。しかし、30年前の私にとっての「あらゆるもの」がこの写真の中に封じ込められているのかと思うと、いくら眺めていても飽きない。

皆さんもぜひお試しください。

 

北欧吹奏楽作品集

RNCM ウィンドオーケストラは、イギリス、ドイツ、フランス、ロシアなど国別に作曲者を集めた作品集をリリースしている。

 

これは北欧の作曲家の作品を集めたCDである。確かリリースされた順番としてはフランスものとロシアものの間に位置するものだったと思う。遅ればせながらやっと買った。

Nordic Wind Banc Classics

例えば、イギリスものにはホルストやRVW、ドイツものにはヒンデミットの《交響曲》やシェーンベルクの《主題と変奏》、フランスものには《ディオニソスの祭り》や《フランス組曲》、ロシアものにはストラヴィンスキーの《サーカス・ポルカ》、プロコフィエフの行進曲集、リムスキー=コルサコフの《トロンボーン協奏曲》など、他のシリーズでは有名どころの作曲家や作品が収録されているが、この北欧作品集は極めて地味である。

作品として聞いたことがあったのはアウリス・サリネンの《コラーリ(コラール)》、作曲家としてかろうじて名前を聞いたことがあったのはラウタヴァーラやアルヴェーンといった具合。(ニールセンはもちろん聞いたことがあったが)

全般的な印象としては、いい感じで楽しめた。

個人的に昨今の、特にオランダ周辺の分厚い響きの作品はあまり好きではないので、このCDに収録されているような、声高にならない透明な響きはいかにも「管楽器がアンサンブルしている」という感じでほっとする。

上述のサリネンやラウタヴァーラは現代的な作風で、あまり地域性は感じられないのだが、アルヴェーンやトヴェイトといった作曲家の作品はシベリウスあたりからの影響が感じられる。

サリネンの《コラーリ(コラール)》は久しぶりに聞いたが、現代的で透明感あふれるオーケストレーション(ハープやチェレスタが使われている)が印象的である。トヴェイトの《シンフォニエッタ・ディ・ソフィアトーリ》はシベリウスに通じる作風の自然描写がコンパクトにまとまっている作品。これも気に入った。オーレ・シュミットの《ストラヴィンスキーへのオマージュ》はストラヴィンスキーの作風を踏襲しながら、《春の祭典》、それからなぜか《ボレロ》(ラヴェル)や《結婚行進曲》(メンデルスゾーン)まで引用しているパロディ的な作品である。

意外な収穫。