この日、浜松は管楽器関係のコンサートだらけ。昼間は浜松交響吹奏楽団とマーチングバンドの浜松ワイルドウィンズの定期演奏会がバッティング、夕方から夜にかけてはビッグバンドのリハーサル・ジャズ・オーケストラと浜松南高等学校吹奏楽部の定期演奏会がバッティングしていた。
私は浜松交響吹奏楽団と浜松南高等学校吹奏楽部の演奏会をはしごしたのであるが、この二つの演奏会の所要時間を合計すると5時間30分であった。演奏者のみなさんには「おつかれさま」と言いたいが、私も疲れた(笑)。
浜松交響吹奏楽団定期演奏会
プログラムの前に、昨年逝去された初代常任指揮者の松下功一さんを追悼するためにドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」から第2楽章が演奏された。
第1部の課題曲(《鳥たちの神話》)をのぞく3曲は、3月に行なわれた「響宴」でも取り上げられた作品。基本的な感想は「響宴」の時に感じたものと同様。どの曲も確かに「鳴る」のであるが、音楽的に面白いかというと私の耳には面白くない。単に趣味の問題なのかも知れないが。
どうも最近の邦人作品のトレンドが耳に合わないのでそれを合理的に説明する術を考えているのだが、なかなかいい言葉が見つからない。一つは「推進力の欠如」なのかなと思う。その場その場では綺麗な旋律、あるいは綺麗な響きができているのだが「ただそれだけ」という気がする。その音楽がどこに向かって進もうとしているのかが見えてこないのである。例えば、推進力の拠り所というのは作品の構成であったりソノリティ(音色)の選択であったりするのであろうが、「綺麗な旋律の連続」や「鳴るソノリティの追求」がそういった推進力を失う原因になっているのではないだろうか。
「だから西洋音楽は偉い」というつもりはないが、例えばソナタ形式で主題が再現された時やパッサカリアで主題が再現された時の「クライマックス感」がある限り、西洋音楽が長い時間をかけて培ってきた(また試行錯誤の中でそれを解体しようとした)楽曲構成にはそれなりの必然性があると思うわけである。
というわけで、このバンドはポピュラー・ステージの方が肩の力が抜けていて楽しめる。女子十二楽坊のメドレーは圧巻。木管セクションの各演奏者の技術の高さをアピールするような編曲。
静岡県立浜松南高等学校第11回定期演奏会
昨年に引き続いて聞きに行った。印象は昨年と大きく変わらない。昨年よりは「鳴り」がいいかな?マーチングが得意なためか開放的なサウンドが魅力的である。弱音のコントロールや柔らかい音色をうまく表現できるようになれば、もっといい演奏ができるだろう。
- 大栗裕/仮面幻想
- アラム・ハチャトゥリアン(林紀人編曲)/バレエ組曲「ガイーヌ」より
- 天野正道/「GR」よりシンフォニック・セレクション
《GR》はそこそこ仕上がっているが他の2曲はかなり厳しい。特に《ガイーヌ》は技術的にかなり難易度が高い。最低限でも細かい音符が吹けていないと聞いていてかなり辛い。
第2部はドリル・ステージ。ここ数年マーチングの全国大会に出場している団体だけに安心して見られる。今回は「スペイン」がテーマ。
第3部はコント(^_^;)。さすがに部外者がこれを見続けるのは辛いので中抜けして買い物に行った。 30分ほど経って帰って来たらまだやっていた(^_^;)。「学校での一日」をテーマにしていたらしく、いろいろな小物(例えば本とかバスケットボールとかデッキブラシとかポリバケツとか)でパーカッション・パフォーマンスをやっていたらしい。ということで、ラストは《学園天国》(なるほどね)。
第4部はポピュラーステージ。ニューサウンズの《マイ・フェイヴァリット・シングス》は、やはりジャズ・ワルツのリズム感を出すのが難しそう。《パイレーツ・オブ・カリビアン》は2年生の学生指揮者が振ったのだが、この指揮がとてもうまい。振り方から見て取れる「指揮者が作ろうとしている音楽」と、結果として「バンドから出てくる音楽」が一致しているのである。指揮者が音楽的に進むべき道筋をちゃんと提示して、演奏者が集中力を持ってそれについていくという形。音楽的な完成度から言えば、この演奏会のベストだろう。また、この演奏会をもって3年生が引退するということで涙なくしては見れないいろいろな趣向があるのだが、団長の挨拶は決め台詞を決めておいた方がかっこよく締め括れると思うよ。
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そういうわけで、コントの合間に買ってきたもの。
アルファ・ケンタウリ~ケンタウロス座のアルファ星+Ultima thule(紙ジャケット仕様)
ジャーマン・エレクトロ・ロックの祖とも言える存在。これも紙ジャケ/リマスターでリリースされたので買ってみることにした。
とりあえずランダムに手に取った「ツァイト(Zeit: 英語にすると time)」から聞いてみた。あまり電子音を駆使したという感じはない。 1曲目は複数台のチェロが絡み合う音楽から始まり、徐々に電子音が主導権を握っていくような感じ。インターネットで検索すると「このアルバムは難解だ」という人が多いようだが、私は結構好きである。例えば、冒頭のチェロは西村朗さんの管弦楽作品にみられるようなアジア音楽のドローンを模した低音弦楽器の音響に通じるところもあるし、後半のシンセサイザーの持続音が続くところなどはアルヴォ・ペルトの作品の静謐感を思わせる。
「アルファ・ケンタウリ」にはアルバム未収録だったシングル曲を収録した8cmCDシングルがついているのであるが(しかし、ここまでするか(笑)?)、実はこのシングル曲がいちばん聞きやすいのではないか。
夏頃には Virgin レーベルに移籍してからの「フェードラ」「ルビコン」も再発予定。こちらの方が一般大衆向けの曲想らしいので楽しみである。
「ファインディング・ニモ」のDVD発売にあわせて、ピクサー制作のアニメーション映画が廉価版になった。劇場公開映画では「バグズ・ライフ」だけ見ていなかったので購入。
「スペース・レンジャー バズ・ライトイヤー」も見ていないのであるが、「ニモ」購入後に「もう一枚キャンペーン」でもらう予定。そういえば、数年前に見かけた七夕の短冊に「バズ・ライトイヤーになりたい」という願い事があったのを思い出した。宇宙の平和のためにがんばってほしい(笑)。