日別アーカイブ: 2005 年 3 月 4 日

ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

復活スルヤ演奏会’97

「スルヤ」といってもお店ではなくサンスクリット語で「太陽神」を意味する。 1927年に諸井三郎を中心に結成されたアマチュア音楽集団の名称である。 中原中也は「スルヤ」のメンバーではなかったが、非常に近しい存在であった。

最近、「昭和の作曲家たち―太平洋戦争と音楽」という本を読んでいるのだが(しかし分厚いなあ、読み終わるのはいつになることやら …..)、この本に「スルヤ」のことが書かれており、中原中也の詩に諸井三郎が詩をつけていたということを知って興味を持った。

このCDは1997年に中也の生誕90年没後60年に際して行われた演奏会の実況録音盤である。中也の詩による歌曲が集められているが必ずしも同時代の作曲家ばかりではない。また、スルヤの第一回発表演奏会で取り上げられた諸井三郎の《ピアノソナタ》も収録されている。

中也の詩というとどこか翳りのあるイメージがあるのだが、《サーカス》(清水脩作曲)あたりは妙に晴れ晴れとしていて違和感がある。やっぱり、あの 秀逸なオノマトペ「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」はほの暗いサーカス小屋の中で聞こえる音でなければいけないと思うのである。高らかに歌い上げてはいけないと思うのである。

中原中也記念館(http://www.chuyakan.jp/)からのみ購入可能。

蛇足ではあるが、諸井三郎は最近話題の西武グループ経営改革委員会委員長である諸井虔の父親である。作曲家諸井誠は諸井虔の弟。