RNCM ウィンドオーケストラは、イギリス、ドイツ、フランス、ロシアなど国別に作曲者を集めた作品集をリリースしている。
これは北欧の作曲家の作品を集めたCDである。確かリリースされた順番としてはフランスものとロシアものの間に位置するものだったと思う。遅ればせながらやっと買った。
例えば、イギリスものにはホルストやRVW、ドイツものにはヒンデミットの《交響曲》やシェーンベルクの《主題と変奏》、フランスものには《ディオニソスの祭り》や《フランス組曲》、ロシアものにはストラヴィンスキーの《サーカス・ポルカ》、プロコフィエフの行進曲集、リムスキー=コルサコフの《トロンボーン協奏曲》など、他のシリーズでは有名どころの作曲家や作品が収録されているが、この北欧作品集は極めて地味である。
作品として聞いたことがあったのはアウリス・サリネンの《コラーリ(コラール)》、作曲家としてかろうじて名前を聞いたことがあったのはラウタヴァーラやアルヴェーンといった具合。(ニールセンはもちろん聞いたことがあったが)
全般的な印象としては、いい感じで楽しめた。
個人的に昨今の、特にオランダ周辺の分厚い響きの作品はあまり好きではないので、このCDに収録されているような、声高にならない透明な響きはいかにも「管楽器がアンサンブルしている」という感じでほっとする。
上述のサリネンやラウタヴァーラは現代的な作風で、あまり地域性は感じられないのだが、アルヴェーンやトヴェイトといった作曲家の作品はシベリウスあたりからの影響が感じられる。
サリネンの《コラーリ(コラール)》は久しぶりに聞いたが、現代的で透明感あふれるオーケストレーション(ハープやチェレスタが使われている)が印象的である。トヴェイトの《シンフォニエッタ・ディ・ソフィアトーリ》はシベリウスに通じる作風の自然描写がコンパクトにまとまっている作品。これも気に入った。オーレ・シュミットの《ストラヴィンスキーへのオマージュ》はストラヴィンスキーの作風を踏襲しながら、《春の祭典》、それからなぜか《ボレロ》(ラヴェル)や《結婚行進曲》(メンデルスゾーン)まで引用しているパロディ的な作品である。
意外な収穫。