すっかり忘れていたのだが、予約していた紙ジャケがどかっとリリースされたのだった。
YMO の各メンバーのソロ作は、ソニーとキングが足並みを揃えて一気に11枚リリース。 YMO 結成前の、初 CD 化や長らく廃盤だったタイトルが含まれている。
ソニーは再プレス以降での流用性も考慮しているためか、ライナーノートの表紙がジャケット写真と同じになっている。プラケースになったときにもそのまま使えるようにするということらしい。つまり、YMO やスネークマン・ショーの紙ジャケ再発の時もそうだったのだが、LP レコード時代の内容物の再現についてはほとんど注意を払っていないということである。
紙ジャケ売り切れ後もすぐに再プレスして市場供給を切らさないという姿勢も評価できるので、一概にどっちがいいとは言えないのであるが …..
「B-2 UNIT」は YMO 絶頂期の 1980 年(げ。四半世紀前か)に発表された坂本龍一のソロアルバム。ということは、どんな内容にしろ売れることはわかっていたわけで、それを逆手に取った過激な音作りになっている。昔からのコアな坂本ファンには評価の高いアルバムである。
中学生だった私は(今みたいに硬直していない)スポンジのような感受性を持っていたからこのアルバムの音を受け入れることができたのだと思うし、そういう時期にこのような音楽を受け入れたことがその後の嗜好の下地になっているのだと思う。
「サラヴァ!」は高橋幸宏の初ソロアルバム。ジャケットを見ていただければわかると思うが、ヨーロッパ・ポップスを強く意識している。初めて聞いたのは中学生の時だったが、YMO で雷に打たれた中学生にはちょっと渋過ぎた。最近聞き直したいと思って探したところ廃盤中だった。まずは再発を歓迎したい。
「音楽殺人」は YMO の絶頂期にリリースされたソロアルバム。YMO のメンバーはもちろん参加しているが、サポートメンバーや YMO ファミリーも多数参加している。スカやレゲエのリズムを使った曲が多く、全体的にポップな雰囲気。
このポップな雰囲気は大村憲司、鮎川誠、立花ハジメなどのギタリストの存在感が大きいからなのかも知れない。LP の初回プレスは爽やかなクリア・ブルーのカラーレコードだった。
同じく初回プレス特典だったレーベル・ステッカーは再現されているが、ポスターは再現されていない。残念。
「ニウロマンティック」はリアルタイムでは聞いていなかった。たぶんこの頃(1981年3月発売)はビートルズの雷に打たれたことだったので、自分の中で YMO の波はちょっと去っていたように思う。
YMO のファーストアルバムの評価は「YMO 以前の細野晴臣が好きかどうか?」できっぱり分かれるらしい。つまりYMO 以前の細野晴臣ファンにとってファーストアルバムは「傑作」なのだが、そうでもない人にとっては「ま、それなり」という評価なのだそうだ。ちなみに私は後者である(^_^;)。
というわけで、細野さんのソロアルバムにはあまり思い入れがない。(ごめんなさい。ごめんなさい。)「フィルハーモニー」はほぼリアルタイムで聞いたのであるが、YMO の素直なかっこよさに比べるとちょっとひねくれているなあ、と感じた記憶がある。「HOSONO HOUSE」「コチンの月」は未聴。
幸い、当時は身近にオフコースファンがたくさんいたので、これらのアルバムはリアルタイムで聞いていた。デュオ時代からのオフコースファンに言わせると、「over」あたりは軟弱の極みらしいのだが、《さよなら》のヒットによってオフコースを知り、5人のオフコースしか知らない私にとっては、やはり「We are」と「over」はオフコースの頂点だと思う。特に「over」のトータルアルバムとしての完成度は素晴らしい。(ちなみに今回は15枚のアルバムが再発売されたのだが、私は5人のオフコースが作った7枚のアルバムしか買わなかった。)小田和正のソングライティングは素晴らしいと思うが、確かにそれだけだとやはり軟弱に聞こえてしまうのかもしれない。鈴木康博を初めとする他のメンバーの曲がいいアクセントになっていた。
「We are」や「over」はインナースリーヴを含めたジャケットデザインも素晴らしいが、このあたりもちゃんと復刻しているあたりが東芝EMIのいい仕事である。「I LOVE YOU」のタイトル曲はシングルとアルバムでヴァージョンが異なり、アルバム・ヴァージョンの間奏ではジョン・レノンが暗殺されたことを伝えるニュースの音声がオーヴァーラップされている。
というわけで、最近、戦前・戦中の音楽/音源に興味が湧いてきている。これらの CD の存在は以前から知っていたのだが、そういう興味によってこれらの資料性の高さを再認識するようになった。発売されてから時間が経っているし、いつ廃盤にされるかわからないので、今のうちに押さえておこうと思って購入した。
ジャケットは SP レコードのレーベル面である。特に陸軍軍楽隊の方は趣のあるデザインである。まだ音は聞いておらず、ライナーノートを読んだだけなのだが、以前のブログ「日本の童謡」でも取り上げた郡修彦氏が関わっているらしい。オリジナル音源の出自などもちゃんと記載されている。いい仕事である。